上 下
467 / 618

第458話 魔力・魔法研究チーム

しおりを挟む

科学の世界で激震が走った

未知の新物質の発見、魔法現象の全世界での観測

レアナー教のオークション品から未知の物質が検出され、どう名前をつけるかがニュースに取り上げられている

異世界はあったという物証にこれまで異世界は映像技術だと主張していた団体は沈黙した

オークションから一部の人間が帰ってこれないなどという都市伝説も生まれたが些事である


これまでにない物質で何が出来るのか?これに心の踊らない科学者はいないだろう

レアナー教では心霊超常研究者である阿部という人物が研究をしていたが専門家ではない

いや、魔法というものを研究していたのなら魔法の研究においてはある意味第一人者である

洋介の発表した魔法学校構想で盛り上がっている魔法についての考察、この燃え上がった話題に未知の物質や魔法による現象はガソリンをかけたかのように爆発的な燃え広がり方をしている

大昔に流行った気功や空中浮遊、超能力のブームが再燃し、街を歩くと子供が魔法ごっこで遊んでいるほどである


そしてレアナー教からネットで研究者を募集した


ダメ押しに洋介チャンネルで『賢者の石』が発表された


未知の探究をしたいという科学者は我先にと城に向かった

もちろん純粋に研究したいという人間だけではない、何人も神罰を受けた

賢者の石という名称のつけられたその物質が何かは分からないが彼は魔力がこもっているその石を使って研究をしたいらしい

共同開発を申し込む国や機関は既に大量にいるがその全てにレアナー教は沈黙

あくまで参加したいなら『レアナー教の傘下に加わるが良い』と言う態度である


批判する人間はまだ残っている

人権団体や利権に関われなかったせ医薬会社などの団体が地団駄を踏んでいる

逆になぜ「我々が手を差し伸べているのだから手を取って当然」という態度で上から言ってこれるのかが不思議でならない

レアナー教の洋介はそんな団体のことなど気にかけることもなく、最近世界各国をワープしている

また治癒か何かかと思ったが食料をコンテナで持ち帰っている、とてつもない量だ


日本政府はさぞ肝を冷やしていることだろう


前回の騒動から洋介の食料収集を続けられていることから日本政府への警戒は怠っていないという意思表示が透けて見える

と言うかコンテナごと吸い込めるとか魔法凄いな


俺もレアナー教の研究員として働き始めたけど面白い

未知の物質で世界に革新を起こせるかもしれない、新エネルギーを作り出せるかもしれない、新物質で軌道エレベーターだって作れたり、宇宙や異世界への道が拓けるかもしれない、不治の病が・・・あ、これはレアナー教が治すか

世界各国にもオークションによって多くの研究物が渡ってしまった、しかし、こここそ科学の最先端

なにせ研究して良い対象物がゴミのように積まれている


・・・・・あのオークションで俺達がここに来るきっかけになったのだから良いかな?


名だたる科学者が子供のように目を輝かせて調べ続けている

科学の一部は化学ともいう、化け学、原子レベルまでその物質を調べ尽くし、更にその物質の働きと別の物質にどう反応するのかを調べ続ける素敵な学問だ

新たな物質が現れれば既存現象や物質との組み合わせて新たな特性や反応を調べる


だが、他の国もやっているであろう地味で意味があるかもわからないこれまでの研究とは違う

データすら誰かの踏襲ではない、参考資料もなく全く新たなデータから始まる


「あぁ時間がいくらあっても足りない!!」
「24時間が50時間あればいいのにィィ!!」
「このデータ見てみろよ!!?」
「聖下に魔法かけてもらいに行くぞ!それでまだいける!!」


