少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo

文字の大きさ
上 下
485 / 618

第473話 大統領とレアナー教

しおりを挟む

強引にレアナー城に来たのだが、流石の私も情報過多がすぎる

洋介くんの話もとんでもないもので驚いたが城の中もとんでもないものだった

買い物も基本的なものばかりだったがもしかしたらこの買い物の中にも新物質や新たな魔法の力が込められたものもあるかもしれない


この城自体が常識から外れたものである


ならばこの城の中にあるものだって何かしらの特別なものかもしれない


子供の頃に5ドルでどれだけ買えるかとマーケットでお菓子とにらめっこしていたのを思い出したよ

規模は全く違って100万レアナー・・1万ドルほどだが店を回ってワクワクしながら「あれが良いこれが良い」と話し合って買い漁った

まぁ質の割に値段は安く見えるし、ここで買ったというブランドは他にないものだ

何の力もないものかもしれない、が、物としては充分に良いものだと思うがね


偶然にもボブのボクシングを見れたのだけど『超人VS地球最強ボクサー』の試合、このマッチは金が取れるものだろう

きっとこれは私の見てきたボクシングの中でも最高のマッチだった

洋介くんには太刀打ちできなかったがボブは果敢にも挑んだ

相手はボクサーとしてはおそまつだったがそれでもボブを倒し得ると思える身体能力を有している

プロボクサーがティーンエイジャーを遊びで見てやるように、世界最強であるはずのボブに向かって気を使っていたのがわかった


なにせ騒動のとき、彼らは車を投げるとかいうとんでもない事をしていた

人間としての性能が違いすぎるのだ


空気が凍りつきそうな剛腕、稲妻のようなスピードのワンツーパンチ

しかしコンビネーションのバリエーションも少ない、ボクサーとしては活動をやめて久しかったのか錆びつきすぎているヤマダ

彼は同じパターンのパンチを主軸に立ち回っていた

世界チャンピオンとは身体能力に差があったがテクニックにも大きな差がある

激しいパンチをくぐり抜けて戦うチャンピオン


当たれば頭が千切れ飛んでしまうのではないかという大砲だ


それに対応し、ボブが鋭くステップをいれ、渾身の一撃を肝臓に入れていた

ボディへの攻撃で身体が浮いていたことも考えれば凄まじい衝撃だったのだろう、完全に決まっていた


素晴らしいファイトだ

スマホにこの素晴らしい試合が撮れたかは疑問だったがこの後恐ろしいことが起きた


私もやりたいと女性の騎士ムラタと、審判のアメリカ人のような女性アビゲイルもボクシングを始めた

2人ともボクシングをしていたのか、ヤマダくんのような錆びついた動きではなく活きたボクシングで、先程のボブの試合を超える試合をしていた

アビゲイルは技術もパワーもあった、ムラタはヤマダくんよりも技術もパワーもスピードもあった・・・と思う


2人ともあまりに速い動きで目で追えなかったのだ


女性二人、ちゃんと技術も魔力も使ったブーストも使えていればこんなことになるのか


最終的にボブが勝利したムラタに笑って挑戦しようとしていたが流石に止められていた


興奮冷めやらぬが部屋に案内されてすぐ寝た

流石に時差で疲れていたのもあって眠気でぐわんぐわんしていたし、案内された部屋に入るとすぐにベッドに沈み込むように眠りに落ちた


不思議と数時間ほどでスッキリ起きてしまった

洋介くんが帰ってきていて異世界に行くところということだったのでついて行くことにした

絶対後で怒られるが仕方ない

これもアメリカのため、世界のためだ



「ダートたちも来る?」

「大統領、帰りましょう」


こんな、小煩いガードたちを城の外に待たせている、自由な機会は二度とないかもしれない


「いや行くよ?行かないで男と言えるのかね?」

「男であることよりも大統領であることを優先しましょうよ!?」

「必要なことだ、責任は私が取るからついてきなさい」

「・・・わかりました」




もしも私がトーマスだったら・・・立場を考えると同じようにしていたかもしれないな

吾郷を出し抜けるかもと思ったが吾郷も起きていて行くことになった、ちぃっ


異世界はとんでもない世界だった


人々は見たこともない髪の色だけではない、骨格が違う、羽根も生えていたり肌に光る鱗が光を反射している

犬や猫のような耳、長い耳、ヒゲが膝まである男

案内に来てくれたロムという女性は私達を待っていたのかドレス姿であった

しかし聞いてみると洋介くんを待っていただけで私達用ではなかったそうだが・・デートの約束でもしていたのか?悪いことをしてしまったのかもしれない

歩いていくと世界が違いすぎた

売っている果物も見たことがない

鎧兜の男たちが歩き、痩せて靴も履いていない困窮した人も座り込んでいる

洋介くんや女神レアナー、セー・オーという女性の婚約者の像がそこかしこにある

建物の横で血で汚れた武器を洗っている人や剣を打ち直している人、何かを売ろうと声高に商売している人もいる

安全とは程遠く、荒れているのが見て取れた


なにか光が走り、人々がどこかに指さして走ったので我々も見に行く

空気が不思議と軽くなった気がする

洋介くんが杖から光を地面に向かって放ち、屋敷に入っていった


「あれは?」

「きっと清浄化と・・聖域でしょうか?この土地はもともと死の荒野と呼ばれる不毛の大地だったのできっと土壌の改善をしようとしたのだと思います」

「なるほど?」


よくわからないが魔法でなにかしたようだ

領地のことを聞いたりしていくと今は大変な時期らしい

この領地は勇者であった洋介くんが貰った土地で、洋介くんが領主である

隣の国、覇権国家ザウスキアという大国と国際連合軍が戦争中、この土地には難民や捕虜、味方の軍人、商人が集まっているそうな


なるほど、道で見かける痩せこけた人々はそういう理由なのか

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...