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人の恋路を応援している場合ではない
第9話 生とか運んでいる場合ではない
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フォルトに話したことで、私は自分の中で今回のことをどうすべきかもう一度考える余裕ができた。
そもそも、一人で討伐しなければいけないという制約があるわけではない、アルバイト斡旋所も私が学園の生徒だと思っているだろうし、無理なら友達に頼んで助けてもらったという手段を使われても文句を言えないはずだと思ったのだ。
ただ、1匹でも残っていたら綺麗になってないと因縁はつけられるかもしれないけれど。
最悪誰かに助けに入ってもらえるかもということは私の心に大きな余裕を産んだ。
金も多少足りなければ最悪拾ったことにすればいい。貴族もいる学園だし、貴族の友達に借りたという手も使えるだろう。
違約金を払うこと自体は大変腹が立つがエレーナでは厳しい額がレーナではたいしたことはない。
ただ、ここにアルバイトに来る大半のカモは学園の新入生の平民だろう。
私が騙されてムカついたというのもあるけれど何とかしないといけない事案だ。だから、私は生とかを手なれたしぐさで運んでいる場合ではないのである。
私は朝のバイトを速攻でやめ、内職はメイドに今受注している分だけ頼み。
飲食店のバイトは当初の週3に戻してもらう手続きをした。
まずは、お情け程度にもらったこのBB弾くらいの石は何なのか調べてもらうことにした。
今日はエレーナの姿ではなくレーナの姿で愛想がよくなった親父の店に行き調べてもらったところ、この小さな小さな石は熱石だったのだ。
こんなちっぽけな熱石でも私のバイトの3時間分もするらしい。
熱石とわかればである。
その結果を聞くと私はすぐに寮に引き揚げ、荷物を漁った。
クライスト領から持ってきた荷物の中にあったはずである。成人男性の握りこぶしよりでかい特大のヤツが。
父が管理の杜撰さに嘆くほどの驚きの金額の代物である。リオンがきちんと私の持ち物としてメイドに託してくれたようで私の持ち物として一緒に寮にきちゃったのである。
雪を溶かすため特大の熱石を装着する専用の棒とともに。
次の日、私は棒をもち、熱石をリュックにいれて水路に入ったのだ。
魔力の消耗を抑えるために、アンクレットを外し熱石をセットした棒に魔力を込めた。
ホンの少し魔力で熱石は赤く色づき熱を帯びた。
「今日は逃げないわよ」
勝敗は一瞬だった。
粘液を吐く暇もなく、熱石が触れた途端、スライムは一瞬で蒸発して消えた。
地面にはBB玉サイズの物だけが残った。これが戦利品みたいだからとっておかなきゃと鞄に突っ込む。
後は見つけるたびに無双である。
「モンスターめ! みたかこれが金に物を言わせた力よ」
などとツイツイ口走ってしまう。
ちゃんと魔力が切れる前に戻らないと、そう思ってちゃんと引き返していたと先にいいわけしておく。
私の横を粘液がかすめた。どっか近くにいる!?