楽しくて楽しくて仕方がない

その道の研究者であれば誰でも知っているような教授が、床に転がって大いびきをかいている

ここはまさに遊園地だ、新たな発見、新たな興奮、新たな玩具がある

素人レベルの研究とは言え熱意だけはあった局長も偉業をなしていた

城の外で植物由来の・・きゅうりから出来た『賢者の石』を作り出した

きゅうりといえば食べ物でそのほぼ全てが水分でできていることからフェイスパックに使われたりもする

彼はその性質を活かして聖下の魔力を製造過程で使用した結果、中が透明な・・魔力の籠もった物体ができた

現在『賢者の石(仮)』は量産体制に入っている

しかしここから魔力の抽出や、分析が進んでいなかった

無理もない

彼は元々省庁勤めのエリートだがそもそも科学の分野が専門ですら無い

幽霊調査なんて日科学的なオカルトにハマっていたようだが幽霊をしっかりと撮影しているし研究結果も馬鹿には出来なかった

まー、怪しいものだけどね

賢者の石も専門器具もなく、理科室程度の機材で思いつく研究をしていたようだ・・・だというのによくやるものだ


ただこのきゅうりもすごい、きゅうりは品種にもよるが40~80日ほどで出来るものだが何故か1週間ほどで出来る

研究員も研究材料が全然無い状況と違って有り余るほどあるのは嬉しいと言えば嬉しいが問題もある

研究に必要な器具が圧倒的に足りていない

専門的な器具は高額なのもあるが特殊な装置の納期に半年から数年かかるなどよくあるのだ

しかもムカつくことに高額な器具のメーカーの売り先は大学や最先端科学の研究所、大企業に製薬会社などであってレアナー教にはそもそも売ってくれない

売るから代わりに研究物のデータをよこせとかいわれるしまさかの用具をかき集めることから始まった

当たり前の実験器具でさえやってくる研究者や科学者の数に足りていない、内部で奪い合いになる始末

まぁ赤字の研究所から買い取ったりいろんなルートで型落ち品から揃えていったが・・・・ありえんな

我々が未知を発見する邪魔をするなど・・・じゃない、科学の発展の邪魔をするなど人類の進歩を邪魔したいのだろうか?


極刑に値すると思うのだが


それを抜きにしてもここの研究は加速的に進んでいる

牢獄エリアという時間の進む速さの異なるエリアに入れば1日を何日にも出来る

体感時間は変わらないがいち早く研究するのにこれ以上の場所はないだろう、データ自体におかしな点がないか心配だったが今のところ問題はない

それよりも良いのが研究器具に仕込まれているかもしれないデータ送信機器が設置されていたとしても送信自体が不可能な完全な隔離空間である点だ

人手や時間のいる仕事は囚人たちがいる

絶対に逆らうことのない労働力、何故か爆弾の精製方法に詳しいものもいて何をするか専門知識もあるものもいてかなり助かる

流石にこのエリアの食事は城よりかはランクが落ちたが科学者なんてものは研究以外はダメ人間が多い


食事はテキトー、服もテキトー、住処もテキトー

喰えれば良い、着れれば良い、寝れれば良い

そんな連中が多い


寝ても覚めても研究のことが頭を離れず、実験試料の届くスケジューリングを頭で考え、ふとした拍子に革新的じゃないかと自分の中で思う組み合わせを脳裏に描き、メモをする前に脳裏から消え去って悶える

研究所にもよるだろうが足りない試料、ずさんな管理、年功序列で上に居座るゴミ、別部署との研究費用の取り合い、成果の出せずに怒鳴られる日々、論文の名義、権力闘争、派閥争いはよくある話だ


それに比べてレアナー教は天国だ


食事はプロが好きなものを作ってくれるし、めんどくさくても食堂に行けばなにか作ってある

服は危険な試料の付いた物以外は全て洗濯してもらえて、アイロンを当ててパリッとした状態で届けられる

ベッドは毎日シーツが取り替えられ、いつでも冷蔵庫にはビールとコーヒーと栄養ドリンクもいれてもらえる

局長はイカれていてこういう必要なものなんですと説明すればどんなものでも買うように手配してくれるし、成果が出なくても急かすことも叱責もない

全てに「問題など全くない」と言ってくれて・・・ネチネチ責められず、怒鳴られないことに逆に心配になることもある

研究分野も多岐に渡り、流石に器具自体が億を超えるようになったが阿部局長の上の上、女神レアナー様も「<好きにするですぅ>」と言ってくれる


きっとあれは科学の神だ、思わず手を合わせてしまった


よくない部分といえば器具や試料が届かないことと別部署との器具の取り合いだがそれはメーカーが悪いし・・永久就職と研究データを別の機関に流してはいけないという条件、それらを話せなくなるという魔法的隷属状態も受け入れねばならなかったが全く問題がない

この城にはバッティングセンターやトレーニングルームもあるし、研究所と違って出会いも多いし運動不足もない

毎日見つかる研究結果、年齢も、国籍も、人種も違う連中だがもう家族だ

同じビーカーのコーヒーを飲んで研究する家族

翻訳の魔法は専門用語は通じないがだいたい通じるし、この翻訳のシステム自体も調べるものもいる

今度異世界の薬師も来てくれるそうだし、楽しみだ


あぁ神に感謝を!!
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。 十分以上に勝算がある。と思っていたが、 「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」 と完膚なきまでに振られた俺。 失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。 彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。 そして、 「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」 と、告白をされ、抱きしめられる。 突然の出来事に困惑する俺。 そんな俺を追撃するように、 「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」 「………………凛音、なんでここに」 その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...