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君といつまでも

B子先生の愛

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B子に自身の辛い過去を伝えたM男はしばらく涙をこらえていたが、やがて涙腺が崩壊した。女の前では涙を見せないというのがM男の信条であったが、死別した彼女を思い出して泣いた。
「…………M男さん、ごめんなさい。悲しいことを思い出させてしまったのね」
目の前でおいおいと泣くM男を見たB子もまた涙ぐみ、M男に声をかけた。
「……いえ、俺のほうこそすみません。見合いの席でバカなことを」
「あら、バカなことじゃなくてよ。誰だって過去には辛いことがあるわ。正直に話してくれてありがとうM男さん。それにね、この見合い話が編集長の仕組んだ話だということくらい私にはわかってるわ。私の『半魚人プリンセス』をSE社に移籍させないための茶番なのよね」
B子は泣いているM男に近寄り、M男の髪をなでながら耳元につぶやいた。
「B子先生! 彼女は! SE社の編集者だったんです! 後輩だったけど、俺なんかよりずっと頭が良くて、人格者で、美人で仕事のできる女の子でした……」
M男は泣くことをやめず、大きく息を吐くように語った。自分がいかに彼女を尊敬していたか、そして愛していたか、彼女が亡くなったときにどれほどの衝撃を受けたかを語った。
「……M男さん。私は業の深い漫画家なのよ。あなたの話に感動したわ。でも、今聞いた話をどうやって漫画に生かそうかって考えてるの。本当にしょうもない女なのよ。こんな私が一生結婚できないのも無理はないわ。我ながら嫌になる。あなたを慰めることもできない」
そう言ったB子は震えているM男の頭を自分の胸元に抱き寄せた。
「……ありがとうございますB子先生。俺は慰められました。仕事のことはよくわかりません。先生の思うように自由になさってください。こんなことを言ってクビになるなら俺もそれまでの男です。それと、俺の話が役立つなら漫画に盛り込んでください。ぜひそうしてください」
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