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星降る夜を見上げている場合ではない
第15話 責任と義務
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とにかく止めなければと私が思うよりも先に、アンナが動いた。
「お逃げください」
真剣なアンナの声が上がると同時におこった爆風。
アンナが魔法を使ったのだとすぐにわかった。
この近距離で爆発はまずいと思ったけれど、私が行動するより先に、シオンが私に足ばらいをかけ転ばせた。
「わっ」
足をひっかけられたことで、私は小さな叫び声をあげた。
白い砂浜に倒れこみ、あいた口に白い砂が入りこむ。
砂を出そうと反射的にせき込むけれど、上に覆いかぶさったシオンが私の頭を砂浜に押し付ける。
「シオンもう大丈夫です」
そう言ったのはリオンだった。
「ほんと、それ便利でいいよね」
シオンはそういうと、私の頭を砂に押し付けるのを辞めた。
口に入ってしまった砂をペッペと吐き出しながら、見たものは、リオンの魔剣がアンナを深く刺し貫いているところだった。
アンナの顔が苦痛にゆがんでいた。
「わーーーーーーー!」
口にはいったわずかな砂とか、それどころじゃなくて、叫んで、アンナに駆け寄ろうとするも。
シオンが私を手首をつかむため駆け寄ることができない。
「何するのよ、シオン離して」
強く抗議するけれどシオンは手を放してくれない。
「あのさ、レーナ様の言い分もあるんだろうけれど。こっちにしたら、あの短時間であっさりとレーナ様をテントから離れたところまで誘導するのに成功されてるんだよ。それに、躊躇なく爆破したよね……僕たちが警戒してる気持ちをぜひご理解願いたいんだけど」
呆れた顔でため息をひとつつくと、そういってにっこりとシオンは私に笑いかける。
「アンナなの!」
「何があんななの?」
シオンが怪訝な顔を私に向ける。
「だから、今リオンが組み敷いてる、魔剣突き刺しちゃったのがアンナなの!?」
「はぁ? アンナって……」
そういって、シオンはマジマジと苦痛にゆがんだアンナの顔をみた。
シオンは男装したアンナと会ったことがあった数少ない人物だった。
だからこそ、マジマジと神クオリティの仕上がりとなった男装のアンナをみて固まった。
「ウソでしょ……何やってんの。リオン、すぐに魔剣引き抜いて、傷治してこの人レーナ様のご学友のアンナ様だよ」
まじまじと顔をみたことで、シオンはどのアンナかをようやく理解したようだ。
魔剣は手早く抜かれて、リオンの手がかざされるとアンナの傷口はきれいにふさがっていく。
でも、アンナは苦しそうな顔のまま、白い砂の上に顔をつけたまま動かない。
傷口からは血はもうでていないが、白い砂浜に落ちた血は消えることはなく痛々しい。
「アンナ、アンナ」
アンナの名前を呼んで駆け寄るけれど、アンナはぐったりとしたまま、砂に横たわり返事はおろか動くことさえしない。
「申し訳ありません。躊躇なく、魔力で爆破を起こされたため、レーナ様が至近距離にいらっしゃるため、2発目を放たれてはまずいと判断し、魔力を一気に吸うために少々深く刺し貫きました」
リオンはそういって私に頭を下げる。
「リオンもシオンも治癒師でしょう、アンナを治して」
「傷は治ってる。アンナ様が動かないのは、魔力を吸われすぎたから、これ魔力切れだから。魔力を僕たちが入れるって手段もあるけど。申し訳ないけれどそれはできないよ」
シオンは私の訴えに、困った顔で首を横に振る。
「どうして!? 二人がしないのなら私が」
私が魔力をわけると思ったけれど、二人の手が私の手をそれぞれ握り制止する。
リオンとシオンがお互い視線で合図する。
すると、リオンが口を開いた。
「レーナ様、まずご学友のアンナ様を傷つけたこと、深くお詫び申し上げます。そのうえで、今はアンナ様に今はまだ眠っていただけたらと、私もシオンも判断しております」
「どうして、確かにアンナは爆破を起こしたけれど、自分が組みふせられたら自衛のために取った手段として何もおかしいことなどないでしょう」
「『お逃げください』って言ってから爆破を起こしたでしょ。あれがレーナ様に対していったことなのか、だれか控えている人物に逃げるようにいった合図なのかの判断がつかないってのが、僕とリオンの結論。アンナ様とレーナ様がご学友なの承知してるよ。ただ、アンナ様はアンバーの人間。メイドにも裏切られたのはアンタでしょ」
「でも、アンナは……」
それでもくってかかる私の頬をぶたれた。
パンっと乾いた音がした。
「ウッ」と私を叩いたことで害した扱いになるのか、シオンが眉間にしわを寄せ口元を覆った。
「何するの?」
叩かれたほほを抑えてシオンをみた。
「アンタがすでに背負ってしまってるものをよく見てみろ」
シオンが声を荒げた。
私の前には怒ってるシオンと、複雑な顔をしたリオンの二人の盟約に縛られた人物がいた。
「僕たちも不本意な部分もあるけど、アンタが僕たちの主人なのは覆すことができない事実。レーナ様に何かあったら、僕たち二人がどうなってしまうか、レーナ様はもう知ってるでしょ。もっと慎重になってよ。子供みたいに飛び出していかないでよ! 背負ってるものがあるのはフォルト様だけじゃない、アンタもなんだから。ちゃんと考えてよ」
「お逃げください」
真剣なアンナの声が上がると同時におこった爆風。
アンナが魔法を使ったのだとすぐにわかった。
この近距離で爆発はまずいと思ったけれど、私が行動するより先に、シオンが私に足ばらいをかけ転ばせた。
「わっ」
足をひっかけられたことで、私は小さな叫び声をあげた。
白い砂浜に倒れこみ、あいた口に白い砂が入りこむ。
砂を出そうと反射的にせき込むけれど、上に覆いかぶさったシオンが私の頭を砂浜に押し付ける。
「シオンもう大丈夫です」
そう言ったのはリオンだった。
「ほんと、それ便利でいいよね」
シオンはそういうと、私の頭を砂に押し付けるのを辞めた。
口に入ってしまった砂をペッペと吐き出しながら、見たものは、リオンの魔剣がアンナを深く刺し貫いているところだった。
アンナの顔が苦痛にゆがんでいた。
「わーーーーーーー!」
口にはいったわずかな砂とか、それどころじゃなくて、叫んで、アンナに駆け寄ろうとするも。
シオンが私を手首をつかむため駆け寄ることができない。
「何するのよ、シオン離して」
強く抗議するけれどシオンは手を放してくれない。
「あのさ、レーナ様の言い分もあるんだろうけれど。こっちにしたら、あの短時間であっさりとレーナ様をテントから離れたところまで誘導するのに成功されてるんだよ。それに、躊躇なく爆破したよね……僕たちが警戒してる気持ちをぜひご理解願いたいんだけど」
呆れた顔でため息をひとつつくと、そういってにっこりとシオンは私に笑いかける。
「アンナなの!」
「何があんななの?」
シオンが怪訝な顔を私に向ける。
「だから、今リオンが組み敷いてる、魔剣突き刺しちゃったのがアンナなの!?」
「はぁ? アンナって……」
そういって、シオンはマジマジと苦痛にゆがんだアンナの顔をみた。
シオンは男装したアンナと会ったことがあった数少ない人物だった。
だからこそ、マジマジと神クオリティの仕上がりとなった男装のアンナをみて固まった。
「ウソでしょ……何やってんの。リオン、すぐに魔剣引き抜いて、傷治してこの人レーナ様のご学友のアンナ様だよ」
まじまじと顔をみたことで、シオンはどのアンナかをようやく理解したようだ。
魔剣は手早く抜かれて、リオンの手がかざされるとアンナの傷口はきれいにふさがっていく。
でも、アンナは苦しそうな顔のまま、白い砂の上に顔をつけたまま動かない。
傷口からは血はもうでていないが、白い砂浜に落ちた血は消えることはなく痛々しい。
「アンナ、アンナ」
アンナの名前を呼んで駆け寄るけれど、アンナはぐったりとしたまま、砂に横たわり返事はおろか動くことさえしない。
「申し訳ありません。躊躇なく、魔力で爆破を起こされたため、レーナ様が至近距離にいらっしゃるため、2発目を放たれてはまずいと判断し、魔力を一気に吸うために少々深く刺し貫きました」
リオンはそういって私に頭を下げる。
「リオンもシオンも治癒師でしょう、アンナを治して」
「傷は治ってる。アンナ様が動かないのは、魔力を吸われすぎたから、これ魔力切れだから。魔力を僕たちが入れるって手段もあるけど。申し訳ないけれどそれはできないよ」
シオンは私の訴えに、困った顔で首を横に振る。
「どうして!? 二人がしないのなら私が」
私が魔力をわけると思ったけれど、二人の手が私の手をそれぞれ握り制止する。
リオンとシオンがお互い視線で合図する。
すると、リオンが口を開いた。
「レーナ様、まずご学友のアンナ様を傷つけたこと、深くお詫び申し上げます。そのうえで、今はアンナ様に今はまだ眠っていただけたらと、私もシオンも判断しております」
「どうして、確かにアンナは爆破を起こしたけれど、自分が組みふせられたら自衛のために取った手段として何もおかしいことなどないでしょう」
「『お逃げください』って言ってから爆破を起こしたでしょ。あれがレーナ様に対していったことなのか、だれか控えている人物に逃げるようにいった合図なのかの判断がつかないってのが、僕とリオンの結論。アンナ様とレーナ様がご学友なの承知してるよ。ただ、アンナ様はアンバーの人間。メイドにも裏切られたのはアンタでしょ」
「でも、アンナは……」
それでもくってかかる私の頬をぶたれた。
パンっと乾いた音がした。
「ウッ」と私を叩いたことで害した扱いになるのか、シオンが眉間にしわを寄せ口元を覆った。
「何するの?」
叩かれたほほを抑えてシオンをみた。
「アンタがすでに背負ってしまってるものをよく見てみろ」
シオンが声を荒げた。
私の前には怒ってるシオンと、複雑な顔をしたリオンの二人の盟約に縛られた人物がいた。
「僕たちも不本意な部分もあるけど、アンタが僕たちの主人なのは覆すことができない事実。レーナ様に何かあったら、僕たち二人がどうなってしまうか、レーナ様はもう知ってるでしょ。もっと慎重になってよ。子供みたいに飛び出していかないでよ! 背負ってるものがあるのはフォルト様だけじゃない、アンタもなんだから。ちゃんと考えてよ」
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