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君といつまでも
編集主任は嫌な男
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「少年パンチ」編集部はH社ビルの三階にあった。H社ビルは一階にロビーと受付があり、そしていくつかの会議室や応接室が設けられていた。二階には販売部や総務部などが存在した。三階より上はすべて編集部のフロアであった。なかでも少年パンチ編集部は主力部署であった。
「M男君、君の噂はいろいろと聞いてるよ。なんでもB子先生の婚約者だとか。いいねえ。もう働かなくても食える身分じゃないか。それでも少年パンチで編集者をやるのかい?」
少年パンチ編集部に挨拶に行った際、M男を出迎えたのは編集主任であった。編集主任はいくつもの人気連載を抱える敏腕編集者であった。次期編集長候補とも言われていた。
「いえいえ、婚約者っていうのはでたらめな噂話ですよ主任。あの、俺はもともと少年誌志望だったんで、この人事は願ったりかなったりなんです。でも少女誌しかやってこなかったんで一から勉強させていただきます。これから指導してください主任。よろしくお願いします」
M男の挨拶を聞いた編集主任はふんと鼻息を鳴らし、M男の顔をじろじろと見た。
「一部女子社員や女性漫画家に人気があるってのはこの顔か。ちっ、くだらねえ話だ」
そして編集長とM男は正式に少年パンチ編集部に配属された。まず、編集会議が行われた。
「俺は編集長として配属されたが少年パンチのことはまるでわからない。そこで部員の君たちに編集方針や各自のやりたいことなどを聞いておきたい。遠慮はいらん。率直に言ってくれ!」
編集長は部員の面々に向かって言った。すると、一番に手を上げたのは編集主任であった。
「編集長、少年パンチは売れてません。やりたいとかそういうことよりも売れる漫画です!」
「……ほう。さすがは敏腕と呼ばれる主任だな。それで? 売れる漫画とはどういう漫画だ?」
「はい! 昔はスポ根や不良漫画が売れていましたが、今は美少女漫画です!」
編集主任は断言するように言い、会議室の隅に座るM男を見た。
「M男君、君の噂はいろいろと聞いてるよ。なんでもB子先生の婚約者だとか。いいねえ。もう働かなくても食える身分じゃないか。それでも少年パンチで編集者をやるのかい?」
少年パンチ編集部に挨拶に行った際、M男を出迎えたのは編集主任であった。編集主任はいくつもの人気連載を抱える敏腕編集者であった。次期編集長候補とも言われていた。
「いえいえ、婚約者っていうのはでたらめな噂話ですよ主任。あの、俺はもともと少年誌志望だったんで、この人事は願ったりかなったりなんです。でも少女誌しかやってこなかったんで一から勉強させていただきます。これから指導してください主任。よろしくお願いします」
M男の挨拶を聞いた編集主任はふんと鼻息を鳴らし、M男の顔をじろじろと見た。
「一部女子社員や女性漫画家に人気があるってのはこの顔か。ちっ、くだらねえ話だ」
そして編集長とM男は正式に少年パンチ編集部に配属された。まず、編集会議が行われた。
「俺は編集長として配属されたが少年パンチのことはまるでわからない。そこで部員の君たちに編集方針や各自のやりたいことなどを聞いておきたい。遠慮はいらん。率直に言ってくれ!」
編集長は部員の面々に向かって言った。すると、一番に手を上げたのは編集主任であった。
「編集長、少年パンチは売れてません。やりたいとかそういうことよりも売れる漫画です!」
「……ほう。さすがは敏腕と呼ばれる主任だな。それで? 売れる漫画とはどういう漫画だ?」
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編集主任は断言するように言い、会議室の隅に座るM男を見た。
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