35 / 58
衛星機甲クレイジー・ムーンの章
幼き勇者 トロン編15 全てが終わったあとで
しおりを挟むミリィ「うう…」
トロン「ミリィちゃん!」
アリシア「ミリィ!」
ゴルビー「腕が…これはいかん! アリシア、回復魔法を!」
アリシア「わかったわ!」
アリシア「初級回復魔法! ……だめ! なんで?! 回復できない!」
鋼鉄「レイン、ミリィの両腕の状況をスキャンできるか?」
レイン「クラスSSSの大魔法を術者のレベルを超え無理やり行使したことにより、内部にダメージが浸透、細胞が壊死し始めています」
ウィデア「ふむ…ワシに任せよ」
ゴルビー「アリシアの回復魔法で無理だったんだ…いくら神さまでもできっこない」
ウィデア「呪文解放(アンリーシュド・スペル)」
ウィデア『生命のオーロラ!』
ぼろぼろだったミリィの両腕がみるみるうちに元に戻っていく!
ゴルビー「き、奇跡だ…! 俺は夢でも見ているのか…?!」
ウィデア「ほ~ほっほ♪ ワシは神じゃからのう、これくらいできて当然じゃっ!」
レティア「お姉さまが使える魔法は、空間魔法だけじゃない…治癒と強化の魔法も超一流…」
ウィデア「それにの…妹が付けさせてしまった傷じゃ…姉であるワシが治すべきじゃろうて」
ウィデア「これでよし…と。あとは意識だけじゃが…まあそのうち回復するじゃろう」
ウィデア「さて…メイティアよ、まだこの子(ミリィ)の中におるのじゃろう?」
メイティア「さ~すがお姉さま、魔力探知はお手の物ね」
パチリと魔力を帯びた片目だけが開き、ミリィの口が動く。
ウィデア「まずは礼を言おう…ぬしの力が無ければこの子(ミリィ)はやられておったかもしれぬ…だがちとやりすぎじゃ。下手をすれば両腕が一生使えぬ体になるところじゃった」
メイティア「あたしが手加減できないのはお姉さまも知っているでしょう?」
メイティア「それにあたしは信じて大魔法を撃ったのよ? きっとウィデアお姉さまが治してくれる! って」
メイティア「ああそうそう聞いてよお姉さま! この子のポテンシャルったらすごいのよ! クラスSS+の賢者になれる可能性アリ。ですって!」
ウィデア「は~おぬしというやつは…」
呆れた様子で右手で顔を覆うウィデア。
メイティア「異世界人だと今までじゃA+が精々だったのに、すごい逸材を見つけたわ~!」
メイティア「あたしの弟子に取りたいくらい…」
レティア「やっぱり…姉妹なのね」
じんわりとした目線でウィデアを見つめるレティア。
ウィデア「レ、レティア?! な、なんじゃその目は…やっ、やめんかっうっとおしいっ」ていていと扇で払う様子を見せる
メイティア「レティア姉さまも久しぶりね…元気?」
レティア「なんとか…元気。あなたもいつも通りで安心…した」
メイティア「ウィデア姉さまと一緒に外界に出てきたから一瞬びっくりしたけど、封印を解いていただけたのね…良かった」
レティア「うん…あ…そういえば…メイティア、どうしてこの子の中に?」
メイティア「あたしは強い恋の波動を感じてこの子の元へ来たわ。そしたら鋼鉄とレインちゃんが居たからしばらく中で様子を見ていたのよ~それでちっこい勇者君が竜紋(ドラゴニック・セイグラム)に覚醒してドレーディスとお姉さまたちが出てきたってワケ」
レティア「…なるほど。そして人質に取られて表に出てきたと」
メイティア「ほんっとあいつは運がないわぁ~わたしを人質に取るなんて千年早…あら、もうすぐこの子おきそうだわ」
ミリィの閉じている方の瞼がピクリと動く。
メイティア「鋼鉄、いる?」
鋼鉄「お呼びでしょうか、メイティア神」
メイティア「もうすぐあたしの弟子がそちらにお邪魔するとおもうから、よろしくね♪ あ、お土産持たせてあるから楽しんでね~それじゃあね」
開いていたミリィの片目がゆっくりと閉じていく。
ウィデア「まったく…あのお転婆妹は…」
ミリィ「うう…ん…」
ミリィ「ここは…? あれ? わたし…なんでみんなに囲まれて?」
大魔法を使った影響だろうか、ミリィの記憶は混濁しているようだ。
トロン「良かった…! ミリィちゃん…本当にっ…!」
心配して涙ぐみながらミリィに抱き着くトロン
ミリィ「トロン君…わたし、怖かった…怖かっだよう…!」
ゴルビー「一時はどうなることかと思っちまったぜ」
アリシア「おかえりなさい、ミリィ」
ミリィ「痛たっ! 腕が…!」
ウィデア「あまり動かすでない、傷は治したがダメージはまだ残っておる…」
ミリィ「あなたは…?」
ウィデア「ワシか? ワシは宇宙三女神の長女、空間魔法が得意技☆ウィデアという神じゃよ~♪ キラリン★」
尻尾をフリフリさせながらクルリと一回転して決めポーズを取る。
ミリィ「神…サマ…?」
アリシア「この方がミリィの腕を治してくれたのよ」
レティア「のじゃロリ…」
レティアがボソッとつぶやく。
ウィデア「むぅっ…? 何か聞こえたかのう?」
さっと鋼鉄の後ろに隠れるレティア。
レティア「次女…レティア…よろしく」
呟きながら右手で小さくピースサインをする。
ミリィ「あ、ありがとうございます! なんとお礼を言ったらいいか…この御恩、一生忘れません!」
ウィデア「い~のじゃよ礼なんぞ。可愛い我が子らの為ならお安い御用じゃ」
ウィデア「さて…話をするにもここではちと落ち着かん…一度外にでるかの」
ゴゴゴゴゴと洞窟全体が振動する。立っていられないほどの振動に抗いながらもヨロヨロとしてウィデアが口を開く。
ウィデア「な、なんじゃ?」
鋼鉄「レイン!」
レイン「このままではこの洞窟はくずれてしまうでしょう。脱出する事を推奨します」
ウィデア「そういうことなら! ほっ、と!」
ウィデアが両手をパッと広げると目の前に巨大な歪んだ空間が現れる。
ウィデア「洞窟の外に繋げておいたぞい! みなこれで脱出じゃっ!」
鋼鉄「トロン! ミリィを頼む! 行くぞみんな!」
トロン「ミリィちゃん…つかまって!」
ミリィをおんぶして脱出するトロン。アリシア、ゴルビー、メイリャンと続く
アリシア「うっ…神サマっ」
ゴルビー「ええいっどうとでもなれっ」
メイリャン「まっくらネー!」
ウィデア「鋼鉄たちもはようせい!」
鋼鉄、レイン、レティアと空間に入り、最後にウィデア自身も吸い込まれていく。洞窟の外に出ると太陽の眩い日差しが鋼鉄たちをカッと照り付ける。長時間にも及ぶ激しい闘いは、いつのまにか日付が変わり、朝になっていた。
ウィデア「まぶしっ!」
メイリャン「朝ダヨ!! は~! いっぱい動いたらハラが減ったアル! 朝食にするネ!!」
トロン「オイラ、ソーセージがいい!」
メイリャン「そういうことならポトフがいいネ! ソーセージは一人三本までヨ!」
レティア「ベーコンエッグも…付けて」
アリシア「あとはパンがあれば完璧ね」
ウィデア「ほほ…元気じゃのうおぬしら」
各々の好みの話で盛り上がりながら帰路に着く一行だったが、鋼鉄はメイティア神の言葉が気にかかっていた。
鋼鉄「弟子に土産…か」
レイン「マスター?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
15
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる