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ぬらりひょんと学校
第9話 キツネ
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シュカの手が汗ばんでるのがわかる。
私達どうなっちゃうの?
そう思った時だ、ひげを触りながらおじいちゃんキツネが口を開いた。
『私は長いこと、この地におるが信じられん。お前、この人間の童に名をやったな』
「見えるようでよかった。そうだよ、俺はこの子に名をあげた」
『一体何があった? 名を渡すなど、よほどのことがなければしまい……。風月。こやつらを一度中に入れ話を聞く。よいな』
おじいちゃんキツネは男の子キツネにそう言う。
『しかし主様』
不服そうにな顔で風月は口を開いたが『風月』と名を呼ばれて、『かしこまりまして』と頭を下げた。
どうやら、偉い順でもあるのか、風月と呼ばれたキツネはおじいちゃんキツネに頭を垂れると、鈴が沢山ついた不思議な物を取り出すとシャンシャンと振る。
すると、景色が揺らぐ。
「なに、なに、なんなのよ!?」
気がついたら、目の前には立派な神社のような建物があった。
『怖がることはない。中で茶菓子でも出してやろう』
手招きをされるけれど、そう言われてほいほいついて行くわけがない。
「そう言われて入るわけないじゃん」
私の思っていることをシュカも思ったようで、私を背にかばったままその場から1歩も動こうとしない。
『ここ数日、学校の様子がおかしくてなぁ……そのことと関係があるのか聞きたかっただけのこと……』
扇子を取り出すと口元を隠してフォッフォッフォとキツネのおじいさんはサンタクロースのように笑う。
「様子がおかしいって、なんかあったの?」
シュカは怪訝な顔で質問した。
『様子がおかしい理由がわからんから警戒しておる。お前の仕業だと言うならそれでいいのだ。人の世に混ざり生きるお前なら……』
パチンっとセンスが閉じられそう言われる。
「そうねー、俺だといいよね……」
『もうよい、風月戻してやれ』
『しかし、まだ話しは……』
『自分より脆い人間をずっと背にかばっておる。一人ならすぐに術を使って逃げれたはずよ……』
再びしゃんしゃんっと音がなり、景色が揺らぐ。するとまたお稲荷様の社の前に私たちは立っていた。
不機嫌そうに男の子キツネは人に化けた顔でシュカを睨みつけていた。
『主様が戻せと言ったから戻したが、僕は妖怪を信じていない。下手なまねをしないか見張っているからな』
「へいへい……そんなことしないよ」
そういってひらひらと手をふると、見守りキツネのお社を私たちは後にした。
◆◇◆◇
『主様、本当によろしかったので?』
社に戻り、風月がひげを蓄えた主に聞いた。
『あいつはあの童を害さんよ』
『なぜそう言えるのですか……』
『学校の敷地にある小さな社のものとはいえ、間違いなく我らの住まう場所は神域。ぬらりひょんは人の世に混ざり生きる人の形に近いものだが。同じく人の形をとれる我々と違うところがある。風月それはなんだと思う?』
ひげをなでつけ、そう風月に問う。主様はいつもそうだ。
そうやって、答えを僕に考えさせるのだ。だから、風月も考える。
だが、風月にはわからない。人の姿になった己の姿は、学校にいる子供と変わらない。
そして、先ほどみた妖怪も見た目は人と区別がつかない。いささか変わった髪型とあまり見ない服装をしていたくらい……
『お前は考え過ぎて、何も口にできぬのが悪いところだ。我々は神の使い。神域に入っても問題がない。でも、妖怪は違う。神域の空気はきれいすぎて、妖怪は長くおれん。奴一人なら己の術を使い神域に引きずり込まれたりしなかっただろう』
『それは、あいつが未熟だったのでは?』
僕と背も変わらなかった。大人ではないと思う……だからこそ、風月はそう言った。
『奴は逃げなかった。自分とは違い逃げることができない人間のために神域にきたのだ。神域に引きずり込めなんだら、童から引っぺがしてやろうと思ったが、ついてきたんじゃしょうがあるまい。長く生きていると面白いこともあるものよ。本当にあいつは大事な名を人間のあんな小さな童にやったのに違いない』
そういうと、ひげをなでながら主はフォッフォッフォと大きな声で笑った。
逃げれなかったのではない、逃げなかった……そんなはずない風月は心の中で悪態をついた。
『そんな顔をするでない。それにしても、あいつあんな風に見栄をきって背に童をかばっておったが、神域にあれだけ滞在すれば、おそらく体中が筋肉痛のように痛くなってのたうちまわるはめになるだろうなぁ。もうそれを考えたら、めっちゃ面白いのう』
『「めっちゃ」とか使わないでくださいませ』
『時は流れる、我々も時代に混じり変わっていくのだ。お前だって苺大福が好きな癖にわしの言葉づかい一つに目くじら立ておって。そうじゃ、これを渡してやれ筋肉痛によーう効く』
主から小さな軟膏を手渡された。
『ん? これは……』
『もっていっておやり、お前は稲荷の周辺から離れたことがないだろう。そろそろいい頃だ。外の世界を見ておいで』
そういって、主様はふぉっふぉっふぉといつものように笑った。
私達どうなっちゃうの?
