夕日と白球

新たなる野球部

親友の陰口は絶対に許さない

　小船中学野球部と栄光中学野球部の試合は小船中の生徒たちの間で話題になった。
　女生徒たちの間では力投を見せた大地太陽を称える声が次々と上がった。
「太陽くんかっこよかったよね。素敵だったね。やっぱ王子って感じだったよね」
　いっぽう、男子生徒たちは負けたエース太陽の陰口で盛り上がっていた。
「……何が王子だ。あんなのポンコツじゃねえか。ポンコツ王子だぜギャッハッハ！」
　男子生徒たちは変化球の多投で太陽が肘を痛めたことを知るとますます陰口を言った。
　そういった陰口は夜空の耳に入った。激怒した夜空は男子生徒の集団に詰め寄った。
「……俺らの公式戦は終わったんだ。だからよ、部活動停止くらい屁でもねえんだぜ」
「はあ？　何言ってんだ星野。何怒ってんだお前？　落ち着け……」
　夜空はへらへら笑っている男の足元に思い切りタックルした。
　そして起き上がりかけた男の顔面に頭突きを食らわせた。
「おっと！　足が滑っちまった。俺はラグビーやってたからな、ついタックルしちまった」
　鼻血を流す男の顔を見た男子生徒たちの顔は引きつった。
「おう悪い！　また足が滑った。おっとタックルしちまうぞ。頭も当たるぞ！」
　そうして夜空は数人の男子生徒たちを次々と倒し、顔面に頭突きを食らわせていった。
　倒れた男子生徒たちを見た女生徒たちが騒ぎ出した。そこへタンピンが現れた。
「おい夜空！　やりすぎだ！　もういいだろう新キャプテンさんよ！」
　タンピンと夜空は職員室に呼ばれたが、暴力事件とはならなかった。
「……野球部を頼んだぞ！　キャプテン星野夜空くんよ！」
　小船中野球部キャプテン丹下一平は次期キャプテンを指名した。