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第458話 魔力・魔法研究チーム
しおりを挟む科学の世界で激震が走った
未知の新物質の発見、魔法現象の全世界での観測
レアナー教のオークション品から未知の物質が検出され、どう名前をつけるかがニュースに取り上げられている
異世界はあったという物証にこれまで異世界は映像技術だと主張していた団体は沈黙した
オークションから一部の人間が帰ってこれないなどという都市伝説も生まれたが些事である
これまでにない物質で何が出来るのか?これに心の踊らない科学者はいないだろう
レアナー教では心霊超常研究者である阿部という人物が研究をしていたが専門家ではない
いや、魔法というものを研究していたのなら魔法の研究においてはある意味第一人者である
洋介の発表した魔法学校構想で盛り上がっている魔法についての考察、この燃え上がった話題に未知の物質や魔法による現象はガソリンをかけたかのように爆発的な燃え広がり方をしている
大昔に流行った気功や空中浮遊、超能力のブームが再燃し、街を歩くと子供が魔法ごっこで遊んでいるほどである
そしてレアナー教からネットで研究者を募集した
ダメ押しに洋介チャンネルで『賢者の石』が発表された
未知の探究をしたいという科学者は我先にと城に向かった
もちろん純粋に研究したいという人間だけではない、何人も神罰を受けた
賢者の石という名称のつけられたその物質が何かは分からないが彼は魔力がこもっているその石を使って研究をしたいらしい
共同開発を申し込む国や機関は既に大量にいるがその全てにレアナー教は沈黙
あくまで参加したいなら『レアナー教の傘下に加わるが良い』と言う態度である
批判する人間はまだ残っている
人権団体や利権に関われなかったせ医薬会社などの団体が地団駄を踏んでいる
逆になぜ「我々が手を差し伸べているのだから手を取って当然」という態度で上から言ってこれるのかが不思議でならない
レアナー教の洋介はそんな団体のことなど気にかけることもなく、最近世界各国をワープしている
また治癒か何かかと思ったが食料をコンテナで持ち帰っている、とてつもない量だ
日本政府はさぞ肝を冷やしていることだろう
前回の騒動から洋介の食料収集を続けられていることから日本政府への警戒は怠っていないという意思表示が透けて見える
と言うかコンテナごと吸い込めるとか魔法凄いな
俺もレアナー教の研究員として働き始めたけど面白い
未知の物質で世界に革新を起こせるかもしれない、新エネルギーを作り出せるかもしれない、新物質で軌道エレベーターだって作れたり、宇宙や異世界への道が拓けるかもしれない、不治の病が・・・あ、これはレアナー教が治すか
世界各国にもオークションによって多くの研究物が渡ってしまった、しかし、こここそ科学の最先端
なにせ研究して良い対象物がゴミのように積まれている
・・・・・あのオークションで俺達がここに来るきっかけになったのだから良いかな?
名だたる科学者が子供のように目を輝かせて調べ続けている
科学の一部は化学ともいう、化け学、原子レベルまでその物質を調べ尽くし、更にその物質の働きと別の物質にどう反応するのかを調べ続ける素敵な学問だ
新たな物質が現れれば既存現象や物質との組み合わせて新たな特性や反応を調べる
だが、他の国もやっているであろう地味で意味があるかもわからないこれまでの研究とは違う
データすら誰かの踏襲ではない、参考資料もなく全く新たなデータから始まる
「あぁ時間がいくらあっても足りない!!」
「24時間が50時間あればいいのにィィ!!」
「このデータ見てみろよ!!?」
「聖下に魔法かけてもらいに行くぞ!それでまだいける!!」
楽しくて楽しくて仕方がない
その道の研究者であれば誰でも知っているような教授が、床に転がって大いびきをかいている
ここはまさに遊園地だ、新たな発見、新たな興奮、新たな玩具がある
素人レベルの研究とは言え熱意だけはあった局長も偉業をなしていた
城の外で植物由来の・・きゅうりから出来た『賢者の石』を作り出した
きゅうりといえば食べ物でそのほぼ全てが水分でできていることからフェイスパックに使われたりもする
彼はその性質を活かして聖下の魔力を製造過程で使用した結果、中が透明な・・魔力の籠もった物体ができた
現在『賢者の石(仮)』は量産体制に入っている
しかしここから魔力の抽出や、分析が進んでいなかった
無理もない