そう思った時だ、ひげを触りながらおじいちゃんキツネが口を開いた。
『私は長いこと、この地におるが信じられん。お前、この人間の童に名をやったな』
「見えるようでよかった。そうだよ、俺はこの子に名をあげた」
『一体何があった? 名を渡すなど、よほどのことがなければしまい……。風月。こやつらを一度中に入れ話を聞く。よいな』
おじいちゃんキツネは男の子キツネにそう言う。
『しかし主様』
不服そうにな顔で風月は口を開いたが『風月』と名を呼ばれて、『かしこまりまして』と頭を下げた。
どうやら、偉い順でもあるのか、風月と呼ばれたキツネはおじいちゃんキツネに頭を垂れると、鈴が沢山ついた不思議な物を取り出すとシャンシャンと振る。
すると、景色が揺らぐ。
「なに、なに、なんなのよ!?」
気がついたら、目の前には立派な神社のような建物があった。
『怖がることはない。中で茶菓子でも出してやろう』
手招きをされるけれど、そう言われてほいほいついて行くわけがない。
「そう言われて入るわけないじゃん」
私の思っていることをシュカも思ったようで、私を背にかばったままその場から1歩も動こうとしない。
『ここ数日、学校の様子がおかしくてなぁ……そのことと関係があるのか聞きたかっただけのこと……』
扇子を取り出すと口元を隠してフォッフォッフォとキツネのおじいさんはサンタクロースのように笑う。
「様子がおかしいって、なんかあったの?」
シュカは怪訝な顔で質問した。
『様子がおかしい理由がわからんから警戒しておる。お前の仕業だと言うならそれでいいのだ。人の世に混ざり生きるお前なら……』
パチンっとセンスが閉じられそう言われる。
「そうねー、俺だといいよね……」
『もうよい、風月戻してやれ』
『しかし、まだ話しは……』
『自分より脆い人間をずっと背にかばっておる。一人ならすぐに術を使って逃げれたはずよ……』
再びしゃんしゃんっと音がなり、景色が揺らぐ。するとまたお稲荷様の社の前に私たちは立っていた。
不機嫌そうに男の子キツネは人に化けた顔でシュカを睨みつけていた。
『主様が戻せと言ったから戻したが、僕は妖怪を信じていない。下手なまねをしないか見張っているからな』
「へいへい……そんなことしないよ」
そういってひらひらと手をふると、見守りキツネのお社を私たちは後にした。
◆◇◆◇
『主様、本当によろしかったので?』
社に戻り、風月がひげを蓄えた主に聞いた。
『あいつはあの童を害さんよ』
『なぜそう言えるのですか……』
『学校の敷地にある小さな社のものとはいえ、間違いなく我らの住まう場所は神域。ぬらりひょんは人の世に混ざり生きる人の形に近いものだが。同じく人の形をとれる我々と違うところがある。風月それはなんだと思う?』
ひげをなでつけ、そう風月に問う。主様はいつもそうだ。
そうやって、答えを僕に考えさせるのだ。だから、風月も考える。
だが、風月にはわからない。人の姿になった己の姿は、学校にいる子供と変わらない。
そして、先ほどみた妖怪も見た目は人と区別がつかない。いささか変わった髪型とあまり見ない服装をしていたくらい……
『お前は考え過ぎて、何も口にできぬのが悪いところだ。我々は神の使い。神域に入っても問題がない。でも、妖怪は違う。神域の空気はきれいすぎて、妖怪は長くおれん。奴一人なら己の術を使い神域に引きずり込まれたりしなかっただろう』
『それは、あいつが未熟だったのでは?』
僕と背も変わらなかった。大人ではないと思う……だからこそ、風月はそう言った。
『奴は逃げなかった。自分とは違い逃げることができない人間のために神域にきたのだ。神域に引きずり込めなんだら、童から引っぺがしてやろうと思ったが、ついてきたんじゃしょうがあるまい。長く生きていると面白いこともあるものよ。本当にあいつは大事な名を人間のあんな小さな童にやったのに違いない』
そういうと、ひげをなでながら主はフォッフォッフォと大きな声で笑った。
逃げれなかったのではない、逃げなかった……そんなはずない風月は心の中で悪態をついた。
『そんな顔をするでない。それにしても、あいつあんな風に見栄をきって背に童をかばっておったが、神域にあれだけ滞在すれば、おそらく体中が筋肉痛のように痛くなってのたうちまわるはめになるだろうなぁ。もうそれを考えたら、めっちゃ面白いのう』
『「めっちゃ」とか使わないでくださいませ』
『時は流れる、我々も時代に混じり変わっていくのだ。お前だって苺大福が好きな癖にわしの言葉づかい一つに目くじら立ておって。そうじゃ、これを渡してやれ筋肉痛によーう効く』
主から小さな軟膏を手渡された。
『ん? これは……』
『もっていっておやり、お前は稲荷の周辺から離れたことがないだろう。そろそろいい頃だ。外の世界を見ておいで』
そういって、主様はふぉっふぉっふぉといつものように笑った。
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