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第501話 ダートの企み、ケイシーの体験
しおりを挟む急におじいちゃんから電話が来た
時差も考えず、なにか緊急だと思った
おばあちゃんが事故にでもあったのか、それとも親戚の誰かが亡くなったのかと冷や汗が出たものだ
とにかく急ぎで米国に来るように言われて、すぐに来た迎えの車に乗って用意された飛行機に飛び乗った
私の家族は大家族だ
おじいちゃんは一度妻を病気で亡くし、再婚した
そして6人の子供、私の父親の世代に兄弟がそれだけいて、おじいちゃんも兄弟が多く居て、従兄弟も結構いる
飛行機で事情を聞くと誰かが亡くなったわけではなく、レアナー教の洋介司教が突如として現れたらしい
・・・・・・・・
おじいちゃんから直系の孫で、日本語ができてそれなりに若い女性
しかも司教の婚約者である3人、春日井遥と黒葉奈美、ヨーコルノリアの3人から考えた司教の好みにぴったりなのが私
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ファ××!!××××××××!!!く×××××ぇ!!!!!!!!私の心配返せっ!!!」
おじいちゃんは議員だったし、大統領になる前から災害や人命救助には私も参加したいなんて話していたけど、これはひどい
政治的に家族の誰かが治癒の対象になって、更に治療の現場にいるのは世間にとって受けが良いだろうし、彼と私が懇意にしていればそれはいいニュースになるだろう
心配して損した・・・いや、親戚の誰かが死んでいないのは良かったけどね
おじいちゃんもおばあちゃんも、たしかに私は結婚ができる年齢だけどこれはダメでしょう
日本のお父さんたちが知ったら後できっと大変なことになると思う、絶対に家族会議だ
日本の血が入っていて、更に「日本語がわかる孫の私が治療の現場にいる」というのは大統領としてのポイントはさぞ良く映ることだろうけどさ
家族なんだから助け合わなきゃというのはわかるが・・・家族のピンチかと思って飛行機に飛び乗った身としてはやるせないな
やけになって一番高いシャンパンを飲んだが世界で一番話題に上がるレアナー教の人間には私も興味がある
私もスポーツをしていたが足首と膝の靭帯を痛めて競技はできなくなった
高名な医者に診せてもどうしようもなかったし、とても悲しかった
レアナー教の治療はどんな人でも治していった
病かわからないような特殊な病気や髪の毛、ピアスの穴以外の怪我ならどんな怪我でもだ
8度の手術をして引退した野球選手の腕を治し、老化で動けない老人は畑仕事が出来るまでに元気になった
そして話題の美白効果、私は肌で悩むことはないがやはり気になってしまう
慣れない真っ白な事務局についておじいちゃんのいる場所まで通される
バターたっぷりカリカリベーコンをご機嫌そうに頬張っているおじいちゃんには思わず手が出そうになった
いきなりの移動に疲れていたし、久しぶりに会えたのは嬉しいといえば嬉しい
うーん、おばあちゃんのいちごのタルトで許したけどまたなにかおねだりすることにしよう
会ってみると噂の魔法少女は思った以上に小柄で、可愛らしい男の子だった
英語で話してみると何故かそのまま日本語で普通に通じて、痛んだ足を見る間に治してもらえた
バイトでコツコツ貯めていたお金は大切に感じていたが身体に比べれば大したことのない金額だ
むしろこんなに少なくても良いのかと申し訳ない気持ちになった
彼が何をしても世間は動く、それだけの力があるということだろうが・・・テレビでアメリカの空を飛んでいるのを見てみると明らかにあたった銃弾が全くダメージになっていない
可愛らしいがUFOに乗ってやってきた異星人にも見えてしまう
治療も手伝ってみたが患者はやばい薬でも使ったかのように奇行に走る
危険だからとおばあちゃんと一緒に会場から連れ出されたが外の列の整理を手伝った、なにせ会場の中からは奇声が聞こえるし患者たちはさぞ不安だっただろう
パーティで世界のセレブを前に全く動じず、挨拶よりも見えない神様に食べ物を与えているのは流石だと思う
治療している時はキュートというよりも凛々しくて、神々しかった
本当に不思議な子
何かを見えない神様と話して、食事を食べさせている様子で・・・それを横に居た私に渡し、見えるようになった神様に私が食事を食べさせることとなった
ピンクの髪の色の、女神様
小さな妖精の人形のようだけど、ちゃんと動いて、私が料理を差し出せば食べてもらえる
手が震えそうだった、頭が真っ白でただ無礼や失礼がないように料理を食べさせていく
後でおじいちゃんたちのスピーチがとんでもないことを知ったけど神様と直接フォークやスプーン越しに触れ合ったなんて信じられない
<これもおいしーですぅ>
そういって口の周りにソースがついた女神様
神ってもっと高次元の、なにか得体の知れない存在かと思っていたから食べ物が美味しいなんて言ってるのが驚きすぎて、いつの間にか冷静になれた
僅かな時間だけど驚くことばかり、腹の立つこともあったけど来てよかった
洋介くん、いや、変装がバレないように「ようちゃん」というようになったがデートすることになった
魔法で変身したらしいが胸の大きな女の子になってしまった
パーカーを着たその姿がどう見ても普通の子、寒いのに短パンで移動するのもおしゃれで気合が入っているようでとても女の子らしい
何故かゾクゾクした、ついてる・・よね?男の子、だよね?
