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第559話 山の下の山積みの問題
しおりを挟むいつものように城で働いてると父さんがきた
「ちょっとは外に出て手伝いなさい、詩乃さんも」
「でも外怖いし」
「康介に聞いたがずっと引きこもってるそうじゃないか?」
「だって外は人間が居て怖いから」
すごく残念そうな顔を向けられた
自分たちでも逃げて引き籠もっている自覚はある
だけどこの間なんて異世界行ってきたんだよ?少しは頑張ってるんだけどな
「はぁ~・・少しでいいから慣れるように努力しなさい、洋介の成長でこの先お前たちも顔をだすこともあるだろう?この前見たく挨拶に来ただけの信徒さんを殺そうとするなどあってはならんのだ」
「ぐぅ」
だってあいつ、人だし急に来て怖かった
気がつけばゴーレムで銃口を向けていたのは悪かったと思う
単なるロボ好きらしいが急に無断できてカメラとシャッター音が怖かった
「せめて親戚周りに顔を出しに来い、お前たちが生き返ったというのにあれ以来顔を出さないのはあまりにも不義理だろう」
「・・・はい」
できる限り城から出ないようにしていた
正月も年末の大掃除も、山をおりてすぐの実家には顔を出さなかった
父さんの心配も仕方ないだろうけど・・城の外に出れば、ゴーレムの外に出ればそれだけで動悸が早くなるのがわかるのだ
本家に行くと待っていてくれていた家族達
相変わらず親戚ばかり
何人か近くで会社もやってるし、そもそも外に行く必要がない
仲の良い家族達しか居ない
大きな猫じゃらしをもってる人も居た・・ルールいないよ?
「あんた引きこもってばっか居ないで顔を出しなさい!」
「はい」
「陽の光も浴びて、ちゃんとしなさい!」
「はい」
うちは大家族だ
爺さんたちは兄弟が多いし、父さんと母さんも兄弟が多い
そして彼らの大半はこのあたりにいる
久しぶりに詩乃さんとゴーレムをおりて、城を出て、山をおりてみるとなんか里が変わっていた
私道である道がしっかり舗装されて、道の横にバリケードらしきものがいくつもある
空き地だった場所に工事の手が入っている
うちでも大型のマンションを建てたり、巨大な駐車場を作ってるとか・・・
既に空いていた土地ではコインパーキングを設置して大儲けしてるのだとか、うむ、商魂たくましい
大量にセンサーライトを山に設置していたがこちらでもテレビで見たヤクザの家みたいにいたるところに監視カメラが設置されている
物見櫓だ・・レアナー教のマークの入った物見櫓がある・・・ずっと監視してるようだ、手振られた?見えてるのすげぇ
外を歩いて見て取れるだけではなく、内情も進んでいた
このあたりを元杉家主導で土地開発していたが政府や外国からの圧力もあるそうだ
こちらの近況を聞くと呼び出しも受けるわと納得した
ズラッと書かれた問題点
『レアナー教が原因で数人が離婚』
『レアナー城の横の山の持ち主と骨肉の争いの上で山買った』
『詩乃さんの自称親戚と血縁関係のある人がウザい』
『このあたりを元杉家主導で土地開発していたが政府や外国からの
要請や圧力がかかっている』
『神田という飲んだくれが何度も突撃してくる』
『栄介の友人突然の来訪、嫌がらせか安否の心配か不明』
『宗教家達によるゴミばらまき問題などの嫌がらせ』
『康介の所有している栄介宅の売買について』
『栄介の居た林業の会社が倒産の危機だから金を貸してくれという要請』
『寄付を求めて公道を練り歩く活動家』
『恋愛イベントを求めてこの辺りに移住する独身者達』
『レアナー教に祭りの寄付を求めてきている』
『城に自治会費支払えという要請』
・・・・・
大きなホワイトボードと黒板が設置されていて、うちへの要請や問題がズラリだ
日付や誰との会話とかもいっぱい、書かれてる証拠番号ってなんぞ??
世界地図と付箋がはられてる・・・『大使来日、父さんと握手して帰る』・・・・・???
兄貴は兄貴で弁護士で忙しいのもあるし、俺たちが完全に対人恐怖症になってるのも考えてくれていたがこうも問題が多いと呼び出し受けるのも当たり前だわな
しかも俺たちの問題もある
春日井家と元俺の家は議員の突撃によって粗探しされ、その後はゴキブリの数よりも盗聴器やカメラが仕込まれていた、帰る気はない
今後買った人が俺たちのDNAを求めて掃除機をかけられるとか耐えられない
・・・・・・か、核、核で全てを木端微塵にしたい
「はぁ・・・はぁ・・・・・!」
「貴方、落ち着いて、深呼吸よ、深呼吸、ヒッヒッフ~」
「ひっひっふー・・ひっひっふー・・・」
「全部吐いてるわ、すーはーしなきゃ、すーはー」
息子のためだと一つ一つ聞くことにした
うちの所有する3つの山の隣の更に隣、お隣さんは父さんと仲の良い相手でお中元も欠かさなかったし、何なら父さんと爺様とでたまにうちで将棋指していたほどだ
しかしレアナー教効果でどんどんと価格交渉されて数年寝かせて高くなってから売ろうとしていた、しかも欲をかいてうちとの境界線にまで口出ししてくるようになったと
何なら数億円でかいませんか?とニヤニヤ言われたそうな
数百万でも売りたいと言っていたはずなのにおかしいと思ったら、そこの爺様が病気でもう長くないと息子に生前贈与して好きにしていた
父さんが病気の爺様のもとに言って事情を話したところ激怒
病気で死にかけてるのに鍬もって「いい歳なのに馬鹿いってんじゃねえ、山のことは元杉さんちに頼ってるのもあるし昔からあんっだけお世話になっといて何いってんだ恥知らずが死んで詫びろ」とひと悶着あったらしく、結果一万円で山が1つ手に入った
そこの爺様は知らない間にレアナー教で治療を受けて、息子を叩き直すとしごいているようだ
そして新たな所有権は俺、元杉栄介名義にしろと言うことだった
「わかった、洋介のためにもなるもんな・・で?一番上の離婚ってのは?」
「わざわざ外して話したのに・・そこも康介から聞いてないのね・・・仕方ないか」
レアナー教の金儲けで欲が眩んで仕事をやめてうちの事務になるといったバカがいたり、レアナー教の内部情報を売って金儲けしようとしたゴミカスクズの焼却炉行きが居て離婚したと
うちの親族は基本仲がいいし、多い
だけど嫁いできた人や嫁いでいった先の親戚全員と仲がいいわけじゃないし仕方ないか
「そういえば康介にも良い人がいるとかって聞いたんだがどうなんだ?」
兄貴は由美子さんと離婚した
微妙に金に汚かったし俺の仕事を影でけなしたり、詩乃さんを「若さだけしか取り柄が無い」「何が本家の孫よ」と言っていたのは知っていた
兄貴達はお互い軽度の不妊症で子供が出来なかったのもあるけど全部兄貴のせいにして兄貴の金で遊び回った挙げ句、癌の兄貴が入院している間にいい歳して他所で子供が出来たらしい
しかもラストチャンスだから絶対に産むと・・・そりゃバレないためにはこっちに顔出せんわな
使い込みもかなりあったし勝手に浮気相手に車の名義変更してるとか最悪じゃん、由美子さんの家も名家だから平謝りで離婚には同意、金は家売ってでも返すと
「絵美さんね!すごくいい人よ!」
「どんな人!馴れ初めは!?」
「ふふっ、きっと皆見たことあるはずよ!」
村田絵美さん、昔弁護した相手の子供で兄貴にべた惚れらしくて弁護士資格をとって、聖騎士部に入って陰ながら法律の業務を手伝ったり警護し続けていたとか・・・年の差もかなりあるし、若い男も絵美ちゃんに告白することがある
実は兄貴のご飯は絵美ちゃんが作っていてレアナー様も見守っていて・・え?なにそれ?知らないんだけど?ええ??
絵美さんが入れるお茶と他の人が入れるお茶で微妙に反応が違うだとか・・甘酸っぱい!いい歳のおっさんの話なのに甘酸っぱいよ頑張れ兄貴!!
・・・家族総出で兄貴の恋バナに盛り上がってしまったが問題は山詰みであった
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