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第542話 領地の商売4

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山のようにあった肌着は大人気だった


安価で乾きやすくて、戦闘向きではないが耐久性もそこそこある

サラサラしていてチクチクしない

飛ぶように売れるが、やはり他の商人も売って欲しいとしつこい

黒葉お母さんによると異世界でお父さんは儲けているようでそもそもこちらから渡している金貨や財宝は使っていないようだ

レアナー教の治療は向こうでお金になっているそうな


・・・・・

・・・・・・・・・・・


それって、我らに遠慮してる?

レアナー教以外にも治癒の魔法を使えたり薬を作る神殿はあるはずだ

なのにレアナー教が儲けている・・・?

よくわからないが嘘ではないとわかった


ミスリルを筆頭とした魔力の通りの良い希少金属であれば何処の国でも重宝されるし集めることにした

向こうの世界でも換金しやすいものを探せば良い

黒葉お母さんはどうせなら古着を集めるように言ってきた

痛んだ服はバラして雑巾や防具のあて布、たいまつにするなど用途も多いが何に使うのだろうか?


「向こうには獣人や亜人っていないから服の参考になるんですよ」

「なるほど」


もってこられた大量の靴と靴下、これも純人族や純人族に近い亜人なら履くことも出来たのだが亜人種ではそもそも足の形が大きく違うものも多い

靴もあるにはあるがやはり革紐と底板で作られたサンダルの形が多い

サンダルももってきてくれたが・・真っ白で芸術品といえる、とても汚れそうで、土の上を歩く庶民にはとても使えない


忙しくてデンタクを弾く指が止められない・・


幼い子供たちの中でも賢い子を中心にデンタクを教えさせているが、やはりどうしても慣れない人も多い

国によって数の数え方が違うからだ

よくあるのが12の数、12の次は13ではない、中の位の1と12なのだ

中の位が7つで大きな位が1・・・我が居た商会では7つの国の数の数え方を教わっていたのでわかるが、そんな数え方を大人まで覚えた文官たちにとってはこの10進数という数え方のデンタクは難しい

幼い子供のほうが柔軟に覚えることが出来ているし商売してる横で計算してもらう

まだ間違いも多いから三人に同じ計算をしてもらって同じ答えにならなければ何度も計算してもらう

子供の勉強にもなるし人手を遊ばせるよりも良い、デンタクも山のようにあるし協力したい人間も多くいる


ニホン産の靴の履き心地は良いし、これは人々のためになると思うが・・まずは地面だな


この領地は栄えているが中心部以外の道路はまだ土である

ミーキュ・ビエールの岩の魔法で石畳を作ることもできるが土地の問題もあった

もともとこの地は旧い時代に魔王が居たとかで土地に瘴気が地面に染み付いていた

お父さんの使う清浄化も深くまで瘴気を祓ってくれるが一度石畳作ってしまえばその後石畳の下がどうなるかはわからなくなる

だから今のままにしたほうが良いと思っていたのだけど領地の中心部から少しずつ木や草が生い茂ってきたしおそらくこれ以上、中心部は瘴気を祓う必要もない

ザウスキアとの戦争も始まって連合軍やレアナー教国の連中が機獣や荷馬車を使ってこの領地を通るから轍がひどい

雨の後にそのまま固まれば小さくとも足首ほどの深さの轍ができるし滑って全身泥まみれになる人もよく見る光景だ

ぬかるみは子供も危ないし大人だって大怪我しかねない

ミーキュや手の空いた者を集めて道の整備をしよう、うむ


靴も領民だけではなくザウスキアに対抗する戦士の力になるのならもっと売るべきだ


ザウスキアにもともと住んでいた民や、元奴隷もこちらにどんどん流れ込んでくる

お父さんが引き取るように言って集まってきているが・・・正直そこまでの蓄えはない、あまりにも戦争大好きな覇権国家ザウスキアの奴隷は多すぎる


「売ってくれ!!36・・いや大箱で4つ!」

「貴族の館の家具があるぞ!紙とペンと引き換えてくれ!!!」

「酒!酒を頼む!!!」


普通なら収支が合わずにすぐに難民の流入を止めることになっただろう、だがお父さんの商品は大人気だ

うん、こっちは商品が有り余っているし買いたい人も多くいる

しかもザウスキアから略奪品を持ってくる連合軍は奴隷や様々な品をこちらに売りにくる

略奪品は正直陶器や意味不明な貴族のマントや名誉ある謎の盾なども多くあって・・・底値以下で買い叩ける

嫌なら買わないと言えば置いていく人だっているほどに価値がない

価値がない物に時間をかけるぐらいなら新たに別の品をとってきたほうがいいと考えるのだろう


難民用の大量の食材さえも売ってくれとしつこいから金を取ることにした

異世界の力恐るべし、食べ物だろうと日用品だろうと山のように余っているそうだ


今は異世界の食品を取り扱う食堂を幾つもつくっている

軍も軍で自前の食料を減らすよりも金でなんとかしたいんだろうな、割高に設定しているのにボロ儲けである

スプーンやフォークは何度も盗まれはしたもの、盗難対策でカルカス達ドワーフに「勇者の領地から持ち出し厳禁」と刻印してもらい、盗人に厳しい神様の像を設置すると盗難はぐんと減った


それにしてもウドンは美味しい

黄色いウドンや太いウドン、細くて白いウドン、真ん中に穴の空いたウドンといった麺に、色んなスープを水に足すだけで簡単に作れてしまう

チューカスープに赤いスープに黄色いスープ、透明度の高い茶色いスープなど、どれを食べても外れがない

しかも麺もスープになる色とりどりの粉も、袋を破らなければ何年も腐らないそうだ

それだけでは栄養が偏るということで肉や野菜を少し載せればいいといわれてそうしているが・・・ものすごく売れる

遥お母さんの出していた米もなかなかにうまく作るのは難しいがコツを教えてもらって美味しく作れるようになってそれなりに売れている

遥お母さんの作り方の秘伝は「はじめちょろちょろ中ぱっぱ、じゅうじゅう吹いたら火をひーて、ひと握りの藁燃やし、赤子泣いてもふた取るな・・だったかな?」というもので、むしろ本人も蓋をとって確認していたしちょろちょろとかじゅうじゅうとかは意味がわからなかった

参考にはならなかったが見ていた火加減で何度も練習して、作れるようになった子が居て、塩とご飯のオニギリを習得したようだ


塩気とご飯は最高に相性が良い


お父さんの母国の食べ物で故郷の味ということもあって領民には大好評である

何でも入れれば美味しくなると習ったカレーコもチョコのようなかじり方をしてから警戒心は出てしまうがかなり美味しい

他の食べ方はまだいまいち分からないが今度聞いてみよう


食品の問題は食品を保管するためのレイゾウコが使えなかったことだ


デンキとやらがないと使えないらしい魔導具

氷室では駄目なのかと思ったが氷室はお父さんの国では見たことがないらしい

地下に作る部屋で氷で食品や貴族の遺体を腐りにくくするための場所だが・・氷の魔法を使えるもの自体が希少である

寒い地域ではまだ多いらしいがこの領地には冷たい風を起こせる程度で氷を大きく出せるものは居ない

地下に部屋を作らせて用意しよう、なにせ人手は余るほどいる

だから倉庫や地下室は作って作って作りまくっている


お父さん、何をもってくるかはともかく、持ってくる量は半端じゃないから・・・
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