少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo

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第497話 ダートの孫と街の様子

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「なんか忘れてる気がする」

<むにゃむにゃ>

「・・・・・がー・・・がー!・・・・・・ぐごごご・・・」


杖と僕とその辺の広場と何人かその辺の新信徒候補と・・・目立つための看板さえいれば治療はできるはずだ


だけど、なんだろう

なにか忘れてる気がする


隣のベッドで凄いいびきをかいているランディは今度は忘れてない


旅の時は生存一番で戦闘のことや目的のためのことばかり考えていて余裕なんてなかった

だけど「命がけでしなければならないこと」はこちらの世界では無い

・・色々考えて、計画して、動くのってなかなか難しいな

旅のことはアダバンタスやメッツァー、エゼルにニロン・・・頭の良い仲間達にだいたい任せていた

文字を読むのも大変だった僕がなにかすること自体難しかったしね

こういう時は・・・直近でやることを考えよう

ダートと話し合いは急に来たから準備が出来てなかった、布教と治癒、それと・・なにかお土産買って帰ろうかな


あ、そうだ


洋介チャンネルで宣伝したら人増えるかもしれない

そういえば僕の作った布教用の看板、日本語だし、こっちの人には読めないかもしれないもんね

少し配信でアメリカで治療するよと言っておいて、すぐに配信を終わって、まだ外も暗いしもう一度寝ることにする


起きたらめっちゃベッドの周りに人が居た

寝てる時は自動で結界を張っているけど何かあったのかと思ったら配信を切り忘れていたらしい、スマートフォーンは電池切れであった


「さぁ、遠慮せずに食べてくれよ!」

「朝は日本食の方がいいかしら?」

「いただきます」


朝はダートおすすめのベーコンを食べた

薄めでカリッカリのベーコンにたっぷりのアボカドのサラダ

モッチモチの柔らかいパン


「おじいちゃん体に悪いわよ?」

「この良さを洋介くんにもわかってもらいたくて・・・」

「じゃあおじいちゃんの分は減らしても大丈夫ね」

「ぬぐっ!?」

「あ、ごめんね、ケイシーよ、よろしくね?」


一人増えた

ランディはまだグゴゴゴゴといびきをかいて寝ているからいないがダートのお孫さんらしき人も来た

ケイシーさんははるねーちゃんぐらいの歳で胸もおっきいし髪も金色、だけどなんだか疲れてるように見える


「おはよう・・おはようよね?うん、おはようの時間だった・・・・・私はケイシー、おじいちゃんに呼ばれてきたの、よろしくね」

「私の孫なんだが日本語も話せるし来てもらったんだよ」

「無茶苦茶するわね、おじいちゃん・・・私を呼んだ意味はわかるけどね」


ケイシーさんは日本人の血も入っていて日本語がわかるからお手伝いに来たそうだ

ケイシーさん自身も足首と膝の靭帯を痛めた経験があって日常生活では苦労しないがふとした拍子に痛むことがあるらしい

自身の治療と、それとなにか手伝えることはないかと遠くから駆けつけてきたそうだ

信徒になるか聞いてお金をもらってレアナー教に入ってもらうことになった


「いいの?本当にこんなに少なくて」

「うん」


お金は100万円もない

こちらの世界では幼くても働かなくてもいいことや勉強する期間が長いため人によってはこれぐらいの金銭しか持っていないことはよくある

それに嘘をついて少ないお金で済ませようとしているわけでもない、申し訳無さが伝わってくる

元々が軽症であったためか暴れることもなく治ってしまった


「ありがとうね、司教様?」

「うん?うん、ようこそレアナー教へ!」


司教というのはこちらにある宗教のランクのようなもので、おそらく僕の「聖下」と似たような広まり方をしているのだろう

翻訳の魔法は微妙な言葉の選び方が伝わり方が似た言葉に置き換わることもある

今は僕自身に魔法をかけて相手の言葉がわかるようにしてそれに合わせて話している

・・いきなり「布団が吹っ飛んだ」って言ったら向こうにはどう聞こえるのだろうか?


「洋介くん、何処で活動する予定かな?」

「その辺の広場でやるつもりだよ」

「あー、すごく人が集まっていてね、こちらで場所は用意してもいいかな?」

「ありがとう」


吾郷もそうだけどダートもなにか裏で動いてる気がする

ただ、この顔は僕に都合の良いように動いてくれてるやつだ

典型的な貴族だったら欲望を隠すこと無く、話しかけてくるもんね


「ちょっと様子見てくるよ!」

「・・・・・わかった、気をつけてね」


外から人の声が聞こえているのはわかっていた

だから、きっとチャンネルでの宣伝が良かったのかもしれない・・・100人ぐらい来てるかな?

外に出てみてみると戦車が建物を囲んでいた

杖を取り出して空を飛んで


「うわぁ」

<お祭りみたいですぅ>


人が、凄いいる

下から手を振ってくれる人も多い

だけど下から銃を向けられているのもわかる


「怪我人も出そうですし、レアナー様、少し大きくなってついてきてもらえますか?」

「<そうですねぇ>」


レアナー様に大きく魔力を渡して、大きくなってついてきてもらう

アメリカの街を撮りながら空を飛んでいるのだけど、やはり銃をこちらに向けてきたりする人は多い

すごく遠くから撃ってくる人もいるが障壁の一枚も傷つかないが何処に弾が行くかわからないし、レアナー様にもっと魔力を捧げる

ここはレアナー教が国教ではない国だし襲撃は仕方ない

レアナー様の目の届く範囲なら神罰が使える、だけど魔力を多く使うし、神罰に使う魔力があるなら治癒に回すか信徒の恋愛を覗き見ることに魔力を使うのがレアナー様だ

だけど今の僕の魔力ならレアナー様が困らない程度に魔力を渡して神罰を下してもらうこともできるだろう


何度も銃を持ったまま固まる人々に出会い、まともに空からアメリカを見ることは出来なかった


出来たら降りて本場のホットドッグを食べてみたかったんだけどな・・ん、あれ?なんでソーセージとパンで「ホットドッグ」なんだろう?
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