上 下
22 / 38

22話 よくわからんが、お前たちがそういうなら

しおりを挟む
「さて、何をさせようかしら。」

「そうだな、悩むところだ。」

「どうしましょう。」

「だから、屋敷の周り....。」

『ダメ!』

あっ、はーい。
くそ、これなら負けるんじゃなかった.....

「それぞれがしてもらいたいことを決めてそれをみんなにやってもらうというのはどうだろう?」

「え?なに?1人3つ?」

聞いてないんだけど?

「それはちょっと.....。」

「アレス君、君は前に私に言ったな。『自分のしたいことは自分で決めていい』と。」

うわあ、言ってたわそんなこと。
よく覚えてんなあ。

「へえ、セリスにそんなこと言ったんだあ。じゃあ、断る理由はないわね。」

「あらあら、これは面白くなってきましたね。」

こりゃあ、大変なことになりそうだ。



・・・・・・・・・・・・・・・・


「まずは私からだな。そうだな、アレス君にしてほしい事.....。」

頼むぞセリス、簡単なやつにしてくれ。
簡単なやつじゃないと俺が応えられる気がしない。

「純粋に褒めて欲しいな。私は勇者として振舞ってきたわけだが、称えられたことはあれど、褒められたことがあまりなくてな。アレス君、頼む。」

まあ、褒めるぐらいなら....

「そうだなあ、セリスは剣の腕もさることながら、体術にも優れている。そして趣味が裁縫と女の子らしい一面もあり、正直可愛い。」

「かっ、可愛い!?あ、ありがとう.....。」


「さあ、次は私を褒めなさい。」

「んー、アリサは魔法の才能に恵まれていて魔力の制御がうまい。そして....。」

「そして?」

「料理ができないという人間味があって、そこは個人的に気に入っている。」

「あんたそれ褒めてるの!?」


「最後はわたくしですね。」

「ヘレナは類まれなる治癒魔法の使い手で、誰にでも分け隔てなく接する女神のような人間だ。」

「あらあら、うふふっ、嬉しいです。」

まあこんなところか。
一人不満そうなやつおるけど。


「次はあたしが命令する番ね!」

命令ってお前な....

「頭をなでなさい、あの時みたいに。」

まあ、それくらいなら.....
別に減るもんでもないしな。

「ほーらほら、よーしよしよし、いい子だなあ!」

「うへへへ、なんか子ども扱いされてる気がするけど、まあ、いいわ。」


次はヘレナにするか。

「よく頑張ったな。今回の訓練無事合格だ。」

「ふふっ、いいものですね、これは。」


最後にセリスっと。

「お前は確実に成長している。お前の努力は俺にも届いてるぞ。」

「はうっ、こういうのも悪くないな。うん。」

セリスの『はうっ』なんだかんだ好きだわ。


「最後はわたくしがお願いする番ですね。」

まあ、ヘレナのことだから大丈夫だろう。
変なことは言わないはずだ、うん。

「膝枕なんてどうでしょうか?」

「なっ、ヘレナ正気!?」

「流石にそれは....やるのか、私...?」

え?膝枕?
むしろご褒美じゃね?


「では早速、わたくしから。」

どれどれ、うっわ腿やわらけええ。

「アレスさんにはいつもお世話になって、本当にありがとうございます。あなたのおかげでわたくしは今、自分を肯定することができるのです。」

「そうか、それは良かった。」


「次は私の番ね、仕方ないからしてあげる!」

「いや別に無理にしなくても.....。」

「いいからほら早く!」

「あっ、はい。」

「あんたには少しだけ感謝してるわ。魔法をうまく使えるようになったのも、料理を少しだけできるようになったのも....。とにかくありがとね!」

あれ、お礼言うの最後って前.....
いや、考えるのはやめよう。
にしても、腿やわらけええ!


「私の番か....こういうのは初めてなんだが.....うまくできるだろうか。」

あああ、いい匂いがするう。

「鎧痛くないか?」

「大丈夫だ、問題ない。」

なぜなら痛みより、いい匂いが勝ってるからなあ!

「君のおかげで私は自分と向き合うことができた。自分のしたいことをできるようになった。本当にありがとう。」

「気にするな、俺がしたくてやっただけだ。」


「最後、私の番。」

んん?あれ、今何人目だっけ?

「アレス好き。大好き。」

いや、これ絶対.....

「なんでレイ、お前がいる?てか何さらっと混じってる?」

「見てて楽しそうだったから。」

なるほどねえ、見ててねえ。

「いつからだ?」

「アレス式強化訓練その1から。」

やっぱこいつ怖ええええ!

「ちょっと!なんであんたがいるのよ!離れなさい!」

「無理、アレスからは離れられない。」

ああ、今日も一日疲れたなあ。
俺は現実逃避していた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


屋敷にて.....

「とりあえずレイには帰ってもらった。本当に帰ったかは知らんけど。とにかくみんなご苦労、見事訓練を終え、晴れて強くなった君たちを俺は誇りに思う。」

「アレス君のおかげだ。」

「アレスさんが優しく教えてくれたからです。」

「まあ、意外と簡単だったわね。」

「ほう、じゃあ、アリサはまだいけそうだな?」

「ちょっ、冗談よ!冗談!何本気にしてるのよ!」

『ハハハハハハ』



こいつらがした努力を俺は忘れない。








セリス『私の事、可愛いって.....。』




アリサ『あたしだけ2回なでてもらった.....へへっ。』




ヘレナ『膝枕なんてわたくしなんて大胆なことを.......。』




レイ『アレスアレスアレスアレスアレスアレス』




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について

ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに…… しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。 NTRは始まりでしか、なかったのだ……

女男の世界

キョウキョウ
ライト文芸
 仕事の帰りに通るいつもの道、いつもと同じ時間に歩いてると背後から何かの気配。気づいた時には脇腹を刺されて生涯を閉じてしまった佐藤優。  再び目を開いたとき、彼の身体は何故か若返っていた。学生時代に戻っていた。しかも、記憶にある世界とは違う、極端に男性が少なく女性が多い歪な世界。  男女比が異なる世界で違った常識、全く別の知識に四苦八苦する優。  彼は、この価値観の違うこの世界でどう生きていくだろうか。 ※過去に小説家になろう等で公開していたものと同じ内容です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

処理中です...