ドS編集M男と少し売れてる漫画家A子

君といつまでも

M男とC子の快進撃！

「M男君、この『愛わんこユー』というタイトルは君が考えたのか？　それともC子先生か？」
編集主任はにやにやと笑いながらM男に尋ねた。M男は答えず、次の言葉を待った。
「C子先生が考えたのであれば尊重したい部分もあるが、このタイトルでは売れない。つまらないダジャレだし、もっと内容を具体的に伝えるタイトルでなければ売れないんだ。常識だぜ」
編集主任にそう言われたM男は表情を変えず、自分を見ている編集長の顔を見た。
「……主任、君の意見はわかった。君ならばどういうタイトルをつけるかM男に教えてやれ」
眉をしかめていた編集長が編集主任に言うと、会議室は静かになった。
「僕ならば『転生した犬耳少女はご主人様の愛がほしい』というタイトルで売ります」
編集主任は自信満々の顔で言い、編集部員たちの顔を見て満足げにうなずいた。
「ふむ、実にわかりやすい。確かにそういうタイトルであれば誤解のしようがないな」
編集長がそう言うと、M男以外の全員が静かにうなずいた。その後、作品の内容についていくつかの質問があり、M男は淡々と質問に答えた。そして最後に編集長がオーケーを出した。
「…………というわけで連載が決まったよC子さん。いやC子先生。先生は少年パンチで少年誌デビューと同時に新連載ですよ。これはパンチでも異例らしい。先生の才能が勝ち取った連載です」
「はい、嬉しいんですけど、タイトルが流行に乗るみたいで恥ずかしいですね」
C子はそう言いつつも喜びで顔を真っ赤にした。その日、M男は決定を伝えるとすぐに帰宅した。
後日、C子の新連載は少年パンチ表紙と巻頭カラーで始まった。担当のM男は異動して早々に忙しくなった。C子の連載は開始してすぐに大好評となった。読者アンケートでも上位となり、数回を経て一位に輝いた。そのことを伝えるとC子は泣いて喜んだ。その顔を見たM男も感動した。