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人の恋路を応援している場合ではない
第17話 報告
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マリアが動かないなら私が一応アシストしておかねばと、エドガーに手紙を出した。
話したいことがあるので、できるだけ早くお時間を頂けないかしらということを手紙にしたところ。その日のうちに遠慮がちに部屋に訪問してきた。
「急ぎということでしたので。今日訪問いたしました」
「ごきげんよう……レーナ。エドガーがどうしても私も来ないと、この時間にレーナのところに訪問できないと言ってきてね」
ものすごく気まずそうな感じでジークもやってきた。
エドガーは天然ゆえに無自覚で強引なところがある。あのジークもやんわり断るではかわしきれなかったのだろう。
エドガーの顔を見る、彼に悪気はなく。むしろ、これでジーク様に誤解されませんよと言わんばかりだ。
私はエドガーにまだ婚約解消したことを告げていない。そこへきて、婚約者がいる令嬢ができれば早くお会いしたいと言ってきた。
誤解されては大変である。となると、一番いいことは話も聞けるし、婚約者に誤解されることもない、婚約者も連れてくればいいってやつである。
一方ジークは、婚約解消しました。私はあなたのことが嫌いだから婚約破棄したんですよ~と言ったも同然の元婚約者が別の男をこの時間わざわざ呼び出してるのに御同行させられたという嫌な形である。
ジークの訪問に当然のようにジークの好きな紅茶がこの時間にも関わらず手早く用意される。エドガーにもお茶の好みを聞きメイドが準備していく。
そして、メイド達が目配せしている。
元婚約者と始めてみる新しいイケメンがなぜこの時間に部屋に訪問を……どういうことなの? と気になっているのがわかる。
「お茶の準備ができたらここは結構だから下がってくださる」
とりあえず、私達3人の仲をこれ以上ややこしく誤解されてはかなわないとメイドを下げた。
「私のことは気にせず二人で話してくれ」
ジークはそう言って、お茶を飲み始める。
さて、何から話せばいいのやら。ジークにも厄介事に首を半分突っ込んでいることをばれてもいいのか……。
「それで、レーナ様、突然の私への連絡、いったいどういたしましたか?」
エドガーは急にまじめな顔で私に切りだしてきた。そりゃそうだ、普段ほとんど関わり合いのない公爵令嬢が名指しで会う時間を作ってほしいと言ったのだ。何事? って感じよね。
「えー。何から話せばいいのか。この学園に最近不審者が入り込んでいるようなのです」
「不審者?」
気にせず二人で話してくれと言ったのにも関わらずジークがしっかりと眉間にしわを作りながら私にそう聞き返す。
「マリア様がここ最近誰かに見張られている気配がするらしく……。相談を受けたのです。彼女の部屋は一階ですし。失礼ですが彼女は学園内に親しいご学友もいらっしゃらないようで一人で行動することが多いのです」
「マリアが……」
エドガーが神妙な顔つきになる。よしよし、いいぞいいぞ。上手いこと二人の時間を増やし、不審者をなんとかするうちに二人の仲もってやつよね。
いっぽうジークはニッコリと最近あまり見なくなった腹黒い優雅な笑顔を浮かべている。
うわぁぁあ、これ後で何か言われそう。でも、今は私達は婚約していないのよ、あまり深いことまでズケズケと言っていい間柄ではないわ。
ジークの視線に負けじとニッコリと頬笑み返し視線をそらさず応戦する。
「一応、学校の先生にも平民のマリアから相談するより、私から相談したほうが効果があると思うので明日話に行くつもりなのですが。練習があり忙しいかもしれませんが、よくお話されているエドガー様にも彼女を気にかけていただけたらなと……」
エドガー気にかけろよ、気にかけろよ、頼むよと念をこめる。
「わかりました。私も気にかけるようにしてみます。それにしても学園内か……。どこの業者も入れ変わられては大変とかなり気を使って人を雇っているので、もし不審者がいるということが本当であれば、かなりの大物が釣れるかもしれませんよ。レーナ様、貴重な情報ありがとうございます。先日のことを覚えてくださっていたのですね」
ほほ笑んでそう言ったけれど、私を見つめる彼の瞳には恋愛頑張ろうではなくて、野心が灯ったのがわかった。そう、彼は魔法省の推薦が欲しい野心があるタイプだった。頼む、マリアを守る恋愛フラグのほうで頑張るのよ。いや、夢のことは夢のことで頑張ったほうがいいのかな?