粘液の恐怖で熱石に大量の魔力が無意識に送られた。
スライムは一瞬で蒸発したが、魔力切れしないようにと思っていた私は魔力切れし始めたのだ。
身体が暑さを訴える。
これはヤバい、とにかく見つかるにしても水路を出たところで見つからなきゃ。水路の壁に手をあて身体を支えながら進む。
調子にのって奥まで来てしまったのがあだとなった。
50分後、鬼のような顔をしたシオンと心配そうにおろおろとした様子のリオン。そして、申し訳なさそうな顔をしたフォルトと水路内で遭遇。
三人の姿を確認して、慌てて熱石のついた棒を後ろに隠したけれど、そんな簡単な隠し方でごまかせるはずもない。
「レーナ様ごきげんよう。こんなところにお一人で一体何をされてたのかな? かな? 皆に内緒にまでしてそれはいったいどんな楽しいことですか? 僕にも詳しく教えていただけますか?」
ニッコリと笑顔を浮かべたシオンの嫌みが私に突きささる。
「レーナ嬢、すまない」
フォルトはそういって頭を下げる、おそらくスライムのことをシオンにゲロったに違いない。
フォルトとシオンは今日も一緒に練習をしていたのだと思う。
私が魔力切れしかけたことで、当然シオンが気づき優先度が高いと判断された私の危機に練習を抜け出すことにしたけれど。
スライムという私のことで心辺りのあったフォルトはシオンが急に練習を辞める理由でまず私が思い当たってしまったのかもしれない。
「レーナ様、とりあえず身体がおつらいでしょうからおのりください」
リオンがそういって屈み私に背を向ける、それにもう今さら取り繕っても無駄とわかった私は観念しておんぶしてもらうことにした。
「でっ、何か言いたいことある?」
「もうここまで来ちゃったならついでなので、水路にいるスライムを一掃してください」
どうせ来ちゃったのだから、スライム討伐を皆にもお願いした。
私があれほど苦戦してたのに。
まず、フォルトが水路の水の中に手を入れた。
何かぶつぶつと呟くと。
「終わったと思う」
そういって水から手を出した。
「今何をしたの?」
「水の中にいるスライムを殺すために雷の魔法を唱えた。たぶん、水の中にいたのはこれで全滅したと思う」
はい、私の苦労がほぼ一瞬で大半が終わりました。
後はどうするのかと思えば、そのまま私は寮の部屋へ強制送還された。
メイドに告げ口されたくなければ。大人しくしてろってことをシオンに何度も何度も念押しして言われた。
リオンかシオンの監視が私についた可能性が高いと思う、さよなら私のつかの間の自由……とか思って2日後の朝。
なにやら重そうな袋を持ってシオンが部屋にやってきた。
「僕とリオンとフォルト様でスライムは一掃したから」
そういい残し置いていかれた袋を開けてみると、BB玉ほどのスライムを倒した時にでる戦利品がみっちり入っていた。
そもそも、一人で討伐しなければいけないという制約があるわけではない、アルバイト斡旋所も私が学園の生徒だと思っているだろうし、無理なら友達に頼んで助けてもらったという手段を使われても文句を言えないはずだと思ったのだ。
ただ、1匹でも残っていたら綺麗になってないと因縁はつけられるかもしれないけれど。
最悪誰かに助けに入ってもらえるかもということは私の心に大きな余裕を産んだ。
金も多少足りなければ最悪拾ったことにすればいい。貴族もいる学園だし、貴族の友達に借りたという手も使えるだろう。
違約金を払うこと自体は大変腹が立つがエレーナでは厳しい額がレーナではたいしたことはない。
ただ、ここにアルバイトに来る大半のカモは学園の新入生の平民だろう。
私が騙されてムカついたというのもあるけれど何とかしないといけない事案だ。だから、私は生とかを手なれたしぐさで運んでいる場合ではないのである。
私は朝のバイトを速攻でやめ、内職はメイドに今受注している分だけ頼み。
飲食店のバイトは当初の週3に戻してもらう手続きをした。
まずは、お情け程度にもらったこのBB弾くらいの石は何なのか調べてもらうことにした。
今日はエレーナの姿ではなくレーナの姿で愛想がよくなった親父の店に行き調べてもらったところ、この小さな小さな石は熱石だったのだ。
こんなちっぽけな熱石でも私のバイトの3時間分もするらしい。
熱石とわかればである。
その結果を聞くと私はすぐに寮に引き揚げ、荷物を漁った。
クライスト領から持ってきた荷物の中にあったはずである。成人男性の握りこぶしよりでかい特大のヤツが。
父が管理の杜撰さに嘆くほどの驚きの金額の代物である。リオンがきちんと私の持ち物としてメイドに託してくれたようで私の持ち物として一緒に寮にきちゃったのである。
雪を溶かすため特大の熱石を装着する専用の棒とともに。
次の日、私は棒をもち、熱石をリュックにいれて水路に入ったのだ。
魔力の消耗を抑えるために、アンクレットを外し熱石をセットした棒に魔力を込めた。
ホンの少し魔力で熱石は赤く色づき熱を帯びた。
「今日は逃げないわよ」
勝敗は一瞬だった。
粘液を吐く暇もなく、熱石が触れた途端、スライムは一瞬で蒸発して消えた。
地面にはBB玉サイズの物だけが残った。これが戦利品みたいだからとっておかなきゃと鞄に突っ込む。
後は見つけるたびに無双である。
「モンスターめ! みたかこれが金に物を言わせた力よ」
などとツイツイ口走ってしまう。
ちゃんと魔力が切れる前に戻らないと、そう思ってちゃんと引き返していたと先にいいわけしておく。
私の横を粘液がかすめた。どっか近くにいる!?
