二つの世界を彷徨う銀の姫

碧猫 

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二十五の世界 大蛇

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 本当は今日も掃除の予定だったのだが、シェフィに大蛇に会いに行くと言われて外へ出ている。しかも日付が変わった瞬間に行くと言われた。

 明日なら明日って言ってほしい。今度って言い方だったからこんなに早くに行くとは思ってなかった。

「シェフィ、ここからは道ないから気をつけてね」
「道がない?」
「うん。見える道はないよ。透明な道ならあるけど」

 落ちないように気をつけろという事か。シェフィの真後ろ通っておけば落ちないだろう。

「プシェ、手繋ご」
「だが、それでは落ちて」
「落ちないから大丈夫だよ。下見ると怖いかもしれないから気をつけてって事だから。ちゃんと壁あるから落ちない」

 そうだったのか。普通に絶景としか思えないのだが。

 大蛇がいる場所というのは人が行く事のできない空高くの空中庭園。

 空高くというだけあり下は嫌いな人は嫌いだろうがかなりの絶景だ。現在時刻が夜という事だからだろうが、街の光が星のようだ。

「……シェフィ、もしかして」
「ほら、早くいこいこ」

 いつもよりテンションが高い。高くしているみたいだ。

 しかも、一度も下を見ていない。これは、もしかしなくともそういう事なのだろうな。

「……下綺麗だな」
「そうなんだー」
「苦手だろう?」
「なにが?」
「高いの」
「なんの事?それより早く行かないとだいちゃん待たせちゃうよ」
「景色を見ながら行きたい。こんなに良い景色普段から見る事できないからな」
「……景色楽しめないようにこの時間にしたのに失敗だった」

 それなら昼にするべきだろう。夜の方が景色が良いんだが。

「プシェ、長く止まっていると落ちるよ」
「さっき落ちないと言っていただろう」
「……高いところ無理だから早く行きたい」
「やっと言ったか。なら、少し速く歩くか?」
「走って行きたいけど、それだとプシェが追いつけなくなるだろうからそうする」

 少し歩くスピードを上げる。

「プシェ、もう直ぐ着くよ」
「やっとか」

 これでも一時間は経っているんだ。やっと大蛇のところへ辿り着いた。

「これが大蛇か。美しいな」

 綺麗な薄紅色をした大蛇。顔しか見えないが、そこだけでも美しさが詰まっている。

 全体を見ればどれだけ美しい事か。

「だいちゃん久しぶり」
「一年ぶりですね」
「うん。今日は可愛いプシェ連れてきたよ」
「そうですか。ようこそいらっしゃいました。可愛い銀の姫君」
「だいちゃん、プシェがあの空間みたいって言うからお願いできる?」
「ええ。銀の姫君の頼みであれば喜んでいたします」
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