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私と恋
第1話 春は恋の季節
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ぽかぽかと春の陽気が気持ちいい。
暑くなく、寒くもなく。
頬にあたる風はちょうどいい。
天気のいい日は、少し早めに家をでて、一駅分歩いてから電車に乗って大学に行くようになった。
古屋さんのようにおしゃれではないけれど。
ショーウィンドーに映った白のスニーカーと春らしい薄い黄緑のシフォン素材のふんわりとしたマーメイドスカートを履いた自分をみて、我ながら春らしいコーデをしているのでは? と自画自賛してしまう。
プライベートでは、むだ毛の手入れが面倒とか、足が太目だからとかなんとなく抵抗があって今までパンツスタイルが多かったけれど。
ロングスカートや今履いているふくらはぎまで長さのあるマーメイドスカートのようなものなら、私だってスカートを楽しめるじゃんと気が付いた。
といっても、これも石井実来が自分で気が付いたことではなく。
またも古屋さんにSNSで春物どういうの買った? という話をしていたときに。
『きっと今が自分の人生で一番スタイルいいよね』と何気に送られてきた言葉が胸に響いて。
確かに年齢を重ねてからだとさらにチャレンジしにくくなるし。
今が自分史上一番足が細いのではないか? と思ったことで、まだまだ短いものは抵抗があるけれど、スカートも長いのならと手をだしてみたらこれがうまくいった。
ちょっと女の子らしい恰好は私なんかがと言うところがあったけれど。
ものすごくかわいくスタイルのいい子と同じは流石に無理だけれど、私なりに楽しむことはちょっとずつできるようになっていて。
私は今の私をちょっと気に入っている。
大学の教室でちょっと疲れた顔で希と話をする裕美の隣を通るのはちょっとだけ希を裕美だけに押し付けた罪悪感があるけれど。
裕美と一応返事はしてくれないけれど希に『おはよう』と声をかけて、二人の隣を通り過ぎて、麗奈、白雪ちゃん、朋ちゃんの今のいつメンのところに行くことも慣れてきた。
「あ~そのスカート新しいんじゃない? いいじゃん」
麗奈がさっそく私のスカートをみてそういう。
「春らしいでしょう」
そういって、私は3人の前で得意げにくるっと一回転する。
「前は着なかったような系統だよね」
にやにやとして朋ちゃんが私に問いかける。
「もしかして、彼氏できたとか~? 実来ちゃん私聞いてないよ~」
白雪ちゃんが薄情なやつめと言わんばかりに絡んでくる。
「できてないできてない。春物かわいいなって買ってみただけだよ~」
今まで彼氏ができたことがない私としては焦って『ないない』と否定してしまう。
「実来、前言ってたバイトの先輩とはどうなったのよ?」
「あ~、ヨッシー先輩は……秋にバイト辞めちゃって。個別での連絡は交換してなかったから、今はどうしているかわかんないデス。ところで3人は彼氏いたよね?」
麗奈の尋問に、もう少し甘酸っぱいことが答えられたらよかったんだけれど。
私が好きになった前のバイト先『さのさの』で働いていた、一つ年上のヨッシー先輩は、秋にバイトをやめてSNSのグループから退会しちゃってからは、連絡先も知らないし、今はどこで何をしているかわからない状態だ。
確か麗奈はサークルの先輩と付き合っていて、白雪ちゃんと朋ちゃんは高校の頃から付き合っていた人がいたとかだったような。
「あ~サークルの先輩はクリスマス前に振った、束縛強くてさ。女同士で遊びに行くのよりも自分を優先って言われてたら冷めちゃった。今はサークル同じ別の子とバイト先の子がご飯誘ってきてくれるから、それにたまに行く感じかな。どっちとも付き合うとかはまだ考えられないけれど」
「あっ、そうなんだ」
さらりと言われた麗奈の言葉に私は戸惑った。
ヨッシー先輩に個別の連絡先すら聞けずに終わった私とは大違いだ。
彼氏と別れてそんなに経っていないのに、もう別の男の子とご飯行ったりしてるんだ。それも一人じゃなくて二人だし、付き合うとかは二人とも考えられないとか、私には考えられない贅沢な悩みだ。
麗奈サバサバタイプの姉御肌。
すごく美人さんっていうわけじゃないけれど。
スタイルがよくて、服も流行を取り入れた物をさらっと着こなすおしゃれさんだし。
爪のネイルまで自分で好きだからってまめに整えている。
それに遊びの提案もバンバンしてくれてグループの中心人物になるような子。
こういうイベントあるから行こうよ~とか、楽しいことを探すのが好きなタイプで同性の私から見てもモテる理由が解る要領がいい、魅力的なタイプだ。
「私は他に好きな人ができて、高校の頃の彼氏とは別れて……今は、同じ大学の一つ上の先輩と付き合ってるんだ。別れてないのは朋ちゃんだけ。もう4年目だったよね?」
白雪ちゃんも、すでに前の彼氏とは別れて違う相手を大学で見つけてつきあっていると言い出した。
