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人の恋路を応援している場合ではない
第24話 エレーナ
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「エレーナですが、彼女が斡旋所で受けた依頼は街にある店の給仕というごくありふれたものだったそうです。勤務態度もまじめで客からの評判もなかなかの気立てのいい女性だったようです」
気立てのいい女性とか初めて言われたよ、そんなこと。
ポンコツだの、騙されてるだの、引きが悪いだの……そんなのばっかりだし。
「続けて」
少し褒められたことで、私の下がっていたテンションが持ち直す。
「はい、勤務態度もまじめで、客うけもいいということで目をつけたようですね。ここからは推測でございますが、特定の人物だけをはめるための依頼を彼女に受けさせることに成功したのだと思いますが。逆にはめられたみたいですね。何をしたのかまではわかりませんでしたが……少なくとも血眼になって捜さないと困るようなことをして姿を消したようです」
なるほど、私がしばらく姿を消したことがこんなことになるとは。
「とにかく、女が消えてから女の素性をようやく探ったようですが、エレーナという女がいた痕跡として出てきたのはアルバイト斡旋所に登録してから。普通はどこに住んでるとか、生活していた痕跡が何かしら出てくるものですが、それらが一切なかったことから。意図を持ってはめられたのだと確信をもったようですね。とりあえずエレーナという女が魔力を保有している可能性が高いと判断したようで、学園に出入りしてそれらしい容姿の女を探していたようです」
髪や瞳の色はかえたけれど、顔は変わったわけではない、はち合わせたりしたらヤバかったかも。
ゾッとしたのと同時に、マリアのことが心配になる。
はめたつもりはなかったけれど、今回のことで魔法省まで出てきてしまっている。
ジークから聞いたことを合わせると、少なくともアルバイト斡旋所はこの街の特定保護魔物が何か知っている人物がいたはずなのだ。
少なくともトップは知らぬ存ぜぬなど通るはずもない。
スライムは狩りつくされ、現に飲料水への影響が少しずつでている。
特定保護魔物は当然倒されないように、魔核が持ち込まれたときにどうするかなど対策はとられているはず。
存分に困れ、魔法省にばれてしまえっていう気持ちと。マリアが巻き込まれては厄介ね……という気持ちが均衡する。
腕を組んで考え込んでしまう。
「とりあえず、私もエレーナという女について調べてみようと思います」
待って、エレーナについて調べるですって!
「ちょっとまって……」
「大丈夫です」
調べたら私まで最終的にたどり着いちゃうじゃないの。
エドガーを止めようとしたけれど、彼は私のやんわりとした制止では止まらなかった。
先日はごちそうになったのでってことと、代金は払ってあると風をまとい走り去っていく彼に私では追いつけるはずもない。
それでも、止めようと走ったのだけれどしばらくして、どこに向かえばいいのかわからなくて息が上がった状態で私は椅子もないところでへたり込んでしまった。
ややこしいことになってきた。
どうしてこうなった。
そもそも私は何をしたかったんだっけ?
婚約が解消になって、新しい婚約者は見つかりそうもなくて。
学年対抗戦にはアンナもミリーも選ばれて私だけ才能がないと選ばれなかったから、じゃぁ私は今後どうやって生きていくのかを考えてとりあえず前世の記憶があるから街で働いてみようと思っただけだった。
自分の恋がちっともうまくいかないから、人のおせっかいをやいて。
本当はもっと前から気がついてた、公爵令嬢が街でバイトして生きていけるはずもないし、人の恋など応援してる場合ではない。
これからどう生きていくかから目をそらした結果がこれだ。
私がエレーナだとばれるのはいいとしても、マリアやエドガーが何かに巻き込まれたりしたらとようやく考えが辿り着いた。
騙されたことは正直はらわたが煮えくりかえる思いだけれど、やり返してる場合ではない。
さっさと、問題を解決してこれから私は公爵令嬢としてどう生きていくのか考えないと。
「おい、大丈夫か?」
肩に手を置かれて私は顔を上げた。
「フォルト……」
「乗れ、医務室まで運ぶから」
全速力で走った私の足はもうガクガクだった、これが今の私だ。
フォルトの背に乗った。
ゆっくりとフォルトが歩く。
「フォルト、私が馬鹿でした」
「なんだ突然?」
「ここだけの話にしてくださいますか?」
フォルトはきっと皆に告げ口しないと思う。
フォルトに背負われて、私は真実を告白した。
アンナとミリーだけが選ばれて私だけ選ばれなかったことを少し気にしていたこと。
婚約を解消したのはいいけれど、次が見つかるあてもなくシオンの言葉がじわじわと自分の中にはいってきたことを。
皆が頑張っているからこそ、街で私でもできることでお金を稼ごうと軽い気持ちで始めたこと。
世間知らずで騙されてしまって、違約金が必要となりお金が落ちてないか地面をみて歩いた日があったことを。
自分ひとりで解決なんかできなくて結局迷惑をかけてしまったことを申し訳なく思ってることを……。
領主教育を受けてない私は今後アーヴァインを出ないといけないであろうことを、どうすればいいのか正直なところわからないこと。
「街ですぐに騙され意地を張っておりました。今後公爵令嬢として何をすべきかは迷走状態ですが。今何をすべきかはもうわかっております。魔核を魔法省に返します。アルバイト斡旋所のことも自分で魔法省の方に言います。最初からこうすればよかったのです。さっきの話は他言無用で……」
懺悔をしたことで私はちょっとだけすっきりとしていた。
その時だった。
爆音とともに地面が揺れた。
思わずフォルトにしがみつく。
「何ごと?」
「わからない。でもかなり揺れた。先ほどの音からして地震というわけではないだろう」
音はたぶん近くから聞こえたのだと思う。
庭の噴水が吹っ飛んでいた。
幸い近くに生徒がいなかったようだけれど、噴水の近くには噴水の中央にあった彫刻が壊れ散らばっているし。
噴水のあったところには水はなく大きな穴が開いていた。
「危ないから下がってください」
ローブをみてすぐにわかった。魔法省の職員だ。
爆音の原因を確認しに来たのだろう。
門のところに一人だけ糸目の彼が立っていたのは知っていたけれど、ここには爆発から5分と立っていないのに、糸目の彼ではない職員が5人もいた。
これだけの数の魔法省の職員が学園に紛れ込んでいたことにまず驚いた。
気立てのいい女性とか初めて言われたよ、そんなこと。
ポンコツだの、騙されてるだの、引きが悪いだの……そんなのばっかりだし。
「続けて」
少し褒められたことで、私の下がっていたテンションが持ち直す。
「はい、勤務態度もまじめで、客うけもいいということで目をつけたようですね。ここからは推測でございますが、特定の人物だけをはめるための依頼を彼女に受けさせることに成功したのだと思いますが。逆にはめられたみたいですね。何をしたのかまではわかりませんでしたが……少なくとも血眼になって捜さないと困るようなことをして姿を消したようです」
なるほど、私がしばらく姿を消したことがこんなことになるとは。
「とにかく、女が消えてから女の素性をようやく探ったようですが、エレーナという女がいた痕跡として出てきたのはアルバイト斡旋所に登録してから。普通はどこに住んでるとか、生活していた痕跡が何かしら出てくるものですが、それらが一切なかったことから。意図を持ってはめられたのだと確信をもったようですね。とりあえずエレーナという女が魔力を保有している可能性が高いと判断したようで、学園に出入りしてそれらしい容姿の女を探していたようです」
髪や瞳の色はかえたけれど、顔は変わったわけではない、はち合わせたりしたらヤバかったかも。
ゾッとしたのと同時に、マリアのことが心配になる。
はめたつもりはなかったけれど、今回のことで魔法省まで出てきてしまっている。
ジークから聞いたことを合わせると、少なくともアルバイト斡旋所はこの街の特定保護魔物が何か知っている人物がいたはずなのだ。
少なくともトップは知らぬ存ぜぬなど通るはずもない。
スライムは狩りつくされ、現に飲料水への影響が少しずつでている。
特定保護魔物は当然倒されないように、魔核が持ち込まれたときにどうするかなど対策はとられているはず。
存分に困れ、魔法省にばれてしまえっていう気持ちと。マリアが巻き込まれては厄介ね……という気持ちが均衡する。
腕を組んで考え込んでしまう。
「とりあえず、私もエレーナという女について調べてみようと思います」
待って、エレーナについて調べるですって!
