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人の恋路を応援している場合ではない
第8話 愛のない告白はさせない
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フォルトの問いの答えはノーだ。
私が今悩んでいることは、違約金のことだ。
金をどうやって工面するかでは悩んでいるけれど、次の婚約に関してはヤバいかも……程度で眠れないほどの危機感は抱いてない。
せっかくジークとの政略結婚を円満に解消したというのに、次はフォルトが次期領主になるために私と婚約してしまった場合。
私は再び相手を変えて政略結婚のために婚約をすることになってしまう。フォルトとの仲は改善した。けれど、忘れてはいけない大事なことがあるのだ。
最近はすっかり忘れつつあるけれど、この世界は乙女ゲーの世界であり。
フォルトもヒロインにとっては攻略対象者の一人であるということだ。
ジークと婚約していた頃はフォルトルートを選ばれたとしてもレーナには関係のない話だった。
でもレーナがフォルトと婚約してしまうとなればお話は別である。
現にフォルトは私が好きだから婚約したいわけではない。好きではないが自分にも結婚するメリットがあるし、昔と違い困ってる姿がほっとけないから婚約しようと言っているのだ。
これでは、婚約した後で彼がヒロインのことを好きになってしまえば、フォルトもジークのように婚約者である私を邪魔に思い破棄しようとするパターンになるのが一番怖い。
ジークとの婚約解消は仕方がなかったとしても、次にフォルトと婚約を円満に解消することになれば私は二度も婚約を解消したわけあり物件となってしまう。
シオンの言ってたアーヴァインの不良債権の言葉がちらつく。
「政略結婚で私がどれくらい悩んでいたか知っていて政略結婚を持ちかけるつもりですか?」
「俺はあいつとは違う」
確かに、私の知る限りですらジークの私に対する扱いはひどかったもんな。それよりマシだろう! と言われるとそうかもしれない。
「とにかく、今は今後の結婚について悩んでいるわけではありません」
「じゃぁ、何に悩んでいるんだ?」
「誰にも言わないと約束できますか?」
「その約束はできない。状況によっては周り助けを求めることは恥ずかしいことではないと前にレーナ嬢が言っていただろう」
「では話しません。それでは、ごきげんよう」
あの時はあの時、今は今である。自分の過去の発言を棚に上げて私はフォルトの前から去ろうとする。
「わかった。約束するから」
私が歩きだすと、フォルトのほうが折れた。
「スライムを知っていますか?」
「……スライム?」
間があってから、フォルトがゆっくりとした口調でそう復唱した。
「知らないならいいのです。それでは」
「待て待て待て、スライムは知っている。なぜレーナ嬢から今スライムって単語が出たのかが疑問だったんだ」
「街の水路に出るのです」
「まぁ、綺麗な水辺を好むから、水路にいることに関しては疑問はないが……。先に聞いておくが厄介なことに首を突っ込んではいないよな?」
フォルトがまっすぐと私を見つめるので、私は視線をサッと右下に逸らした。
「……とりあえずいつものメンバーには言わないか?」
すぐに思い浮かんだのはシオンの顔だった。
「ほら、一人にしておくからすぐ騙されたじゃん」
そう言うのが目に見えてる。
その次に出てきたのは、仲のいいアンナとミリーがかわいそうにと私が騙されたことを憐れむ様子。
最後にでてきたのはジーク、ため息をつきながらも「さっさと終わらせよう」と言ってき解決する様子が目に浮かぶ。
「貴族として解決したい問題ではないから悩んでいるのです」
私は自分の名誉を守るために嘘をついた。
「どういうことだ?」
「ちょっと、気になることがありまして。それを解決するためにはスライムを一掃したいのですが……フォルトだったらどうやって倒します?」
「普通に魔法でこう……」
魔法に長けてるフォルトと魔法がクソの私では倒し方に大きな差があったし、フォルトのはまねできないことだけがわかった。
「とにかく、どうにもならなくなったら助けてください」
「それはわかったけれど……」
「他言無用ですよ。特にシオンには絶対に言わないでください」
とにかく誰にも話すなと念押しをしてフォルトと別れた。