同じ大学に通っているけれど、私はそういう出会い一つもなかったし。女の子とは何人かと連絡先を交換したけれど、同じ大学の男子とは全然連絡先交換してない。
一体いつ交換したの? と戸惑ってしまう。
白雪ちゃんはサバサバした麗奈と違い女から見ても女らしいタイプ。
名は体を表すとはまさにっていう、白い肌にぱっちり二重のかわいい女の子だ。
かわいい子の中には、面倒なことはしない、周りに押し付けるって子も多いけれど。
麗奈が旅行を提案すると、なら予約しちゃうね~って面倒なことをさらっとできる。少なくとも女子にはちゃんと気遣い面倒なことでも引き受けるから、女子ともあまり衝突しないのだと思う。
「もう4年目。ここまでくるとお互いのことわかっているから、かなり楽~」
そういってニコっと朋ちゃんは笑う。
朋ちゃんはふんわりとした癖っ毛でいつもニコニコしていて、場の空気をよむのがうまくて気遣いがすごくできる子だ。
麗奈のようなグループの中心人物になることはないし、白雪ちゃんのようにすごくかわいいよねってわけでもない。
いろいろ予約したり、面倒なことをするタイプでもないんだけれど。
一緒に行動したいと思う様な子から当たり前に同じグループとして扱われて、声がかかるような子、それが朋ちゃん。
私と同じで朋ちゃんも気遣いする人なんだけれど、しなくてもいいようなことにまで気を使っちゃう私と違って。
今思うと、やんわり見切ったり、距離をとったりするのがうまいというか。
なんていうか女の子の人間関係が得意なタイプなんだと思う。
という私石井実来は、ちょっと前までは『でもでもだって』と言い訳をして、今の環境に甘んじるタイプ。
嫌なことがあっても我慢。その結果生きづらくなっていた子。
今は学校生活に影響が出そうなブラックバイトをちゃんと辞めれて。
初めて自分がより楽しい学校生活を送れるようにグループ移動をしてみたばかり。
恋愛も好きな人はいたし、バイト先が同じだったにも関わらず、プライベートの連絡先すら交換できないヘタレだ。
3人ともちゃんと恋愛してるとあせりがうまれる。
一人の人とじっくり付き合える朋ちゃんも尊敬するし。
何より私がまだ一人とすらつきあえていないのに大学の別の学部に新しい彼氏ができた白雪ちゃん。
私がまだ大学の誰とも連絡先すら交換していないのに、付き合っていた彼氏と別れてまだそんな日が経っていないのに、二人の男の子からデートに誘われている麗奈。
同じグループなのに恋愛格差がヤバいぞと内心すごく焦りだした。
暑くなく、寒くもなく。
頬にあたる風はちょうどいい。
天気のいい日は、少し早めに家をでて、一駅分歩いてから電車に乗って大学に行くようになった。
古屋さんのようにおしゃれではないけれど。
ショーウィンドーに映った白のスニーカーと春らしい薄い黄緑のシフォン素材のふんわりとしたマーメイドスカートを履いた自分をみて、我ながら春らしいコーデをしているのでは? と自画自賛してしまう。
プライベートでは、むだ毛の手入れが面倒とか、足が太目だからとかなんとなく抵抗があって今までパンツスタイルが多かったけれど。
ロングスカートや今履いているふくらはぎまで長さのあるマーメイドスカートのようなものなら、私だってスカートを楽しめるじゃんと気が付いた。
といっても、これも石井実来が自分で気が付いたことではなく。
またも古屋さんにSNSで春物どういうの買った? という話をしていたときに。
『きっと今が自分の人生で一番スタイルいいよね』と何気に送られてきた言葉が胸に響いて。
確かに年齢を重ねてからだとさらにチャレンジしにくくなるし。
今が自分史上一番足が細いのではないか? と思ったことで、まだまだ短いものは抵抗があるけれど、スカートも長いのならと手をだしてみたらこれがうまくいった。
ちょっと女の子らしい恰好は私なんかがと言うところがあったけれど。
ものすごくかわいくスタイルのいい子と同じは流石に無理だけれど、私なりに楽しむことはちょっとずつできるようになっていて。
私は今の私をちょっと気に入っている。
大学の教室でちょっと疲れた顔で希と話をする裕美の隣を通るのはちょっとだけ希を裕美だけに押し付けた罪悪感があるけれど。
裕美と一応返事はしてくれないけれど希に『おはよう』と声をかけて、二人の隣を通り過ぎて、麗奈、白雪ちゃん、朋ちゃんの今のいつメンのところに行くことも慣れてきた。
「あ~そのスカート新しいんじゃない? いいじゃん」
麗奈がさっそく私のスカートをみてそういう。
「春らしいでしょう」
そういって、私は3人の前で得意げにくるっと一回転する。
「前は着なかったような系統だよね」
にやにやとして朋ちゃんが私に問いかける。
「もしかして、彼氏できたとか~? 実来ちゃん私聞いてないよ~」
白雪ちゃんが薄情なやつめと言わんばかりに絡んでくる。
「できてないできてない。春物かわいいなって買ってみただけだよ~」
