イディーラ学園の秘密部

碧猫 

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作戦

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 やっぱり、追ってきている感じはしない。ここから出る事ができないって思って急いで追っていないのかな。

「この辺まで行けば話す余裕はあるだろうね」
「話?」
「うん。星音と一緒に三人でここから出る方法。後で何言われるか分からないけど」

 どういう意味なんだろう。というか誰に言われるんだろう。

「どうすれば良いの?」
「まず、星音はあの天使さんの言葉の意味を理解している?」
「してない」
「星音の事を飼おうとしているんだ」

 飼う?それってペットって事かな?
 絶対やだよ!ペットになるなら月華のって決まってるんだから!

「うーん、変な事紛れてる気がしなくもないけど。そうできなくする方法があるんだ」
「そうなの?どんな方法?」
「んっと、飼い主を自分で先に決めちゃう?一度飼い主を決めれば、変えるのにはいろいろと手順が必要になるから」

 手順ってなんなんだろう。でも、とりあえず飼い主を自分で選べるんだよね。

 それなら

「月華が良い」
「蝶華にしてやれ」
「やだ」
「なんで?」
「だって、蝶華は飼い主じゃなくて旦那さんなんだもん」

 だから嫌なの。だってそういう事なんじゃないの?飼うって事は。

「飼うって言っても、そんな上下関係産まないから気にしなくて良いよ」
「そうなの?」
「お前俺には飼われて良いって事は」
「ペットの方が立場上だよ?だって猫とかってご主人様の事をお世話する下僕って思っているんじゃないの?」
「……言いたい事はあるが、見つかる前にやる事やらないとだな」

 違うの?猫ってそういう生き物ってどっかで見た記憶があるんだけど。

「うん。そうだね」
「ところで、契約の仕方って」
「えっと、前に習ったから多分大丈夫だと思うけど」
「俺覚えてないから」
「うん。知ってる。あの時隣で寝てて何も聞いていなかったからね」
「だって必要ないって思ってたから」

 月華ってお勉強中に寝る事あるんだ。いくら必要ないって思っていてもちゃんと聞いていると思ってた。

「やり方は簡単だよ。手を繋いで契約の術を言うだけ」
「ケイヤクノジュヲイウダケ?」

 んっと、理解不能。

「僕が言うのを真似すれば良いよ」
「それならできるよ」

 流石に真似するだけだったら私もできるよ。

「じゃあ、始めるね」
「うん」

 こうやって蝶華と両手を繋いでいると、なんだか逃げ出したい気分。

      ******

 ……やる前までは楽だなって思ってたんです。知らなかったんです。

 これでもう五十回目。
 そろそろ見つかりそうだし早く成功させたいんだけど。

「主に誓おう。汝と契約を。主により生み出された御力を全て汝に捧げよう」

 やっと言えた。何度も失敗して大変だったけど。
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