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家出少女 佐藤こころ
第6話 大人に助けを求める理由
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殴られたのを見て見ぬふりをしたとき、佐藤こころの母親は子供を守る母としては死んでしまったのだ。
絶対に自分の味方をしてくれるそう思っていた母親のその態度は、家にとどまっていた佐藤こころが家にとどまる理由を無くした。
家は安らげる場所ではないし、とどまりたい場所でもなくなった。
「なるほどなるほど。誰か大人に相談しましたか?」
「小学校の先生が一度痣に気がついて気にかけてくれたけれど、転んだって言ってからは何も言ってこなくなった。友達には相談できないし。大人も誰に話していいかわからない」
虐待の問題はデリケートである、まず間違いなく親が敵に回る。子供も自己申告などしてないならば先生も危険な橋を渡れなかったのだろう。
自分の思いのたけをようやく全部吐き出したことで安堵したのかもしれない。
ぽろぽろと大粒の涙が頬を伝った。
まだ甘えたい盛りで、本来ならば思春期がきて親に反抗が始まってもおかしくない年齢だ。
でも、彼女の母親は彼女が殴られているのを見て見ぬふりをしたその日から彼女が安心し頼れる相手ではなくなった。
「今身体に痣はある?」
「あります。お腹と胸のところ、顔とか腕とか足とかは絶対殴らない」
「お腹のところ写真を撮ってもかまわないかしら?」
私の問いかけにうなずいた。
喫茶アジフライのバックヤードに移動して、お腹を見えるように制服を持ち上げてもらい。
患部のアップと顔も入った写真をポラロイドカメラで撮影する。
「さて、家をでる解決案として2つ考えてみたわ」
「2つですか?」
「まず、一つ目。児童福祉施設に逃げる場合。あなは未成年だから児童福祉施設に虐待児として保護してもらえる可能性が高いわ。今から私と一緒に病院にいって、傷を見てもらい病院と警察に動いてもらう場合。ただ、子供を親から引き離すのってとっても難しいことなの。あなたが声を上げたとしても、すぐに保護まで動くかはわからないし。保護されたとしても、反省したとあなた母親が児童福祉施設に謝りに来てしまったらどうするのか……」
「2つ目は、あなたのお父さんに引き取ってもらえないかを考える。ただ、離婚してるから、お父さんはすでに別の家庭を持っているかもしれないし。独身だったとしても、あなたが来ることを歓迎してくれるかはわからない」
「お父さんがどにいるかなんて、私はわからないし。お母さんは居場所を知ってても、今お父さんの居場所を聞いても答えてくれないと思いますし。調べるようなお金もないです」
「役所で戸籍の附票を請求しましょう。本籍地が違えばそちらに請求しないといけないとかありますが、探している人物はあなたの父親なのでこの手が使えます」
「附票?」
「本来は遺産相続のときにやるやり方ね。権利のある人にちゃんと話さないともめるでしょう。でも、今は連絡を取ってなかったり、どこにいるかわからない人あいてにどうすればいいかってときに、戸籍をつかって、今どこにいるかちゃんと調べられるようになっているのよ。もちろん制限はあるけれど。あなたが探すのは父親、娘なら簡単に役場で調べられるのよ」
それからすぐ佐藤こころは市役所で父の戸籍の附票を請求を行ったのだ。無料相談の弁護士がいる曜日と時間だったこともよかったのだと思う。父の居場所とは関係のない市役所での戸籍の附票を請求だったが、無料相談の弁護士の助言と職員の対応により時間はかかったが父親の住所を手に入れることができたのだ。
通話履歴をとられてはとのことから、佐藤こころは父親に手紙を書いたのだ。
絶対に自分の味方をしてくれるそう思っていた母親のその態度は、家にとどまっていた佐藤こころが家にとどまる理由を無くした。
家は安らげる場所ではないし、とどまりたい場所でもなくなった。
「なるほどなるほど。誰か大人に相談しましたか?」
「小学校の先生が一度痣に気がついて気にかけてくれたけれど、転んだって言ってからは何も言ってこなくなった。友達には相談できないし。大人も誰に話していいかわからない」
虐待の問題はデリケートである、まず間違いなく親が敵に回る。子供も自己申告などしてないならば先生も危険な橋を渡れなかったのだろう。
自分の思いのたけをようやく全部吐き出したことで安堵したのかもしれない。
ぽろぽろと大粒の涙が頬を伝った。
まだ甘えたい盛りで、本来ならば思春期がきて親に反抗が始まってもおかしくない年齢だ。
でも、彼女の母親は彼女が殴られているのを見て見ぬふりをしたその日から彼女が安心し頼れる相手ではなくなった。
「今身体に痣はある?」
「あります。お腹と胸のところ、顔とか腕とか足とかは絶対殴らない」
「お腹のところ写真を撮ってもかまわないかしら?」
私の問いかけにうなずいた。
喫茶アジフライのバックヤードに移動して、お腹を見えるように制服を持ち上げてもらい。
患部のアップと顔も入った写真をポラロイドカメラで撮影する。
「さて、家をでる解決案として2つ考えてみたわ」
「2つですか?」
「まず、一つ目。児童福祉施設に逃げる場合。あなは未成年だから児童福祉施設に虐待児として保護してもらえる可能性が高いわ。今から私と一緒に病院にいって、傷を見てもらい病院と警察に動いてもらう場合。ただ、子供を親から引き離すのってとっても難しいことなの。あなたが声を上げたとしても、すぐに保護まで動くかはわからないし。保護されたとしても、反省したとあなた母親が児童福祉施設に謝りに来てしまったらどうするのか……」
「2つ目は、あなたのお父さんに引き取ってもらえないかを考える。ただ、離婚してるから、お父さんはすでに別の家庭を持っているかもしれないし。独身だったとしても、あなたが来ることを歓迎してくれるかはわからない」
「お父さんがどにいるかなんて、私はわからないし。お母さんは居場所を知ってても、今お父さんの居場所を聞いても答えてくれないと思いますし。調べるようなお金もないです」
「役所で戸籍の附票を請求しましょう。本籍地が違えばそちらに請求しないといけないとかありますが、探している人物はあなたの父親なのでこの手が使えます」
「附票?」
「本来は遺産相続のときにやるやり方ね。権利のある人にちゃんと話さないともめるでしょう。でも、今は連絡を取ってなかったり、どこにいるかわからない人あいてにどうすればいいかってときに、戸籍をつかって、今どこにいるかちゃんと調べられるようになっているのよ。もちろん制限はあるけれど。あなたが探すのは父親、娘なら簡単に役場で調べられるのよ」
それからすぐ佐藤こころは市役所で父の戸籍の附票を請求を行ったのだ。無料相談の弁護士がいる曜日と時間だったこともよかったのだと思う。父の居場所とは関係のない市役所での戸籍の附票を請求だったが、無料相談の弁護士の助言と職員の対応により時間はかかったが父親の住所を手に入れることができたのだ。
通話履歴をとられてはとのことから、佐藤こころは父親に手紙を書いたのだ。
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