157 / 171
王子様から逃げている場合ではない
第5話 レーナ派閥
しおりを挟む
アンナとミリーの指示の元二人のメイドが御茶の準備をしたり、少量のチョコレートや一口サイズのケーキ、カナッペ、フルーツ、スモークされたハムやサーモンなどをビュッフェのように並べるのをうっとりとみていた。
社交室には取り合えず参加決定のほぼいつもの面々が現れ、談笑をし始める。
私は実質派閥のTOPではあるが、お飾りのため特にすることがないので、いつ並べたのが食べられるのかしらとうっとりと眺めていると何やら入り口が騒がしい。
「何々? 面接って2人じゃないの?」
私がグッと我慢していたのに、シオンがさっとチョコレートを口に運びながらも、そういって主人である私の傍に控えた。
実質この派閥を仕切っているアンナとミリーが出入口で何やら明らかにもめている。
「今回の面接予定者は2人だろう。物音からして、明らかに扉の前にいるのは2人ではないように思うのだが……」
ジークは扉を見つめた。
エドガーも事態が呑み込めていないようで困った顔で扉に目をやると、すると突然声が聞こえ始めた。
エドガーが風魔法を使い扉の向こうの攻防の声を届けてくれたのだ。
『レーナ様が派閥をおつくりになるとお聞きしました。ぜひ、私にも面接の機会を』
『うちの領地の特産品の茶葉をお持ちしたので』
聞こえてきたのは、派閥に入るための面接の機会をと望む、複数人の男女の声、声、声。
「……どうなっておりますの」
聞こえる声に動揺する。レーナ派閥の活動目的は私の安全のためで、派閥としての活動はせいぜい社交室がもらえたので、ここでお茶しておしゃべりするのが関の山。
社交界に爪痕を残す気など微塵もない。
「確証はないのですが、私が勧誘した人物から話が漏れたのかもしれません」
エドガーが真っ青な顔をして皆に深く深く頭を下げた。
「貴族である私の庇護が欲しい平民ならいざ知らず。会話の内容からして今詰め寄っている方は少なくとも貴族。私の派閥は社交界での活動予定はありませんし、爪痕を残す気もない……。所属しているのも派閥に入りたいという煩わしい誘いを断りたい方ばかり」
そういって、私はエドガー、ジーク、フォルトの顔をみやった。
「派閥の誘いを断る名目であることは大っぴらにしていないからね。はたから見ると領地の方よりはあるものの、同学年の高位貴族がそろった派閥にしか見えないんだろう」
考察ポーズでジークが客観的にみたレーナ派閥を分析した。
「面接をしたらどうだろうか? 面接はあくまでも形式的に開くだけ。実際加入させるかどうかは、当初の予定通りの人物だけ検討すればいい。納得してもらうためには検討してもらったがダメだったと思わせること。これが一番しこりが残らないと思う。ジークはどう思う?」
フォルトにしては意外な意見だった。同情心がフォルトにはあって、それが彼のいいところであり悪いところでもあったのだから。
「私も同意見だ。一方的に要求を突っぱねるよりかは、機会は与えられたけれど自分では掴むことができなかったと思ったほうがいいだろう」
「そんじゃ、面接するって方針で話すすめちゃえばいいんだね。アンナ様とミリー様にも話をつけてくるよ。ただ、こういうことがあったからさ。申し訳ないんだけれど、僕はエドガー様が招待した人をいれることちょっとよく思わないな……」
「それは当然のことだと思います」
エドガーは深く深く再度頭を下げた。
面接をとりあえず順番に行うというと、とりあえず外の騒がしさはひと段落して。
アンナとミリーが疲れた顔で中へと入ってきた。
「とりあえず、こちらの準備も必要といって1時間後から爵位の順に面接を行うことにいたしました」
アンナがこれからのなんとなくの段取りを説明する。
「とりあえず原因は何かわかりまして?」
私はこそっと、生徒たちに対応していたアンナとミリーにこの騒ぎの原因をそれとなく探った。
エドガーはこの中で、シオンを除くと一番階級が低い。ゆえに、今回のことをかなり気にしているのは顔をみたら明らかだった。
エドガーには、進路相談に乗ってもらった仲だし。今回のことで話を漏らした人を加入させる気はないけれど、誰が話を漏らしたかくらいは、今後のエドガーのために耳に入れてあげられたらと思ったのだけど。
「一番広い社交室が開かれたので、高位な身分の誰が派閥を開いたのかをおそらく知りたかったのだと思うのです。私とアンナが対応に出たところ。私たちが出たことでレーナさまが派閥の長を務められると理解したようで。そこから、ならフォルト様はだのジーク様はだの……」
ミリーがうんざりとした顔でそういった。
「そこから派閥に誰が所属しているのかを確認される流れが起こりまして、そのうち誰からともなく面接の機会をと言い出しまして……そこから収集がつかなく……」
そういって、アンナは眉間を抑えた。
「普通の派閥ですと、最低でも週に1度は集まってお茶をしながら意見交換などいたしますので。そうなるとお近づきになれると思われたり、有益な情報を聞き出す機会だと思われたようで……」
あーなるほどである。
まず、イケメンはダンスが終わると女子生徒が群がるので、すぐにわかりますというのが頭の中でリフレインしていた。
