133 / 171
星降る夜を見上げている場合ではない
第34話 出せっこない
しおりを挟む
扉が開いて最初に飛び込んできたのはリオンだった。
すぐに状況をみて、何が起ったか察したのだろう。リオンがため息をついた。
遅れることわずか、シオンとジークも私の部屋へとやってきた。
二人ともリオンと同じく、この何が起ったのか解ったようで、シオンがムッとした顔でフォルトに詰め寄った。
フォルトは、立ち上がるとシオンのほうを向いた。
ジークはかなり驚いているようだった。言葉こそ発していなかったけれど、信じられないものを見る目でフォルトを見つめていたが、シオンがフォルトに詰め寄りだしたのに気が付いて二人の間に割って入った。
「ジーク様邪魔しないで」
静止しようとするジークの手をシオンは払いのけキッとジークを睨んだ。
「話合いなら距離を詰めなくてもできるはずだよ」
シオンからぶつけられた感情をあっさりと流して、落ち着こうとなだめにかかるジーク。
一言も発さないフォルト。
やっと状況が呑み込めてきた私は、口を開いた。
「フォルト……どうして?」
「これが、必要だと思ったからだ」
フォルトは、淡々とそういった。
「必要じゃないでしょ。領主を目指すなら上に主を作ってどうすんのさ!」
声にかぶせるようにシオンがフォルトに思っていたことをぶつけた。
「シオン、とりあえず今は二人に話をさせるべきで、私たちが割り込むべきではない」
それを、ジークがシオンの腕を軽く引きたしなめる。
不満そうな顔でジークの静止を受け入れシオンが下を向いた。
二人で話すべきだと、ジークが憤るシオンを引かせてくれたけれど。私は一体何を話せばいいのかと口ごもる。
「レーナ嬢。俺はどうしても勝ちたい。驚かせてしまったと思う。ただ、これ以上に俺のことを信頼してもらえる術が他になかった」
フォルトは一拍おいて、はっきりと言った。
「――魔剣があるならば俺に下賜してほしい」
あぁ、大事な話はする場所も選ばないといけないことを、私は今ほど実感したことはない。
フォルトならば、立ち聞きするはずがない。なんとなくそう思っていたのだ。
ジークもしっかり止めればいいものをと、ジークがしっかりフォルトを見張ってないからと自分たちのことを棚に上げて、ジークを睨むけれど。
自業自得だと言わんばかりにジークに冷たく見つめられた。
どうすればいい? と私はリオンに目配せをした。
だって、つい先ほどリオンとシオンと私の3人で、フォルトのことを考えるならば魔剣の主というリスクを背をわないほうがいいという結論を出したばかりだったからだ。
魔剣のことは死蔵している主の私よりも。実際に取り出せて振るうことができるリオンのほうが解っている。
だから、今まで口出しせず私たちの話を聞いていたリオンに話を振った。
「盟約を結んでしまいましたし。何かがあればフォルト様は何よりもレーナ様を優先させざるを得ないでしょうし……かまいませんよ」
「ちょっと!」
リオンは魔剣を下賜することに反対しなかった。シオンが話が違うとリオンに声を上げる。
「血の盟約を結べる相手はただ一人。ですから、魔剣を渡してフォルト様が負けたとしても、フォルト様を盟約で従わせるようなことはこれでできません。それに、主であるレーナ様が優先となるので、敵に回るようなことは、盟約の力でできません。それに、レーナ様が命令すれば、フォルト様はどんな状況であってもレーナ様に魔剣を返さざるを得ませんから。さて、いつまでもご令嬢の寝室に男が4人もいるわけにはいかないでしょう」
そして、ぱんぱんと手を鳴らすとドアを開けた。
不満そうな顔で、シオンは部屋を後にした。その後に、ジークとフォルトが何か小声で話しながら退出した。
「さて、レーナ様もいきましょう」
リオンにそう促されて、部屋を後にしようとする。
リオンの横を通る際に、リオンは私に耳打ちをした。
「フォルト様は魔剣を手にしても振るえません」
私は思わず声が出そうになったのを口元を抑えリオンを見上げた。
リオンの長い髪がさらりとなびいて、リオンは私に悪い顔で笑った。
すでにシオンはリビングに降り立ったようで、のど乾いた~とメイドを呼んでるし。
さっきの空気はどこへやら、ジークとフォルトにも飲み物何か飲むとか聞いている。
「魔剣はフォルト様に渡します。そして私は魔剣を使った戦い方をフォルト様に教えますが、魔剣の取り出し方は教えません。魔剣は体内から取り出せないと振るえない。魔剣の回収はことが終わってから致しましょう。多少予定とは異なりましたが、問題ございません。ご心配なされませんよう」
そういって、リオンはメガネの位置を直した。
フォルトが血の盟約を結んでくるとは私は思っていなかった、だけど大人のリオンのほうがずっと上手だった。
パクパクとしている私に、リオンは悪い悪い顔で微笑んだ。
「さて、遅くなりますと怪しまれます。我々も何か飲み物をいただきましょうレーナ様」