日本語で呼ばれている「聖下」と言うのはようちゃんいわく「司教」と魔法では翻訳されているみたいだというのも興味深い
ランディさんの話は面白くてニューヨークに着くまであっという間で恋愛経験値の乏しい私にとってはとても参考になった
ようちゃんはニューヨークの先進的な街並みを見て、立ち止まってほうけてしまった
私もニューヨークは久しぶりだけど、なんだか誇らしい気分になる
ランディのおすすめのハイブランドの宝石店を回って洋介くんの彼女のためにプレゼントを買うこととなった
私は大統領の孫とはいっても大家族の孫でお父さんがおじいちゃんと喧嘩して別れて暮らしているしリッチな暮らしをしているわけではない
目も眩みそうな高級さに場違い感を覚え、店員さんも「アレとコレとソレと~」と見たいものをどんどん選んでいくようちゃんに子供の玩具じゃないと言いたげだったが「レアナー教の大司教様」である元杉洋介と知って態度を変えた
どう見てもお店の偉い人がずらりとならんでお客さんがいなくなったタイミングで貸切状態となってしまった
レアナー様が出てきてずらりと大量のアクセサリーを買うと決めたようちゃん
店員さんも手が震えてるよ・・・と言うか私は小市民のつもりなのに大統領の孫というのはテレビで放送されていて、私までVIP対応だ
店員さんと現実から逃げるように商品を見ていくと、やはり良いものが揃っている
値段ではなく、これは素晴らしいと思えるような品々
ようちゃんは高級店なのに大量に買って・・・買い方はアタッシュケースを幾つか出して「ここから支払える?」と聞いていた
本人もどれだけ持っているかわからないそうでそもそも値段もよくわかってない
「許してくれると良いなぁ・・・あ、ケイシーもこれ上げる、今日のお礼」
「え・・・・・・・?」
手渡されたのはダイヤのネックレス・・・・・・・・・私が見ていたものだ
一気に顔が熱くなるのがわかる
これ、一つで、車、買えるよ?
「つけてやるのもマナーだぜ兄弟!」
「付けるの?」
「そう、正面からな!」
「わかった」
「ちょ・・・?!」
正面から付けるのに、1時間はかかっただろうか?
真剣な表情で私にネックレスを付けてくれようとするようちゃん
近い近い近い近い!
私、この数日動きまくってたけど汗臭くない!?
「ん、あ」
「動かないで、これどうやって付けるんだろ」
髪の毛サラサラで、目もオーラを感じて、唇もぷっくりピンク色
幼くて、頑張って私にネックレスをつけようとしてくれる少女にも見える少年
頑張ってるのがかわいくて、でも目を合わせられない・・近いって!!
息もかかる距離で、頭が沸騰しそうだ
「できた!」
「あり・・がと・・・」
時計を見るとわずかに4分、何時間にも感じた
胸がちょっと痛くて、どきどきしてしまう
男の人にアクセサリーを買ってもらったのも、買ってもらったアクセサリーをそのまま直に付けてもらうのも初めてだ
身長差もあったから少しかがんでいたのだけど、膝が震える
ニマつく店員とランディさんの目がきつい
この後どう帰ったのかわからない
ただこのときの出来事を店員が撮っていて、ネットにアップロードされたそれをスマホでそれを見た私は・・・・スマホを投げた
あぁぁぁああああああぁぁぁあああああああああああああああああああ
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