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第519話 理性を無くす、不思議な飲み物
しおりを挟むお酒やおつまみを渡して、僕は世界を回って信徒たちから食料や日用品を受け取っていた
はるねーちゃんのパイづくりのために2日ほどずらしてしまったから急ぎだ
日本では寒くても、すべての国でそういうわけではない
暑い国もあるし食材のためには良くない場合だってある
更にコンテナというのは場所によっては置いておくのに料金もかかる、信徒はいつでも良いと言ってくれるが中身は食品が中心だし人に迷惑をかけるのは良くないよね
お酒を飲む大人たちが心配だったけど仕方ない、世界各国から食料を中心に回収して領地に持っていった
レアナー教の側の領地にも黒葉とかヨーコとかつけたほうが良いかな?
機嫌がなおって喜んでたはるねーちゃんだが領地の名前を付けることについては亮二お義父さんたちは凄い微妙な顔をしていたし黒葉もヨーコも反応は良くなかった
そんな作業をしてから戻ると、酷いことになっていた
他の信徒によると「世界一の科学者や技術者が揃っている、研究所」だ
バイオというものやデンキ工学などという僕には難しすぎる研究をしている・・知識も経験も豊富なこちらの世界の賢者たち
今の生活に欠かせないようなものを作り出してきた人たちが、城で肩を揃えて研究している
しかし、酒を飲めば大人はみんな一緒なのかもしれない
ゲラゲラ笑いながらヒーヒーとなにか話し合っている大人たち、よく見た光景だ
なにか歌ってる人たちも居て、やんややんやとそれを皆で盛り上げている
・・・・・あ、ヤバ!?・・・ふぅ
酒樽に上半身を突っ込んだ人が動かないから驚いたけど中身は飲み干して空っぽだった
ハゲたおじさんの頭に「E=mc²」「カガク」「Goldbach's conjecture」「1129オイシー」とペンで書かれていたり、知性豊かな賢者のはずが叫び声を上げながら腕相撲で力を競い合っていた
駄目だな、うん
「おっぱーい!」
「「「「ははははははは!!」」」」
少しだけお酒を飲んで知性溢れる話をかっこよくしているかと思ったが丼を2つ胸に詰めたお兄さんがテーブルを回って下品に笑っている
・・・・・駄 目 だ な こ い つ ら
瓶で酒を飲んだり長靴みたいな形の大きな容器で一気飲みして猿みたいに叫んでる人もいる
何でお酒を飲むのに水道のホース使ってるんだ・・・・・??
「イエーイ!」
「「「「Yah!!!」」」」
ボルボルさんは倒れた男の人の上でサーフィンみたいに立って両手に別のビールを持って飲んでいる
<駄目な大人たちですぅ>
「よーくん、いい子なので見ちゃいけません」
レアナー様はお酒を飲んでいたがこちらに飛んできた、かーさんに言われて外に出ようか迷う
いつの間にか神官たちも参加している
「ほっほっほ!ちょいやさ!どっこいしょー!」
「そうなんですよ、僕って駄目なやつなんです、好きになった子の前で小便漏らしちゃったんです」
「そんなことないですよ、俺なんかエースなんて調子に乗ってたらボコボコにされて世界中の晒しもんですよ」
「「クソ上司がァァァ!!!」」
金道はお腹に顔を描いて踊ってるし山田と内田は泣いてる
何処かから三上と田辺の声も聞こえる
あれ?上司って僕?
・・・・・お酒の席って怖い
お酒につられて、人は増えるしどんどん制御が効かなくなる
酒樽の男の人ももしも中に酒が入ってたら溺れて死んでたかもしれない
レアナー教国のどこの家庭にもある亭主の折檻や子供の教育に使う小さめの棍棒を出すべきか?
ダイドンの茎でもいい、流石に邪教徒用の棘付き棍棒はやり過ぎかな
エッサイも引き締めのためにはこういうのは必要と言っていた
特に「飲め!飲め!飲め!飲め!」と叫びながら大量のアルコールを浴びるように飲んでいるのはどうかと思う
酔っ払いは中途半端に止めると切りかかって来かねないし、すごく厄介
日本だと攻撃魔法が飛んでこないだけまだましかな
はるねーちゃんも黒葉も光りながら飲んでる、加護の神様と一緒に楽しんでるんだ
ミルミミスは酒樽抱えて飲んでる
「せーちゃん?」
「見てる」
せーちゃんはずっと飲んでいる人を見ている
「なんで?」
「楽しそうなのが知りたいから」
「わかった、死なないように見ててくれる?」
「うん、僕たちもかーさん達も一緒にのんでいい?」
「・・・・・程々にね」
レーマ・ワリもここに来て飲むのか・・・・・
関羽やカルカス、アブサンとミードは「この世にこんなにうまい酒があるとは!?」と楽しんでいる
ロムはすでに寝ているし・・・彼らにとってこの程度の騒ぎは騒ぎではないのかもしれない
祈りの間に行って、酒の神様たちに「どうか皆無事ですみますように」と祈って缶ビールをお供えする
日本のお墓では缶ビールをお供えするのはよくあるらしい
お墓に水をかけるように、酒をかけることもあるっぽい
マジカヨとも思うが・・・この神様たちならそれはそれで喜びそうだ
<よこせぇえええええええ!!>
<これは我のお供えだ!>
<ひゃははははは!さけださけだぁああああああ!!!>
――――――――――・・・・・神もこれである
僕も果実のジュースが痛んでお酒っぽくなってるのは飲んだことがある
変な味がして気分が悪くなっただけだが大人たちはこれが良いとありがたがってそれを飲む
今の僕には分からないが、もしかしたら大人になったら僕もお酒が美味しいと感じるようになるかもしれないな
次の日、お酒に火をつけて遊んでる酔っ払いが居たらしく、倒れてる酔っぱらいも治して全員説教した
レアナー様はなんでそっちで正座してるんですか?
掃除も自分たちでやらせる
油性ペンで顔が真っ黒の人なんて馬鹿なんじゃないだろうか?
結局大人たちが使い物になったのはその次の日であった
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