彼は元々省庁勤めのエリートだがそもそも科学の分野が専門ですら無い
幽霊調査なんて日科学的なオカルトにハマっていたようだが幽霊をしっかりと撮影しているし研究結果も馬鹿には出来なかった
まー、怪しいものだけどね
賢者の石も専門器具もなく、理科室程度の機材で思いつく研究をしていたようだ・・・だというのによくやるものだ
ただこのきゅうりもすごい、きゅうりは品種にもよるが40~80日ほどで出来るものだが何故か1週間ほどで出来る
研究員も研究材料が全然無い状況と違って有り余るほどあるのは嬉しいと言えば嬉しいが問題もある
研究に必要な器具が圧倒的に足りていない
専門的な器具は高額なのもあるが特殊な装置の納期に半年から数年かかるなどよくあるのだ
しかもムカつくことに高額な器具のメーカーの売り先は大学や最先端科学の研究所、大企業に製薬会社などであってレアナー教にはそもそも売ってくれない
売るから代わりに研究物のデータをよこせとかいわれるしまさかの用具をかき集めることから始まった
当たり前の実験器具でさえやってくる研究者や科学者の数に足りていない、内部で奪い合いになる始末
まぁ赤字の研究所から買い取ったりいろんなルートで型落ち品から揃えていったが・・・・ありえんな
我々が未知を発見する邪魔をするなど・・・じゃない、科学の発展の邪魔をするなど人類の進歩を邪魔したいのだろうか?
極刑に値すると思うのだが
それを抜きにしてもここの研究は加速的に進んでいる
牢獄エリアという時間の進む速さの異なるエリアに入れば1日を何日にも出来る
体感時間は変わらないがいち早く研究するのにこれ以上の場所はないだろう、データ自体におかしな点がないか心配だったが今のところ問題はない
それよりも良いのが研究器具に仕込まれているかもしれないデータ送信機器が設置されていたとしても送信自体が不可能な完全な隔離空間である点だ
人手や時間のいる仕事は囚人たちがいる
絶対に逆らうことのない労働力、何故か爆弾の精製方法に詳しいものもいて何をするか専門知識もあるものもいてかなり助かる
流石にこのエリアの食事は城よりかはランクが落ちたが科学者なんてものは研究以外はダメ人間が多い
食事はテキトー、服もテキトー、住処もテキトー
喰えれば良い、着れれば良い、寝れれば良い
そんな連中が多い
寝ても覚めても研究のことが頭を離れず、実験試料の届くスケジューリングを頭で考え、ふとした拍子に革新的じゃないかと自分の中で思う組み合わせを脳裏に描き、メモをする前に脳裏から消え去って悶える
研究所にもよるだろうが足りない試料、ずさんな管理、年功序列で上に居座るゴミ、別部署との研究費用の取り合い、成果の出せずに怒鳴られる日々、論文の名義、権力闘争、派閥争いはよくある話だ
それに比べてレアナー教は天国だ
食事はプロが好きなものを作ってくれるし、めんどくさくても食堂に行けばなにか作ってある
服は危険な試料の付いた物以外は全て洗濯してもらえて、アイロンを当ててパリッとした状態で届けられる
ベッドは毎日シーツが取り替えられ、いつでも冷蔵庫にはビールとコーヒーと栄養ドリンクもいれてもらえる
局長はイカれていてこういう必要なものなんですと説明すればどんなものでも買うように手配してくれるし、成果が出なくても急かすことも叱責もない
全てに「問題など全くない」と言ってくれて・・・ネチネチ責められず、怒鳴られないことに逆に心配になることもある
研究分野も多岐に渡り、流石に器具自体が億を超えるようになったが阿部局長の上の上、女神レアナー様も「<好きにするですぅ>」と言ってくれる
きっとあれは科学の神だ、思わず手を合わせてしまった
よくない部分といえば器具や試料が届かないことと別部署との器具の取り合いだがそれはメーカーが悪いし・・永久就職と研究データを別の機関に流してはいけないという条件、それらを話せなくなるという魔法的隷属状態も受け入れねばならなかったが全く問題がない
この城にはバッティングセンターやトレーニングルームもあるし、研究所と違って出会いも多いし運動不足もない
毎日見つかる研究結果、年齢も、国籍も、人種も違う連中だがもう家族だ
同じビーカーのコーヒーを飲んで研究する家族
翻訳の魔法は専門用語は通じないがだいたい通じるし、この翻訳のシステム自体も調べるものもいる
今度異世界の薬師も来てくれるそうだし、楽しみだ
あぁ神に感謝を!!
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