「それでは、エドガー。私はレーナと話したいことがあるから先に戻ってくれるかい?」
「はい、それでは先に失礼いたします。レーナ様、ジーク様」
止める間もなくサクサクとエドガーは帰ってしまった。ギラギラと瞳に野心を灯して。
ジークと二人でにこやかに御見送りをする。
エドガーがリビングの扉を閉めた途端、私の顔からは笑顔が消える。
「それで? 何の御用です? ジーク様もそろそろお部屋に帰ったほうがよろしいと思いますよ」
淡々とそう言う。
「私が話しにくくなるようにしているつもりかい? 君、厄介事に首を突っ込んでいるだろう」
私の挑発を難なくかわし問題の核心へと触れてくる。
「厄介事になんて首をつっこんでおりませんよ。それに、ちゃんとエドガー様を今回の問題には配置したではありませんか」
「その問題自体どこから見つけてきたのか実に興味があるなぁ。皆が練習していた間、君はいったいどこで何を見つけたんだい?」
話したいことがあるので、できるだけ早くお時間を頂けないかしらということを手紙にしたところ。その日のうちに遠慮がちに部屋に訪問してきた。
「急ぎということでしたので。今日訪問いたしました」
「ごきげんよう……レーナ。エドガーがどうしても私も来ないと、この時間にレーナのところに訪問できないと言ってきてね」
ものすごく気まずそうな感じでジークもやってきた。
エドガーは天然ゆえに無自覚で強引なところがある。あのジークもやんわり断るではかわしきれなかったのだろう。
エドガーの顔を見る、彼に悪気はなく。むしろ、これでジーク様に誤解されませんよと言わんばかりだ。
私はエドガーにまだ婚約解消したことを告げていない。そこへきて、婚約者がいる令嬢ができれば早くお会いしたいと言ってきた。
誤解されては大変である。となると、一番いいことは話も聞けるし、婚約者に誤解されることもない、婚約者も連れてくればいいってやつである。
一方ジークは、婚約解消しました。私はあなたのことが嫌いだから婚約破棄したんですよ~と言ったも同然の元婚約者が別の男をこの時間わざわざ呼び出してるのに御同行させられたという嫌な形である。
ジークの訪問に当然のようにジークの好きな紅茶がこの時間にも関わらず手早く用意される。エドガーにもお茶の好みを聞きメイドが準備していく。
そして、メイド達が目配せしている。
元婚約者と始めてみる新しいイケメンがなぜこの時間に部屋に訪問を……どういうことなの? と気になっているのがわかる。
「お茶の準備ができたらここは結構だから下がってくださる」
とりあえず、私達3人の仲をこれ以上ややこしく誤解されてはかなわないとメイドを下げた。
「私のことは気にせず二人で話してくれ」
ジークはそう言って、お茶を飲み始める。
さて、何から話せばいいのやら。ジークにも厄介事に首を半分突っ込んでいることをばれてもいいのか……。
「それで、レーナ様、突然の私への連絡、いったいどういたしましたか?」
エドガーは急にまじめな顔で私に切りだしてきた。そりゃそうだ、普段ほとんど関わり合いのない公爵令嬢が名指しで会う時間を作ってほしいと言ったのだ。何事? って感じよね。
「えー。何から話せばいいのか。この学園に最近不審者が入り込んでいるようなのです」
「不審者?」
気にせず二人で話してくれと言ったのにも関わらずジークがしっかりと眉間にしわを作りながら私にそう聞き返す。
「マリア様がここ最近誰かに見張られている気配がするらしく……。相談を受けたのです。彼女の部屋は一階ですし。失礼ですが彼女は学園内に親しいご学友もいらっしゃらないようで一人で行動することが多いのです」
「マリアが……」
エドガーが神妙な顔つきになる。よしよし、いいぞいいぞ。上手いこと二人の時間を増やし、不審者をなんとかするうちに二人の仲もってやつよね。
いっぽうジークはニッコリと最近あまり見なくなった腹黒い優雅な笑顔を浮かべている。
うわぁぁあ、これ後で何か言われそう。でも、今は私達は婚約していないのよ、あまり深いことまでズケズケと言っていい間柄ではないわ。
ジークの視線に負けじとニッコリと頬笑み返し視線をそらさず応戦する。
「一応、学校の先生にも平民のマリアから相談するより、私から相談したほうが効果があると思うので明日話に行くつもりなのですが。練習があり忙しいかもしれませんが、よくお話されているエドガー様にも彼女を気にかけていただけたらなと……」
エドガー気にかけろよ、気にかけろよ、頼むよと念をこめる。
「わかりました。私も気にかけるようにしてみます。それにしても学園内か……。どこの業者も入れ変わられては大変とかなり気を使って人を雇っているので、もし不審者がいるということが本当であれば、かなりの大物が釣れるかもしれませんよ。レーナ様、貴重な情報ありがとうございます。先日のことを覚えてくださっていたのですね」
ほほ笑んでそう言ったけれど、私を見つめる彼の瞳には恋愛頑張ろうではなくて、野心が灯ったのがわかった。そう、彼は魔法省の推薦が欲しい野心があるタイプだった。頼む、マリアを守る恋愛フラグのほうで頑張るのよ。いや、夢のことは夢のことで頑張ったほうがいいのかな?
「それでは、エドガー。私はレーナと話したいことがあるから先に戻ってくれるかい?」
「はい、それでは先に失礼いたします。レーナ様、ジーク様」
止める間もなくサクサクとエドガーは帰ってしまった。ギラギラと瞳に野心を灯して。
ジークと二人でにこやかに御見送りをする。
エドガーがリビングの扉を閉めた途端、私の顔からは笑顔が消える。
「それで? 何の御用です? ジーク様もそろそろお部屋に帰ったほうがよろしいと思いますよ」
淡々とそう言う。
「私が話しにくくなるようにしているつもりかい? 君、厄介事に首を突っ込んでいるだろう」
私の挑発を難なくかわし問題の核心へと触れてくる。
「厄介事になんて首をつっこんでおりませんよ。それに、ちゃんとエドガー様を今回の問題には配置したではありませんか」
「その問題自体どこから見つけてきたのか実に興味があるなぁ。皆が練習していた間、君はいったいどこで何を見つけたんだい?」
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