すぐに状況をみて、何が起ったか察したのだろう。リオンがため息をついた。
遅れることわずか、シオンとジークも私の部屋へとやってきた。
二人ともリオンと同じく、この何が起ったのか解ったようで、シオンがムッとした顔でフォルトに詰め寄った。
フォルトは、立ち上がるとシオンのほうを向いた。
ジークはかなり驚いているようだった。言葉こそ発していなかったけれど、信じられないものを見る目でフォルトを見つめていたが、シオンがフォルトに詰め寄りだしたのに気が付いて二人の間に割って入った。
「ジーク様邪魔しないで」
静止しようとするジークの手をシオンは払いのけキッとジークを睨んだ。
「話合いなら距離を詰めなくてもできるはずだよ」
シオンからぶつけられた感情をあっさりと流して、落ち着こうとなだめにかかるジーク。
一言も発さないフォルト。
やっと状況が呑み込めてきた私は、口を開いた。
「フォルト……どうして?」
「これが、必要だと思ったからだ」
フォルトは、淡々とそういった。
「必要じゃないでしょ。領主を目指すなら上に主を作ってどうすんのさ!」
声にかぶせるようにシオンがフォルトに思っていたことをぶつけた。
「シオン、とりあえず今は二人に話をさせるべきで、私たちが割り込むべきではない」
それを、ジークがシオンの腕を軽く引きたしなめる。
不満そうな顔でジークの静止を受け入れシオンが下を向いた。
二人で話すべきだと、ジークが憤るシオンを引かせてくれたけれど。私は一体何を話せばいいのかと口ごもる。
「レーナ嬢。俺はどうしても勝ちたい。驚かせてしまったと思う。ただ、これ以上に俺のことを信頼してもらえる術が他になかった」
フォルトは一拍おいて、はっきりと言った。
「――魔剣があるならば俺に下賜してほしい」
あぁ、大事な話はする場所も選ばないといけないことを、私は今ほど実感したことはない。
フォルトならば、立ち聞きするはずがない。なんとなくそう思っていたのだ。
ジークもしっかり止めればいいものをと、ジークがしっかりフォルトを見張ってないからと自分たちのことを棚に上げて、ジークを睨むけれど。
自業自得だと言わんばかりにジークに冷たく見つめられた。
どうすればいい? と私はリオンに目配せをした。
だって、つい先ほどリオンとシオンと私の3人で、フォルトのことを考えるならば魔剣の主というリスクを背をわないほうがいいという結論を出したばかりだったからだ。
魔剣のことは死蔵している主の私よりも。実際に取り出せて振るうことができるリオンのほうが解っている。
だから、今まで口出しせず私たちの話を聞いていたリオンに話を振った。
「盟約を結んでしまいましたし。何かがあればフォルト様は何よりもレーナ様を優先させざるを得ないでしょうし……かまいませんよ」
「ちょっと!」
リオンは魔剣を下賜することに反対しなかった。シオンが話が違うとリオンに声を上げる。
「血の盟約を結べる相手はただ一人。ですから、魔剣を渡してフォルト様が負けたとしても、フォルト様を盟約で従わせるようなことはこれでできません。それに、主であるレーナ様が優先となるので、敵に回るようなことは、盟約の力でできません。それに、レーナ様が命令すれば、フォルト様はどんな状況であってもレーナ様に魔剣を返さざるを得ませんから。さて、いつまでもご令嬢の寝室に男が4人もいるわけにはいかないでしょう」
そして、ぱんぱんと手を鳴らすとドアを開けた。
不満そうな顔で、シオンは部屋を後にした。その後に、ジークとフォルトが何か小声で話しながら退出した。
「さて、レーナ様もいきましょう」
リオンにそう促されて、部屋を後にしようとする。
リオンの横を通る際に、リオンは私に耳打ちをした。
「フォルト様は魔剣を手にしても振るえません」
私は思わず声が出そうになったのを口元を抑えリオンを見上げた。
リオンの長い髪がさらりとなびいて、リオンは私に悪い顔で笑った。
すでにシオンはリビングに降り立ったようで、のど乾いた~とメイドを呼んでるし。
さっきの空気はどこへやら、ジークとフォルトにも飲み物何か飲むとか聞いている。
「魔剣はフォルト様に渡します。そして私は魔剣を使った戦い方をフォルト様に教えますが、魔剣の取り出し方は教えません。魔剣は体内から取り出せないと振るえない。魔剣の回収はことが終わってから致しましょう。多少予定とは異なりましたが、問題ございません。ご心配なされませんよう」
そういって、リオンはメガネの位置を直した。
フォルトが血の盟約を結んでくるとは私は思っていなかった、だけど大人のリオンのほうがずっと上手だった。
パクパクとしている私に、リオンは悪い悪い顔で微笑んだ。
「さて、遅くなりますと怪しまれます。我々も何か飲み物をいただきましょうレーナ様」
147
お気に入りに追加
13,594
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。