503 / 618
第491話 衝撃映像
しおりを挟む奈美が具合が悪くなっていたのは見ていて分かっていたし心配していた
私が骨肉腫になったときも疲れが取れなくて、気が付いたら階段から落ちてしまって病院に居た
起きたら顔面から落ちたとかで歯が折れていて首にカラーが巻かれていた
検査で、癌、若い人は骨肉腫というらしいがそれが見つかって、どんどん人生のドン底まで転がり落ちていった
そんなの人によるってわかってる
だけど、奈美もそうなんじゃないかって・・すごく、怖かった
あんな思いを、絶対にしてほしくない
心配で何も手がつけられなくなり、おかゆを作ろうとして母さんにフライパンでひっぱたかれた
洋介も、レアナー様もいない
こんなときなのに
怖くて、すごく怖くて・・・心配でたまらない
奈美は私と違って大神官として神殿で怪我を治しているしレアナービルにいるときからずっと仕事をしている
大学だってこの試験で卒業に必要な単位を取り終えられるように詰め込んでいるはずなのにだ
私もそうだった
試験やレポートを詰め込んで皆と・・試験対策を頑張った
もしかしたらもしかしたらと嫌な方向にばかり考えが行ってしまう
もしかしたら奈美が居なくなるかもしれない
そんな考えたくもない気持ちがどんどん湧いてきてしまう
一緒に寝ようとしたのだけど部屋から追い出されてしまって・・やっぱり心配でなにかあったときのためにドアの前で寝てしまった
奈美に買ってきてもらったモバイルバッテリーでスマホを充電し、地球に帰ってきているかもしれない洋介に連絡をしようとメッセージを送り続けて、奈美の最近の様子から病気を調べていく
病気のことはどうにも分からないが嫌なことばかり書かれている
少しでも寝て、日中に奈美の側で動けるようにしようと体を休めていると奈美が起きてきた
朝ごはんは私はしっかり食べる方だ
山盛りのポテトサラダ、牛の肩もも肉の赤身ステーキ500g、雑穀米入りご飯、トマト一玉、豆腐、豚汁、漬物、りんご
「よくそんなに食べれるね」
「聖騎士部は身体が基本だからね・・・ステーキもう一つおかわり!」
「嘘でしょ!まだ食べるの!?」
奈美はジャムを塗ったトーストにウインナー2本ベーコン1枚と目玉焼き、それとミニサラダだ
それとブラックコーヒー
食べたくなったら食べてと持ってきた大きなフランクフルトはいらないと言われたので私が食べる
レアナー教の共同食堂はクオリティが高い
母さんの料理もプロ級だけど料理を50年やっていたような料理人が何人もここにはいる
世界のプロの料理人がいつ来ても美味しいものを作ってくれる
素材も良いものを使っているし、残った分は全部異世界行き
・・・・ただ、創作意欲が高まったとかでチョコで私の裸像を作って神様に捧げようとして母さんが壊したり、りんごやザクロを揚げたスイーツを作ろうとしたりと結構好き放題しているのでたまに怖いものが出てくることもある
レアナー教でまともなのは資材や人、給料を管理しているような中立派の人の多い部ぐらいかもしれないな
食事が終わって、部屋に戻って奈美と動画を見てみる
「歯ぎしりとかしても笑わないでよ?」
「わかってるって」
動画の再生をするとすっと寝ている奈美
普通に寝て、変な部分は何もない
・・・・・ん”ん”んっ!!!??
思わず停止ボタンを押してしまった
「遥」
「待ってなにこれ」
何もない壁に、ドアが出現した
画面の奈美は寝たままだ
部屋の隅に置かれたこのカメラでも静かな環境だからかしっかりと音を拾っていた
「おはようかーさん」
「せーちゃん、お・は・よ・お♪ずんちゃ!ずんちゃ!ずんちゃちゃちゃ♪FOO!」
一時停止した
セーがドアを作って、奈美の横にまで行き、奈美の横に置かれたブローチの中から精霊であるレーマ・ワリが出てきて、ブローチの近くで歌って踊っていた
奈美を見ると頭を抱えていた
私も頭痛がする
あのアホ精霊、静かなのは封印されて動けないんじゃなかったのか・・・
「・・・・・・・・・・・・続けて」
「わかった」
そもそもかーさんとはなんだろうか?
セーの母親といえば光の神レミーアとか・・だったはずだ
力が強くなりすぎて、国を滅ぼすまでになったとかで神様たちによって分割されたのだとか・・・
そういえばレーマ・ワリも悪戯が過ぎて邪神から精霊になったとか
光の神レミーアは力が強すぎた結果、別の神様も次々産んだ
レアナー様やサシル様もそれに連なる神様のはずだ
「今夜は、寝かさないぜー!!ランランラー♪ヴォーラーゴー♫」
動画の再生を続けると寝ている奈美のすぐ横で歌ったり踊ったりしているレーマとセーがなにか話し続けていた
ブローチから光る玉、別の精霊?らしきものも出てきて部屋中を飛び回っていて、スライムのポポンもぴょこぴょこ動いて更に眩しい
ポポンも発光して、奈美の寝ている部屋はパーティナイト状態である
「ま、まぁ原因がわかってよかったじゃない?」
「・・・・・」
うなだれた奈美だが、私は病気じゃなくてとても安心した
0
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。
RISING 〜夜明けの唄〜
Takaya
ファンタジー
戦争・紛争の収まらぬ戦乱の世で
平和への夜明けを導く者は誰だ?
其々の正義が織り成す長編ファンタジー。
〜本編あらすじ〜
広く豊かな海に囲まれ、大陸に属さず
島国として永きに渡り歴史を紡いできた
独立国家《プレジア》
此の国が、世界に其の名を馳せる事となった
背景には、世界で只一国のみ、そう此の
プレジアのみが執り行った政策がある。
其れは《鎖国政策》
外界との繋がりを遮断し自国を守るべく
百年も昔に制定された国家政策である。
そんな国もかつて繋がりを育んで来た
近隣国《バルモア》との戦争は回避出来ず。
百年の間戦争によって生まれた傷跡は
近年の自国内紛争を呼ぶ事態へと発展。
その紛争の中心となったのは紛れも無く
新しく掲げられた双つの旗と王家守護の
象徴ともされる一つの旗であった。
鎖国政策を打ち破り外界との繋がりを
再度育み、此の国の衰退を止めるべく
立ち上がった《独立師団革命軍》
異国との戦争で生まれた傷跡を活力に
革命軍の考えを異と唱え、自国の文化や
歴史を護ると決めた《護国師団反乱軍》
三百年の歴史を誇るケーニッヒ王家に仕え
毅然と正義を掲げ、自国最高の防衛戦力と
評され此れを迎え討つ《国王直下帝国軍》
乱立した隊旗を起点に止まらぬ紛争。
今プレジアは変革の時を期せずして迎える。
此の歴史の中で起こる大きな戦いは後に
《日の出戦争》と呼ばれるが此の物語は
此のどれにも属さず、己の運命に翻弄され
巻き込まれて行く一人の流浪人の物語ーー。
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
氷弾の魔術師
カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語――
平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。
しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を――
※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる