17 / 38
17話 やりたいことをする、それだけでいいんだ
しおりを挟む
「やれやれ、疲れたなあ。風呂でも入るか。」
「ちょっと!」
この声はアリサか。
「何だ?」
「セリスの様子がおかしいの、今日帰ってきてからずっと。あんた何か心当たりない?」
あのセリスがねえ、珍しいもんだ。
「特にないな。そういうお前は何かないのか?」
「そうねぇ。」
二人で悩んでいると、ヘレナがやってきて言う。
「最近特に様子がおかしくて、わたくしも心配していたのです。しかし聞いても『大丈夫』と言うばかりで....。」
パーティーリーダーが本調子じゃないのは良い状態とは言えないな。
仕方ない、ここは俺が一肌脱ぐか。
・・・・・・・・・・・・・・・・
コンコン
「おーい、セリス、いるかー?」
返事がない。
乙女の部屋に勝手に入るのは憚られるが....。
「入るぞ?」
部屋に入るとテドィーちゃんにぶつぶつと何かを語りかけているセリスの姿があった。
「セリス、何してるんだ?」
「なっ、アレス君!?いや、これはその.....。」
「まあいい、ちょっと聞きたいことがあってな、最近元気がないそうじゃないか。今日は特に。何かあったのか?」
「ヘレナに聞いたのか。あいつも口が軽いな。まあアレス君にも関係のあることだ。この機会に話すとしよう。」
やはり何か悩みがあったらしい。
俺に関係あること?
俺が弱すぎて戦力にならないとか?
「気づいているとは思うが、今日君が魔族を倒しているのを見た。しかも素手でな。私はそれを見ていることしかできなかった。私は勇者だ。人々を守ることが仕事のはずなのに....何もできなかった。」
え?あの戦闘見てたの?
他の人間の気配は感じてたけどまさかセリスだったとは....。
まあ、薄々気づいてはいた、セリスが勇者という肩書に縛られているということに。
「テドィーちゃん。」
「なっ、なんだ!?急に!?」
「前にも言ったな。お前のことは大体知っている。特技、趣味、苦手なもの。」
「それがどうしたんだ?」
「お前は勇者という肩書に、責任感にのまれている。そのせいで自分の本当にしたいことができていない。現に大事なテドィーちゃんの目が取れかかっているというのに直していない。」
こいつも女の子だ。
本当はやりたいことがたくさんあるはずだ。
でもやるべきことを優先してしまってそれができずにいる。
「15歳で洗礼を受けた時、私は勇者だといわれた。その時からだ、私が自分のやりたいことよりも成すべきことを優先し始めたのは。私は自分に言い聞かせた。自分は勇者なんだと、人々を守らなくてはならないんだと。」
俺は黙ってセリスが語るのを聞く。
「そして今日、魔族が現れたというのに私は何もできなかった。この日のために鍛錬をしてきたはずなのに。私は、勇者なのに....。」
「違うなあ。」
「え?」
この際だ、こいつの悩み、俺がスッキリさせてやる。
「俺が裏稼業の仕事をやっているのは知っているよな?俺は責任感で仕事をしたことなんて一度もない。自分がしたいと思ったことをしてきただけだ。」
「だが、私は勇者で....。」
「勇者ねえ....、だったら何故、裏稼業をしている俺に、お前たちはパーティーに入らないかと声をかけた?それはお前自身、『人々は何をしてもいい、1つの物事にしばられなくていい』そう思っていたからじゃないのか?」
「それは....。」
「勇者が人々のために戦う。それを決めたのは誰だ?国王か?神か?自分の本当にやりたいことを捨ててまで誰かのために戦う、それはとても難しいことだ。俺だって無理だろう。いいか?自分のしたいことは自分で決めていいんだ。誰に言われるでもない、自分で決めるんだ。」
俺が組織に入ったのも、組織で仕事をしているのも、勇者パーティーの仲間になったのも、俺がそうしたいと思ったからだ。
まあ、理由はともかく....。
「自分のやりたいことをやる.....。私にそれが許されるのだろうか?」
「誰が許すとかじゃない、自分が許せるかだ。」
「自分を許す.....。どうやら勇者という言葉にとらわれすぎておかしくなっていたようだ。そうだな、私は私のしたい事のために生きていいのだな。」
「当たり前だ、お前のやりたいことを否定する奴がいたら俺が何とかしてやる。」
「ふふっ、それは心強いな。ありがとう、アレス君のおかげで肩の荷がおりたよ。」
良かった、これでこいつも自分と向き合えるな。
「そうと決まれば、まずはテドィーちゃんの修復だな!」
「ああ、そうさせてもらうよ。」
こうしてセリスの悩みを解決した俺は風呂を浴びに行くのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「いんやあ、いい湯だなあ。」
ふーんふふーんふふーん
チャポン
ん?ちゃぽん?
「アレス、来ちゃった。」
な、なんでここにレイが!?
「レイ?今俺が入浴中なんだが。」
「知ってる。知ってて来た。」
いやいや、勘弁してくれよお。
「俺男、お前女、オウケイ?」
「アレスにしかこんなことしない。」
いや俺相手だから困ってるんだけど?
「とりあえず俺はあがるわ、じゃ、後で。」
「私も出る。」
はぁ、参ったなあー。
・・・・・・・・・・・・・・・
「なあ、誰だ?レイを屋敷に入れたのは?」
「わたくしです。アレスさんに用があるとのことでしたので。」
うん、いらない気遣いどうも。
「で?用って何?」
「会いに来た、それだけ。」
それだけなんかーい!
マジでこの子何考えてるんだろう。
あとちゃっかり俺の隣に座るのはいいけど、距離近くなあい?
「あんた、アレスとはどんな関係なの?」
アリサ、ナイス質問だ。
友人であることを再認識してもらわねば。
「仕事仲間。あと、特別な関係。」
いらん事言うなー!
「なるほど、それは興味深いな。」
「あんたってやつは....。」
「あらあら、ふふっ。」
セリス、はいいとして、アリサは案の定冷たい視線。
ヘレナに関しては顔が笑っていない。
「とりあえず今日は帰る。アレス、会えてよかった。」
「お、おう。」
レイが返ったあと、俺は肩身の狭い思いをした。
セリス『自分のしたい事....恋、とか?』
「ちょっと!」
この声はアリサか。
「何だ?」
「セリスの様子がおかしいの、今日帰ってきてからずっと。あんた何か心当たりない?」
あのセリスがねえ、珍しいもんだ。
「特にないな。そういうお前は何かないのか?」
「そうねぇ。」
二人で悩んでいると、ヘレナがやってきて言う。
「最近特に様子がおかしくて、わたくしも心配していたのです。しかし聞いても『大丈夫』と言うばかりで....。」
パーティーリーダーが本調子じゃないのは良い状態とは言えないな。
仕方ない、ここは俺が一肌脱ぐか。
・・・・・・・・・・・・・・・・
コンコン
「おーい、セリス、いるかー?」
返事がない。
乙女の部屋に勝手に入るのは憚られるが....。
「入るぞ?」
部屋に入るとテドィーちゃんにぶつぶつと何かを語りかけているセリスの姿があった。
「セリス、何してるんだ?」
「なっ、アレス君!?いや、これはその.....。」
「まあいい、ちょっと聞きたいことがあってな、最近元気がないそうじゃないか。今日は特に。何かあったのか?」
「ヘレナに聞いたのか。あいつも口が軽いな。まあアレス君にも関係のあることだ。この機会に話すとしよう。」
やはり何か悩みがあったらしい。
俺に関係あること?
俺が弱すぎて戦力にならないとか?
「気づいているとは思うが、今日君が魔族を倒しているのを見た。しかも素手でな。私はそれを見ていることしかできなかった。私は勇者だ。人々を守ることが仕事のはずなのに....何もできなかった。」
え?あの戦闘見てたの?
他の人間の気配は感じてたけどまさかセリスだったとは....。
まあ、薄々気づいてはいた、セリスが勇者という肩書に縛られているということに。
「テドィーちゃん。」
「なっ、なんだ!?急に!?」
「前にも言ったな。お前のことは大体知っている。特技、趣味、苦手なもの。」
「それがどうしたんだ?」
「お前は勇者という肩書に、責任感にのまれている。そのせいで自分の本当にしたいことができていない。現に大事なテドィーちゃんの目が取れかかっているというのに直していない。」
こいつも女の子だ。
本当はやりたいことがたくさんあるはずだ。
でもやるべきことを優先してしまってそれができずにいる。
「15歳で洗礼を受けた時、私は勇者だといわれた。その時からだ、私が自分のやりたいことよりも成すべきことを優先し始めたのは。私は自分に言い聞かせた。自分は勇者なんだと、人々を守らなくてはならないんだと。」
俺は黙ってセリスが語るのを聞く。
「そして今日、魔族が現れたというのに私は何もできなかった。この日のために鍛錬をしてきたはずなのに。私は、勇者なのに....。」
「違うなあ。」
「え?」
この際だ、こいつの悩み、俺がスッキリさせてやる。
「俺が裏稼業の仕事をやっているのは知っているよな?俺は責任感で仕事をしたことなんて一度もない。自分がしたいと思ったことをしてきただけだ。」
「だが、私は勇者で....。」
「勇者ねえ....、だったら何故、裏稼業をしている俺に、お前たちはパーティーに入らないかと声をかけた?それはお前自身、『人々は何をしてもいい、1つの物事にしばられなくていい』そう思っていたからじゃないのか?」
「それは....。」
「勇者が人々のために戦う。それを決めたのは誰だ?国王か?神か?自分の本当にやりたいことを捨ててまで誰かのために戦う、それはとても難しいことだ。俺だって無理だろう。いいか?自分のしたいことは自分で決めていいんだ。誰に言われるでもない、自分で決めるんだ。」
俺が組織に入ったのも、組織で仕事をしているのも、勇者パーティーの仲間になったのも、俺がそうしたいと思ったからだ。
まあ、理由はともかく....。
「自分のやりたいことをやる.....。私にそれが許されるのだろうか?」
「誰が許すとかじゃない、自分が許せるかだ。」
「自分を許す.....。どうやら勇者という言葉にとらわれすぎておかしくなっていたようだ。そうだな、私は私のしたい事のために生きていいのだな。」
「当たり前だ、お前のやりたいことを否定する奴がいたら俺が何とかしてやる。」
「ふふっ、それは心強いな。ありがとう、アレス君のおかげで肩の荷がおりたよ。」
良かった、これでこいつも自分と向き合えるな。
「そうと決まれば、まずはテドィーちゃんの修復だな!」
「ああ、そうさせてもらうよ。」
こうしてセリスの悩みを解決した俺は風呂を浴びに行くのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「いんやあ、いい湯だなあ。」
ふーんふふーんふふーん
チャポン
ん?ちゃぽん?
「アレス、来ちゃった。」
な、なんでここにレイが!?
「レイ?今俺が入浴中なんだが。」
「知ってる。知ってて来た。」
いやいや、勘弁してくれよお。
「俺男、お前女、オウケイ?」
「アレスにしかこんなことしない。」
いや俺相手だから困ってるんだけど?
「とりあえず俺はあがるわ、じゃ、後で。」
「私も出る。」
はぁ、参ったなあー。
・・・・・・・・・・・・・・・
「なあ、誰だ?レイを屋敷に入れたのは?」
「わたくしです。アレスさんに用があるとのことでしたので。」
うん、いらない気遣いどうも。
「で?用って何?」
「会いに来た、それだけ。」
それだけなんかーい!
マジでこの子何考えてるんだろう。
あとちゃっかり俺の隣に座るのはいいけど、距離近くなあい?
「あんた、アレスとはどんな関係なの?」
アリサ、ナイス質問だ。
友人であることを再認識してもらわねば。
「仕事仲間。あと、特別な関係。」
いらん事言うなー!
「なるほど、それは興味深いな。」
「あんたってやつは....。」
「あらあら、ふふっ。」
セリス、はいいとして、アリサは案の定冷たい視線。
ヘレナに関しては顔が笑っていない。
「とりあえず今日は帰る。アレス、会えてよかった。」
「お、おう。」
レイが返ったあと、俺は肩身の狭い思いをした。
セリス『自分のしたい事....恋、とか?』
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
[完結]勇者の旅の裏側で
八月森
ファンタジー
神官の少女リュイスは、神殿から預かったある依頼と共に冒険者の宿〈剣の継承亭〉を訪れ、そこで、店内の喧騒の中で一人眠っていた女剣士アレニエと出会う。
起き抜けに暴漢を叩きのめしたアレニエに衝撃を受けたリュイスは、衝動のままに懇願する。
「私と一緒に……勇者さまを助けてください!」
「………………はい?」
『旅半ばで魔王の側近に襲われ、命を落とす』と予見された勇者を、陰から救い出す。それが、リュイスの持ち込んだ依頼だった。
依頼を受諾したアレニエはリュイスと共に、勇者死亡予定現場に向かって旅立つ。
旅を通じて、彼女たちは少しずつその距離を縮めていく。
しかし二人は、お互いに、人には言えない秘密を抱えていた。
人々の希望の象徴として、表舞台を歩む勇者の旅路。その陰に、一組の剣士と神官の姿が見え隠れしていたことは、あまり知られていない。
これは二人の少女が、勇者の旅を裏側で支えながら、自身の居場所を見つける物語。
・1章には勇者は出てきません。
・本編の視点は基本的にアレニエかリュイス。その他のキャラ視点の場合は幕間になります。
・短い場面転換は―――― 長い場面転換は*** 視点切替は◆◇◆◇◆ で区切っています。
・小説家になろう、カクヨム、ハーメルンにも掲載しています。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう
サイダーボウイ
ファンタジー
「ちょっと冬馬君。このプレゼン資料ぜんぜんダメ。一から作り直してくれない?」
万年ヒラ社員の冬馬弦人(39歳)は、今日も上司にこき使われていた。
地方の中堅大学を卒業後、都内の中小家電メーカーに就職。
これまで文句も言わず、コツコツと地道に勤め上げてきた。
彼女なしの独身に平凡な年収。
これといって自慢できるものはなにひとつないが、当の本人はあまり気にしていない。
2匹の猫と穏やかに暮らし、仕事終わりに缶ビールが1本飲めれば、それだけで幸せだったのだが・・・。
「おめでとう♪ たった今、あなたには異世界へ旅立つ権利が生まれたわ」
誕生日を迎えた夜。
突如、目の前に現れた女神によって、弦人の人生は大きく変わることになる。
「40歳まで童貞だったなんて・・・これまで惨めで辛かったでしょ? でももう大丈夫! これからは異世界で楽しく遊んで暮らせるんだから♪」
女神に同情される形で異世界へと旅立つことになった弦人。
しかし、降り立って彼はすぐに気づく。
女神のとんでもないしくじりによって、ハードモードから異世界生活をスタートさせなければならないという現実に。
これは、これまで日の目を見なかったアラフォーおっさんが、異世界で無双しながら成り上がり、その実力がバレて世界に見つかってしまうという人生逆転の物語である。
女男の世界
キョウキョウ
ライト文芸
仕事の帰りに通るいつもの道、いつもと同じ時間に歩いてると背後から何かの気配。気づいた時には脇腹を刺されて生涯を閉じてしまった佐藤優。
再び目を開いたとき、彼の身体は何故か若返っていた。学生時代に戻っていた。しかも、記憶にある世界とは違う、極端に男性が少なく女性が多い歪な世界。
男女比が異なる世界で違った常識、全く別の知識に四苦八苦する優。
彼は、この価値観の違うこの世界でどう生きていくだろうか。
※過去に小説家になろう等で公開していたものと同じ内容です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる