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人の恋路を応援している場合ではない

第5話 ぼっち

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 リオンのことどうしようと思ったけれど、数日間をあけ次にあった時、彼は普通だった。だから、いつも通りアンナとミリーとの学園生活の傍ら本の作成に取り掛かっていた。
 リオンはいつも通り出しゃばらず、先日のことは見間違いだったのでは? と思ったので、見間違いだったということにした。


 授業も段々ステップアップしていくのに、私はなんとかくらいついていた。まじめに授業に参加するということはとても大事だ。次のテストは前回よりも苦労せずにクリアできそうだわ。
 そんな感じで、平穏なキャンパスライフだったけれど、それは突然終わりを告げました。
 アンナとミリーは残るよう先生に言われたのだ。


 寮に先に戻り私が優雅にお茶を楽しんでいると、神妙な顔をしたアンナとミリーが訪問してきたのだ。
「お二人ともどうかしまして?」
 私がそう声をかけると、アンナとミリーはお互いの顔を見合わせた。
 そして、アンナが口を開いた。
「レーナ様。私とミリーなのですが。対抗戦のメンバーとして出てもらえないかと打診されたのです」
 対抗戦、そういえばそういうのあったなぁ。確か、学年でチームを組んで戦うとかいうやつよね。
 ヒロインも5年目から出場してたわ確か。なるほど、一年の間もちゃんとゲームでは省略されていただけで行事はあったというわけね。
 アンナとミリーは私と同じ、あまり成績がよくなかったり、潜在能力が低かったりするほうのクラスなのに選ばれたりするのね。でも、とても名誉なこととかいってたからここは応援してあげなければ。
「とても、名誉なことじゃない。二人のことは私が一番よくわかっておりますから、頑張ってきてくださいね」
「しかし、メンバーには私達の他にジーク様、フォルト様、シオン様が選ばれているので、それではレーナさまがしばらく放課後お一人に……」
 あっ、私以外のいつものメンバーが選出されているんだ……と思っていたらそれが口に出ていた。


 ある程度知り合いのほうが、連携が取れるとのことで……とアンナが申し訳なさそうに言った。
 私だけいつものメンバーだけれども、戦力外と選ばれなかったわけですか。それはしかたない……実際出たところで何もできないと思うし。



 次の日、アンナとミリーは承諾の返事をしたことで、私は放課後一人ぼっちになっていた。
 アンナとミリーはとても心配そうな顔で、口を開けば今からでも断るとしか言わない。
「私は参加したくともできないのです、二人はせっかく選ばれたのですから私の分も頑張ってほしい」
 そういうと気合いが入ったのか二人は練習に行ってしまった。
 リオンも今回の練習でけが人が出た場合の対処にあたるため忙しいときた。



 私は、学園に来て初めて自由の身となったのだ。
 すっかり置いといたけれど、婚活は全然進んでいない。声をかけてくださる貴族の殿方は今のところなし。
 私はちんたらしている場合ではないのだ。
 放課後監視の目がない今を十分に生かさなければと私は燃えていた。


 となると、まずは街へ行こう。
 向かったところは、ある意味なじみの店であるluckyネックレス様を買ったあの店である。
 私はやりたいことがあるのだ。


 おじさんに2階に上がるように促される。
「いつもありがとうございます、お嬢さま。本日はどのような物をご入り用でしょうか」
「相談があるのです、これを見てくださる?」
 私がとりだしたのは、髪と瞳の色が変わるシオンからもらったアンクレットだった。
 このアンクレットを装備すると、たちまち髪の色は白、瞳の色は金となるすぐれものである。ただ、魔力をものすごい食うのだ。だから私がつけていられるのはせいぜい30分という短い時間。

「これは、変わった商品ですね」
「装備すると、髪と瞳の色が変わるすぐれものですの」
「なんと!? 試してみても?」
 おじさんはワクワクしている。
「魔力はありまして? 魔力を使って色を変えるものなので……難しいかもしれません。代わりに私が」
 私はためしに足首につけて見せた。


 すると一瞬で私の金の髪は白色に緑の瞳は金色へと変わる。
「これは素晴らしい……それで、これをどうすれば……」
 おじさんはかなり興味心身である。
「30分しか使えないので困っているのです。魔力の消費を抑えることはできないかしら。金の髪と緑の瞳の色を変えたいのですが30分では使い勝手が悪いのです」
「なるほど。お時間がよろしければ職人を呼びますのでお待ちいただけますか?」
 おじさんにそう言われて私は職人を待つことにした。



 現れた職人はなんと学園の卒業生だそうだ。なるほど魔力持ちかつ此処で働いているということは、庶民の出なのかもしれない。
 話をしていると、髪を白色へと色を無くす変化にかなりの魔力が割かれていることが判明した。
 白と金にするのではなくて、私の元の髪に色をたして色を変えるようなものにすれば時間がもっと持つようになると思いますと前向きな返事がいただけたのだ。

 原理は説明されたけど全く分からなかったけれど。深緑の瞳にこげ茶色の髪に代わるものにすれば6時間はもつのではと打診され、シオンからのもらいものだけれど勝手に変えることにした。



 長い日数がかかるかと思いきや、色を変える術式とやらはすでに完成されてるので応用するだけでよかったらしくすぐに完成した。
 これだけの濃度の媒体が入れば自分ようにも欲しいと彼に言わせるほどであった。
 このアンクレットの素材自体がかなりレア物のようで、術式がわかったところで大量生産はできないそうだ。

 さっそく私はアンクレットを装備してみた。
 鏡の前にいたのは、焦げ茶の髪で深緑の瞳の女の子であった。おぉおお!! 色が変わるだけで印象が全然違うわ。

 よし、これでやりたいことができるわ!
 私は張り切ってお代を払って店を後にした。
 このアンクレットの存在のせいでややこしくなることになるとは知らずに。
 
 
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