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人の恋路を応援している場合ではない

第4話 私を罰して

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 魔剣はとても貴重である、特に対人戦でその凄さは発揮される。
 ほんの少しの傷でごっそりと相手の魔力を吸うことができるのだ、これ一本あるだけで戦況が覆せる場面が沢山あるに違いない。

 リオンはテーブルに2本の魔剣を置いて、私のことをじっと見つめた。
 私からの処分待ちなのだろう。
 それにしてもだ。主人が特に何も言わないからあわよくば二本目の魔剣を手に入れようとは大胆なことするものだと逆に感心してしまう。
 
「リオン、イケないことをしている自覚はあったということでよろしいですか?」
「はい、申し訳ありませんでした。レーナ様」
 リオンはとても素直に私に謝罪の言葉を述べた。


 本当なら手厳しく罰を与えたほうがいいのだと思う。
 だけど、それはそれでご褒美になるのではないかと思ってしまう。
 盟約による、私の質問へ答えないことの制約はとけおそらくもう苦しさなどはないはずである。
 だからなのだろうか。
 私を見つめるリオンの瞳に期待が込められている気がするのだ。
「この魔剣は本来存在してはいけないものです。どうするか考えておくのでそれまではリオンが保管しなさい。二本目の魔剣は本来ならここにあってはいけないものです。使用を禁じます。そして私の要請があれば引き渡すように」
「はい、かしこまりました」
 じゃぁ、そろそろ寮に戻ろう。
 私は椅子から立ち上がる。

「あっ、念のために聞いておきますが、もう私に知られては困ることなどありませんよね?」
「……ございます」
 まったく、いくつ私に知られたくない秘密をもってるのよ。魔剣をパクろうとしてましたを越えるような秘密などないだろうし、聞いておこう。

「それで、何?」
「それは……」
 リオンは言い淀む。
「魔剣の話を越えることはないでしょうし、さっさと諦めて話しなさい」
 リオンの隣に移動して、私はリオンの肩に手をのせて困った顔を除き混む。

「かし、かしこまりました」
 うんうん、素直に話してこれで終わりにしよう。それで何かしら。
 人の知られたくない秘密が聞けることでワクワクしてしまう。


「私は夏ごろからおかしいのです」
 これは、お悩み相談みたいね。
「夏ごろからですね。続けて」
「はい、レーナ様を私の思い込みで拘束した事件の後、公爵令嬢を命の危険にさらしたこと。公爵家嫡男も巻き込んだことで沢山の抗議がありとあらゆる手段で届きました」
 そうね、やはり沢山届いていたのね。

「私は精神的に追い込まれておりました。レーナ様の靴を私が舐めようとしたのを覚えていますか?」
「ちょっと待って」
 話が変な方向になってきてない?
「結局は舐めることはなく、私から遠ざかろうとしたおみ足に頬を蹴られましたが……」
「まって、これ以上は」
「舐めさえすればと希望をみいだした私はまだ少女で本来ならたった一発すら私に打撃を与えることなど不可能な貴女の靴に顔を寄せているときに屈辱と同時に「もう結構です! ストーーーーープ」
 なおも話を続けそうなリオンの口を私は両手でふさいだ。
「もうよいのです。秘密は秘密のままにしましょう。ねっ」
 目力でねじ伏せようとして、リオンがとても期待に満ちた顔でこちらを見つめていることに気がつき口に押し当てた手を外した。


「わかりました」
 私の手が放れるとリオンはそう言った。危ない話になるところだったわ。
「レーナ様、私はとても重要なことを秘密にしておりました。それに大事な白い手にお茶をかける粗相もいたしました。どうか、罰をお与えください」
 折角咎めないでおこうとしたのに、自ら要求してきた!


「リオン、貴方のことは前回無茶をさせました。貴方も疲れていて冷静な判断ができなかったのでしょう。自ら罪を認め罰と向き合えたからこそ許しましょう」
 リオンは椅子から降り地面に両ひざをつき私の前で最上礼の姿勢をとると、私の左手に自分の手を添え、そのままリオンと盟約した時傷をつけられた人差し指を親指の腹で撫でられる。

「恩赦に感謝いたします」
 そういってリオンはあの時と同じように軽く私の人差し指に唇をあてた。




 ヤバかった。いろんな意味でヤバかった。
リオン完全に扉が開いてない?
 本は早めに作ってしまいたいからリオンに何回か会いたいけれど、あれはしばらく日を置かないとダメだ。
 リオンがM なことはいい。
 問題は知らず知らずのうちに女王様のように振る舞いつつある私の方だ。ますます婚期が遠のいてしまうじゃないの!!




 

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