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旅は道連れ
ケン王子と少女ユーキ
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ユーキと名乗った少女はタランを見ると、ケンのせいで怪我をしたと言った。そして侮辱されたので深く傷ついたとも言った。その際、ユーキはケンを見ながらクスクス笑っていた。そこでタランはユーキの怪我を見てやるようライナに頼んだ。
「えっと、お嬢さん。痛いのはどこだい? いやあ綺麗な手足だね。驚くね」
ライナは俊敏な動きでユーキの全身を調べた。するとユーキは大声で笑い出した。
「や、やめて! くすぐったいから! ああっ! そんなところ触らないで!」
体をよじって笑うユーキを指さし、ライナもケンやタランに笑顔を見せた。
「まあ怪我がなくてよかったけどケンとこの子がもめたのは本当みたいだから、とりあえずケンに謝らせよう。ケンも勇者を目指すんだから女の子ともめたら自分から謝るってことを覚えるんだよ。ほらケン。真面目に謝りな!」
ライナに頭を叩かれたケンはそのままユーキに向かって頭を下げた。
ケンは従姉のライナに対して従順なところがあった。ライナは幼少のころからケンを弟のように可愛がっていた。また、ケンもライナのことを姉のように思っていた。少し妙な点があったとすれば、男勝りのライナに対し、ケンはライナを兄のようにも思っているという点であった。そしてライナも、自分のようなたくましさを身に着けてほしいとケンに対して常々思っているという点であった。互いにそういう思いがあり、ライナはケンに対して男らしくあれと厳しく臨んだ。ケンも素直に応えた。
自分に頭を下げたケンに対し、ユーキはぷいと顔をそむけた。
そういう態度に対し、ケンもむくれて顔をそむけた。
「何だよユーキ。元はと言えばお前の馬がボクを踏み潰そうとしたからだろ」
「うるさいわね。だからって馬から落とすことないじゃない! 危なかったのよ」
言い争いが始まったのでタランが割って入り、ユーキに聞いた。
「ユーキは旅の途中ですか? そのドレスも汚れているようだけど」
言われたユーキは顔を赤くし、茶色に汚れたドレスのほこりを手で払った。
「……ええ、まあ。ラクマ大王国に行くところよ。馬が逃げちゃって困ったわ」
「えっと、お嬢さん。痛いのはどこだい? いやあ綺麗な手足だね。驚くね」
ライナは俊敏な動きでユーキの全身を調べた。するとユーキは大声で笑い出した。
「や、やめて! くすぐったいから! ああっ! そんなところ触らないで!」
体をよじって笑うユーキを指さし、ライナもケンやタランに笑顔を見せた。
「まあ怪我がなくてよかったけどケンとこの子がもめたのは本当みたいだから、とりあえずケンに謝らせよう。ケンも勇者を目指すんだから女の子ともめたら自分から謝るってことを覚えるんだよ。ほらケン。真面目に謝りな!」
ライナに頭を叩かれたケンはそのままユーキに向かって頭を下げた。
ケンは従姉のライナに対して従順なところがあった。ライナは幼少のころからケンを弟のように可愛がっていた。また、ケンもライナのことを姉のように思っていた。少し妙な点があったとすれば、男勝りのライナに対し、ケンはライナを兄のようにも思っているという点であった。そしてライナも、自分のようなたくましさを身に着けてほしいとケンに対して常々思っているという点であった。互いにそういう思いがあり、ライナはケンに対して男らしくあれと厳しく臨んだ。ケンも素直に応えた。
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「ユーキは旅の途中ですか? そのドレスも汚れているようだけど」
言われたユーキは顔を赤くし、茶色に汚れたドレスのほこりを手で払った。
「……ええ、まあ。ラクマ大王国に行くところよ。馬が逃げちゃって困ったわ」
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