後ろに4人もいるからだ……
社交室には取り合えず参加決定のほぼいつもの面々が現れ、談笑をし始める。
私は実質派閥のTOPではあるが、お飾りのため特にすることがないので、いつ並べたのが食べられるのかしらとうっとりと眺めていると何やら入り口が騒がしい。
「何々? 面接って2人じゃないの?」
私がグッと我慢していたのに、シオンがさっとチョコレートを口に運びながらも、そういって主人である私の傍に控えた。
実質この派閥を仕切っているアンナとミリーが出入口で何やら明らかにもめている。
「今回の面接予定者は2人だろう。物音からして、明らかに扉の前にいるのは2人ではないように思うのだが……」
ジークは扉を見つめた。
エドガーも事態が呑み込めていないようで困った顔で扉に目をやると、すると突然声が聞こえ始めた。
エドガーが風魔法を使い扉の向こうの攻防の声を届けてくれたのだ。
『レーナ様が派閥をおつくりになるとお聞きしました。ぜひ、私にも面接の機会を』
『うちの領地の特産品の茶葉をお持ちしたので』
聞こえてきたのは、派閥に入るための面接の機会をと望む、複数人の男女の声、声、声。
「……どうなっておりますの」
聞こえる声に動揺する。レーナ派閥の活動目的は私の安全のためで、派閥としての活動はせいぜい社交室がもらえたので、ここでお茶しておしゃべりするのが関の山。
社交界に爪痕を残す気など微塵もない。
「確証はないのですが、私が勧誘した人物から話が漏れたのかもしれません」
エドガーが真っ青な顔をして皆に深く深く頭を下げた。
「貴族である私の庇護が欲しい平民ならいざ知らず。会話の内容からして今詰め寄っている方は少なくとも貴族。私の派閥は社交界での活動予定はありませんし、爪痕を残す気もない……。所属しているのも派閥に入りたいという煩わしい誘いを断りたい方ばかり」
そういって、私はエドガー、ジーク、フォルトの顔をみやった。
「派閥の誘いを断る名目であることは大っぴらにしていないからね。はたから見ると領地の方よりはあるものの、同学年の高位貴族がそろった派閥にしか見えないんだろう」
考察ポーズでジークが客観的にみたレーナ派閥を分析した。
「面接をしたらどうだろうか? 面接はあくまでも形式的に開くだけ。実際加入させるかどうかは、当初の予定通りの人物だけ検討すればいい。納得してもらうためには検討してもらったがダメだったと思わせること。これが一番しこりが残らないと思う。ジークはどう思う?」
フォルトにしては意外な意見だった。同情心がフォルトにはあって、それが彼のいいところであり悪いところでもあったのだから。
「私も同意見だ。一方的に要求を突っぱねるよりかは、機会は与えられたけれど自分では掴むことができなかったと思ったほうがいいだろう」
「そんじゃ、面接するって方針で話すすめちゃえばいいんだね。アンナ様とミリー様にも話をつけてくるよ。ただ、こういうことがあったからさ。申し訳ないんだけれど、僕はエドガー様が招待した人をいれることちょっとよく思わないな……」
「それは当然のことだと思います」
エドガーは深く深く再度頭を下げた。
面接をとりあえず順番に行うというと、とりあえず外の騒がしさはひと段落して。
アンナとミリーが疲れた顔で中へと入ってきた。
「とりあえず、こちらの準備も必要といって1時間後から爵位の順に面接を行うことにいたしました」
アンナがこれからのなんとなくの段取りを説明する。
「とりあえず原因は何かわかりまして?」
私はこそっと、生徒たちに対応していたアンナとミリーにこの騒ぎの原因をそれとなく探った。
エドガーはこの中で、シオンを除くと一番階級が低い。ゆえに、今回のことをかなり気にしているのは顔をみたら明らかだった。
エドガーには、進路相談に乗ってもらった仲だし。今回のことで話を漏らした人を加入させる気はないけれど、誰が話を漏らしたかくらいは、今後のエドガーのために耳に入れてあげられたらと思ったのだけど。
「一番広い社交室が開かれたので、高位な身分の誰が派閥を開いたのかをおそらく知りたかったのだと思うのです。私とアンナが対応に出たところ。私たちが出たことでレーナさまが派閥の長を務められると理解したようで。そこから、ならフォルト様はだのジーク様はだの……」
ミリーがうんざりとした顔でそういった。
「そこから派閥に誰が所属しているのかを確認される流れが起こりまして、そのうち誰からともなく面接の機会をと言い出しまして……そこから収集がつかなく……」
そういって、アンナは眉間を抑えた。
「普通の派閥ですと、最低でも週に1度は集まってお茶をしながら意見交換などいたしますので。そうなるとお近づきになれると思われたり、有益な情報を聞き出す機会だと思われたようで……」
あーなるほどである。
まず、イケメンはダンスが終わると女子生徒が群がるので、すぐにわかりますというのが頭の中でリフレインしていた。
後ろに4人もいるからだ……
115
お気に入りに追加
13,574
あなたにおすすめの小説
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。