しかし、無駄に私の秘密をチラッと話すことになっただけで、解決の糸口すらつかめなかった。
私が今悩んでいることは、違約金のことだ。
金をどうやって工面するかでは悩んでいるけれど、次の婚約に関してはヤバいかも……程度で眠れないほどの危機感は抱いてない。
せっかくジークとの政略結婚を円満に解消したというのに、次はフォルトが次期領主になるために私と婚約してしまった場合。
私は再び相手を変えて政略結婚のために婚約をすることになってしまう。フォルトとの仲は改善した。けれど、忘れてはいけない大事なことがあるのだ。
最近はすっかり忘れつつあるけれど、この世界は乙女ゲーの世界であり。
フォルトもヒロインにとっては攻略対象者の一人であるということだ。
ジークと婚約していた頃はフォルトルートを選ばれたとしてもレーナには関係のない話だった。
でもレーナがフォルトと婚約してしまうとなればお話は別である。
現にフォルトは私が好きだから婚約したいわけではない。好きではないが自分にも結婚するメリットがあるし、昔と違い困ってる姿がほっとけないから婚約しようと言っているのだ。
これでは、婚約した後で彼がヒロインのことを好きになってしまえば、フォルトもジークのように婚約者である私を邪魔に思い破棄しようとするパターンになるのが一番怖い。
ジークとの婚約解消は仕方がなかったとしても、次にフォルトと婚約を円満に解消することになれば私は二度も婚約を解消したわけあり物件となってしまう。
シオンの言ってたアーヴァインの不良債権の言葉がちらつく。
「政略結婚で私がどれくらい悩んでいたか知っていて政略結婚を持ちかけるつもりですか?」
「俺はあいつとは違う」
確かに、私の知る限りですらジークの私に対する扱いはひどかったもんな。それよりマシだろう! と言われるとそうかもしれない。
「とにかく、今は今後の結婚について悩んでいるわけではありません」
「じゃぁ、何に悩んでいるんだ?」
「誰にも言わないと約束できますか?」
「その約束はできない。状況によっては周り助けを求めることは恥ずかしいことではないと前にレーナ嬢が言っていただろう」
「では話しません。それでは、ごきげんよう」
あの時はあの時、今は今である。自分の過去の発言を棚に上げて私はフォルトの前から去ろうとする。
「わかった。約束するから」
私が歩きだすと、フォルトのほうが折れた。
「スライムを知っていますか?」
「……スライム?」
間があってから、フォルトがゆっくりとした口調でそう復唱した。
「知らないならいいのです。それでは」
「待て待て待て、スライムは知っている。なぜレーナ嬢から今スライムって単語が出たのかが疑問だったんだ」
「街の水路に出るのです」
「まぁ、綺麗な水辺を好むから、水路にいることに関しては疑問はないが……。先に聞いておくが厄介なことに首を突っ込んではいないよな?」
フォルトがまっすぐと私を見つめるので、私は視線をサッと右下に逸らした。
「……とりあえずいつものメンバーには言わないか?」
すぐに思い浮かんだのはシオンの顔だった。
「ほら、一人にしておくからすぐ騙されたじゃん」
そう言うのが目に見えてる。
その次に出てきたのは、仲のいいアンナとミリーがかわいそうにと私が騙されたことを憐れむ様子。
最後にでてきたのはジーク、ため息をつきながらも「さっさと終わらせよう」と言ってき解決する様子が目に浮かぶ。
「貴族として解決したい問題ではないから悩んでいるのです」
私は自分の名誉を守るために嘘をついた。
「どういうことだ?」
「ちょっと、気になることがありまして。それを解決するためにはスライムを一掃したいのですが……フォルトだったらどうやって倒します?」
「普通に魔法でこう……」
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「とにかく、どうにもならなくなったら助けてください」
「それはわかったけれど……」
「他言無用ですよ。特にシオンには絶対に言わないでください」
とにかく誰にも話すなと念押しをしてフォルトと別れた。
しかし、無駄に私の秘密をチラッと話すことになっただけで、解決の糸口すらつかめなかった。
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