二つの世界を彷徨う銀の姫

碧猫 

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十九の世界 喫茶店

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 次は喫茶店だ。これは何も正していない。

「プシェってコーヒーとか紅茶飲める?」
「喫茶店はそれ以外もあるからな」
「喫茶店ってきつく苦いお茶の店ってジシェが」

 どれだけ嘘をつけば良いんだ。

「もう行ってみれば良いか」

      ******

 うん。案の定がっかりしている。

「シェフィ、このジュース好きだっただろ」
「うん」

 シェフィは甘いもの好きだからな。だから、甘いものを勧めれば機嫌も良くなるだろう。

 そう思って勧めてシェフィはそれを頼んだのだが、機嫌はあまり直っていないな。

「そのジュースはどんな味なんだ?」

 シェフィが好きと知っているが、一度も飲んだ事がないからどんな味か知らないんだ。

「砂糖舐めてるような味」
「そんなに甘いのか?」
「一口飲んでみる?プシェ甘いの苦手だからおすすめできないけど」
「やめておく」
「いやそうな顔するプシェもかわいいね」

 良く分からないところで機嫌が直っている。何が機嫌を直すきっかけとなっていたんだろうか。

 まあ、とりあえず

「ジシェン、今度からシェフィには変な嘘をつくな」
「そうする。まさかここまで信じるとは思ってなかった」

 全部すぐに嘘と分かるような内容だったからな。遊び感覚で言っていたんだろう。

 それを長い間信じ続けるなど考えてもいなかったはずだ。

「ありがとう。せっかくの休みを僕のために使ってくれて」
「ジシェンが嘘を教えたのを正そうとしただけだ」
「そうだ。俺が面白がってシェフィルに嘘ついたから、ちゃんとした知識をつけさせようとしただけだ」
「でも、楽しかったから。またこうやって三人で遊びに行きたい。家でゆっくりするのも良いけど……あっ⁉︎」

 何かあったのだろうか。シェフィが突然自分のカバンの中を身始めた。

「ごめん。今日の夕食の食材買わないとなの忘れてた」

 そう言ってメモ帳を見せる。数日分を三人分買うからかなりの量だ。

「多いな。それに何箇所か書かれてる」
「ここを出てから買いに行けば良いだろ。荷物持ちなら任せてくれ」
「僕も持てるよ」

 ジシェン>私>シェフィだろうか。

 見た目的に重いものを持てそうなのは。

「シェフィルは食材選びがあるだろう」
「そうだな。私じゃ分からないものもある」
「俺もだ」
「だから、そっちは頼んだ。適材適所というものだ」
「うん。そういう事なら」

 シェフィが納得した。

『プシェも重いもの持てるんでしゅ!』
『持てないでしょ。それに隣に置いて置けば良いんだよ。持っていたらジュース飲めないよ』
『ふふふ、持ちながらジュース飲もうとしてる』

 子供の頃の記憶の一部だろう。そうか、昔来た事があるのだな。
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