「ちょっとまって……」
「大丈夫です」
調べたら私まで最終的にたどり着いちゃうじゃないの。
エドガーを止めようとしたけれど、彼は私のやんわりとした制止では止まらなかった。
先日はごちそうになったのでってことと、代金は払ってあると風をまとい走り去っていく彼に私では追いつけるはずもない。
それでも、止めようと走ったのだけれどしばらくして、どこに向かえばいいのかわからなくて息が上がった状態で私は椅子もないところでへたり込んでしまった。
ややこしいことになってきた。
どうしてこうなった。
そもそも私は何をしたかったんだっけ?
婚約が解消になって、新しい婚約者は見つかりそうもなくて。
学年対抗戦にはアンナもミリーも選ばれて私だけ才能がないと選ばれなかったから、じゃぁ私は今後どうやって生きていくのかを考えてとりあえず前世の記憶があるから街で働いてみようと思っただけだった。
自分の恋がちっともうまくいかないから、人のおせっかいをやいて。
本当はもっと前から気がついてた、公爵令嬢が街でバイトして生きていけるはずもないし、人の恋など応援してる場合ではない。
これからどう生きていくかから目をそらした結果がこれだ。
私がエレーナだとばれるのはいいとしても、マリアやエドガーが何かに巻き込まれたりしたらとようやく考えが辿り着いた。
騙されたことは正直はらわたが煮えくりかえる思いだけれど、やり返してる場合ではない。
さっさと、問題を解決してこれから私は公爵令嬢としてどう生きていくのか考えないと。
「おい、大丈夫か?」
肩に手を置かれて私は顔を上げた。
「フォルト……」
「乗れ、医務室まで運ぶから」
全速力で走った私の足はもうガクガクだった、これが今の私だ。
フォルトの背に乗った。
ゆっくりとフォルトが歩く。
「フォルト、私が馬鹿でした」
「なんだ突然?」
「ここだけの話にしてくださいますか?」
フォルトはきっと皆に告げ口しないと思う。
フォルトに背負われて、私は真実を告白した。
アンナとミリーだけが選ばれて私だけ選ばれなかったことを少し気にしていたこと。
婚約を解消したのはいいけれど、次が見つかるあてもなくシオンの言葉がじわじわと自分の中にはいってきたことを。
皆が頑張っているからこそ、街で私でもできることでお金を稼ごうと軽い気持ちで始めたこと。
世間知らずで騙されてしまって、違約金が必要となりお金が落ちてないか地面をみて歩いた日があったことを。
自分ひとりで解決なんかできなくて結局迷惑をかけてしまったことを申し訳なく思ってることを……。
領主教育を受けてない私は今後アーヴァインを出ないといけないであろうことを、どうすればいいのか正直なところわからないこと。
「街ですぐに騙され意地を張っておりました。今後公爵令嬢として何をすべきかは迷走状態ですが。今何をすべきかはもうわかっております。魔核を魔法省に返します。アルバイト斡旋所のことも自分で魔法省の方に言います。最初からこうすればよかったのです。さっきの話は他言無用で……」
懺悔をしたことで私はちょっとだけすっきりとしていた。
その時だった。
爆音とともに地面が揺れた。
思わずフォルトにしがみつく。
「何ごと?」
「わからない。でもかなり揺れた。先ほどの音からして地震というわけではないだろう」
音はたぶん近くから聞こえたのだと思う。
庭の噴水が吹っ飛んでいた。
幸い近くに生徒がいなかったようだけれど、噴水の近くには噴水の中央にあった彫刻が壊れ散らばっているし。
噴水のあったところには水はなく大きな穴が開いていた。
「危ないから下がってください」
ローブをみてすぐにわかった。魔法省の職員だ。
爆音の原因を確認しに来たのだろう。
門のところに一人だけ糸目の彼が立っていたのは知っていたけれど、ここには爆発から5分と立っていないのに、糸目の彼ではない職員が5人もいた。
これだけの数の魔法省の職員が学園に紛れ込んでいたことにまず驚いた。
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