二つの世界を彷徨う銀の姫

碧猫 

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二十四の世界 生まれた時から

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 ようやく掃除し終わった。

 喉が枯れるほど叫んだ。

 だが、今回はかなり収穫があった。

 全て思い出したというわけではないのだが、かけらかけらで思い出す事ができた。

 私は生まれてから三年間ずっとこの部屋で暮らしてきた。
 母様の事は相変わらず思い出す事はできないのだが、父様の事は少しだけ思い出す事ができた。

 あの時会った父様と変わらない。

「懐かしい」
「懐かしい⁉︎同い年だよな?」
「うん。僕とジシェンは君が生まれた五日後に生まれたよ」
「この写真、俺達も写っている」

 本当だ。この頃から一緒にいたんだな。

「プシェはこの頃から可愛い。可愛くない時がないよ」
「ありがとう。この辺から三人で写っている写真が多いな」

 家族全員で写っている写真は一枚もない。というか母様が写っている写真が一枚もない。

「この頃は僕とジシェは一緒にいたんだよね。兄弟なんだからそれが普通だけど」
「兄弟?」
「うん。一応。同じ母体で生まれている兄弟。と言っても前に言ったように人じゃなくて大蛇なんだけど」

 そういえば言っていたな。

「大蛇は魔法を使えるのか?」
「うん。使えるよ。その母体から生まれた僕達も魔法は得意なんだ」
「銀の姫はその特異な能力が原因で魔法は使えないらしいな」

 この世界も向こうの世界も両方子供の頃から魔法を使える人は多いんだ。

 私は生まれてから今まで一度も魔法を使った事がないのだが。多分。

 魔法が一切使えない人はいない。遅かれ早かれ魔法は開花する。

 だが、私は魔法が使えないし使える見込みがないと言われていた。

「そういう理由だったんだな」
「ちなみに大蛇に会ったのは僕だけだよ」
「どんな蛇なんだ?」
「大きくて全長が見えない。話が通じるし面白いよ。世界の事を色々教えてくれるんだ。それで、テストの点数とれないと怒られる。強制勉強させられる。謎の空間で」

 謎の空間が気になる。それは良いとして話が通じるなら一度会ってみたいな。銀の姫の事とか知っているだろうから教えて欲しい。

「今度会いに行くけど一緒に来る?銀の姫に会いたいってだいちゃんも言ってたから」

 だいちゃん。

「行く」
「テストの点数だけは言わないでおいた方が良いよ。謎の空間で人の姿になっただいちゃんと密室強制授業が始まるから。点数上げたいならなにも言わないけど。でも、プシェには僕が教えたい」
「謎の空間は気になるが、勉強漬けになるのは嫌だからな。謎の空間には行ってみたいが」
「頼めば行けるよ。勉強しなくても」

 頼んでみるか。

 というか、どこにいけば会えるんだ?聞いていなかったが。
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