粘液の恐怖で熱石に大量の魔力が無意識に送られた。
スライムは一瞬で蒸発したが、魔力切れしないようにと思っていた私は魔力切れし始めたのだ。
身体が暑さを訴える。
これはヤバい、とにかく見つかるにしても水路を出たところで見つからなきゃ。水路の壁に手をあて身体を支えながら進む。
調子にのって奥まで来てしまったのがあだとなった。
50分後、鬼のような顔をしたシオンと心配そうにおろおろとした様子のリオン。そして、申し訳なさそうな顔をしたフォルトと水路内で遭遇。
三人の姿を確認して、慌てて熱石のついた棒を後ろに隠したけれど、そんな簡単な隠し方でごまかせるはずもない。
「レーナ様ごきげんよう。こんなところにお一人で一体何をされてたのかな? かな? 皆に内緒にまでしてそれはいったいどんな楽しいことですか? 僕にも詳しく教えていただけますか?」
ニッコリと笑顔を浮かべたシオンの嫌みが私に突きささる。
「レーナ嬢、すまない」
フォルトはそういって頭を下げる、おそらくスライムのことをシオンにゲロったに違いない。
フォルトとシオンは今日も一緒に練習をしていたのだと思う。
私が魔力切れしかけたことで、当然シオンが気づき優先度が高いと判断された私の危機に練習を抜け出すことにしたけれど。
スライムという私のことで心辺りのあったフォルトはシオンが急に練習を辞める理由でまず私が思い当たってしまったのかもしれない。
「レーナ様、とりあえず身体がおつらいでしょうからおのりください」
リオンがそういって屈み私に背を向ける、それにもう今さら取り繕っても無駄とわかった私は観念しておんぶしてもらうことにした。
「でっ、何か言いたいことある?」
「もうここまで来ちゃったならついでなので、水路にいるスライムを一掃してください」
どうせ来ちゃったのだから、スライム討伐を皆にもお願いした。
私があれほど苦戦してたのに。
まず、フォルトが水路の水の中に手を入れた。
何かぶつぶつと呟くと。
「終わったと思う」
そういって水から手を出した。
「今何をしたの?」
「水の中にいるスライムを殺すために雷の魔法を唱えた。たぶん、水の中にいたのはこれで全滅したと思う」
はい、私の苦労がほぼ一瞬で大半が終わりました。
後はどうするのかと思えば、そのまま私は寮の部屋へ強制送還された。
メイドに告げ口されたくなければ。大人しくしてろってことをシオンに何度も何度も念押しして言われた。
リオンかシオンの監視が私についた可能性が高いと思う、さよなら私のつかの間の自由……とか思って2日後の朝。
なにやら重そうな袋を持ってシオンが部屋にやってきた。
「僕とリオンとフォルト様でスライムは一掃したから」
そういい残し置いていかれた袋を開けてみると、BB玉ほどのスライムを倒した時にでる戦利品がみっちり入っていた。
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