今まで彼氏ができたことがない私としては焦って『ないない』と否定してしまう。
「実来、前言ってたバイトの先輩とはどうなったのよ?」
「あ~、ヨッシー先輩は……秋にバイト辞めちゃって。個別での連絡は交換してなかったから、今はどうしているかわかんないデス。ところで3人は彼氏いたよね?」
麗奈の尋問に、もう少し甘酸っぱいことが答えられたらよかったんだけれど。
私が好きになった前のバイト先『さのさの』で働いていた、一つ年上のヨッシー先輩は、秋にバイトをやめてSNSのグループから退会しちゃってからは、連絡先も知らないし、今はどこで何をしているかわからない状態だ。
確か麗奈はサークルの先輩と付き合っていて、白雪ちゃんと朋ちゃんは高校の頃から付き合っていた人がいたとかだったような。
「あ~サークルの先輩はクリスマス前に振った、束縛強くてさ。女同士で遊びに行くのよりも自分を優先って言われてたら冷めちゃった。今はサークル同じ別の子とバイト先の子がご飯誘ってきてくれるから、それにたまに行く感じかな。どっちとも付き合うとかはまだ考えられないけれど」
「あっ、そうなんだ」
さらりと言われた麗奈の言葉に私は戸惑った。
ヨッシー先輩に個別の連絡先すら聞けずに終わった私とは大違いだ。
彼氏と別れてそんなに経っていないのに、もう別の男の子とご飯行ったりしてるんだ。それも一人じゃなくて二人だし、付き合うとかは二人とも考えられないとか、私には考えられない贅沢な悩みだ。
麗奈サバサバタイプの姉御肌。
すごく美人さんっていうわけじゃないけれど。
スタイルがよくて、服も流行を取り入れた物をさらっと着こなすおしゃれさんだし。
爪のネイルまで自分で好きだからってまめに整えている。
それに遊びの提案もバンバンしてくれてグループの中心人物になるような子。
こういうイベントあるから行こうよ~とか、楽しいことを探すのが好きなタイプで同性の私から見てもモテる理由が解る要領がいい、魅力的なタイプだ。
「私は他に好きな人ができて、高校の頃の彼氏とは別れて……今は、同じ大学の一つ上の先輩と付き合ってるんだ。別れてないのは朋ちゃんだけ。もう4年目だったよね?」
白雪ちゃんも、すでに前の彼氏とは別れて違う相手を大学で見つけてつきあっていると言い出した。
同じ大学に通っているけれど、私はそういう出会い一つもなかったし。女の子とは何人かと連絡先を交換したけれど、同じ大学の男子とは全然連絡先交換してない。
一体いつ交換したの? と戸惑ってしまう。
白雪ちゃんはサバサバした麗奈と違い女から見ても女らしいタイプ。
名は体を表すとはまさにっていう、白い肌にぱっちり二重のかわいい女の子だ。
かわいい子の中には、面倒なことはしない、周りに押し付けるって子も多いけれど。
麗奈が旅行を提案すると、なら予約しちゃうね~って面倒なことをさらっとできる。少なくとも女子にはちゃんと気遣い面倒なことでも引き受けるから、女子ともあまり衝突しないのだと思う。
「もう4年目。ここまでくるとお互いのことわかっているから、かなり楽~」
そういってニコっと朋ちゃんは笑う。
朋ちゃんはふんわりとした癖っ毛でいつもニコニコしていて、場の空気をよむのがうまくて気遣いがすごくできる子だ。
麗奈のようなグループの中心人物になることはないし、白雪ちゃんのようにすごくかわいいよねってわけでもない。
いろいろ予約したり、面倒なことをするタイプでもないんだけれど。
一緒に行動したいと思う様な子から当たり前に同じグループとして扱われて、声がかかるような子、それが朋ちゃん。
私と同じで朋ちゃんも気遣いする人なんだけれど、しなくてもいいようなことにまで気を使っちゃう私と違って。
今思うと、やんわり見切ったり、距離をとったりするのがうまいというか。
なんていうか女の子の人間関係が得意なタイプなんだと思う。
という私石井実来は、ちょっと前までは『でもでもだって』と言い訳をして、今の環境に甘んじるタイプ。
嫌なことがあっても我慢。その結果生きづらくなっていた子。
今は学校生活に影響が出そうなブラックバイトをちゃんと辞めれて。
初めて自分がより楽しい学校生活を送れるようにグループ移動をしてみたばかり。
恋愛も好きな人はいたし、バイト先が同じだったにも関わらず、プライベートの連絡先すら交換できないヘタレだ。
3人ともちゃんと恋愛してるとあせりがうまれる。
一人の人とじっくり付き合える朋ちゃんも尊敬するし。
何より私がまだ一人とすらつきあえていないのに大学の別の学部に新しい彼氏ができた白雪ちゃん。
私がまだ大学の誰とも連絡先すら交換していないのに、付き合っていた彼氏と別れてまだそんな日が経っていないのに、二人の男の子からデートに誘われている麗奈。
同じグループなのに恋愛格差がヤバいぞと内心すごく焦りだした。
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