少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo

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第443話 ミルミミスとの出会い

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空からザウスキアの方向にどんどん【清浄化】を放つ

加護を多く授かっているのと僕が成長してるからか魔力が使い切れずに余ってしまう

それと身体もよく食べるようになったけど視覚や聴覚も良くなった、数百キロ先なのに何となく分かる・・・・・見えにくい幽霊も前よりも少しくっきり見えるようになったけど

負担を軽くするのと空を飛ぶ魔物がいたときのために空中戦闘を考えてミルミミスとルールの両方に頼みたいのだけどルールは雲の上の高さは苦手で、更にミルミミスの近くでは借りてきた猫のように大人しくなる

ミルミミスは雷を操るしなにか来ても事足りはするけど乗り心地は悪い

中型犬サイズの竜と子供の姿の僕、乗りにくくて当然だよね

翼は羽ばたいてはいないけどつかみにくいから[カジンの捕縛布]を使っている

しかも鱗で滑りやすいから安定しない


「キュルルルル」

「ありがとう、ちょっと荒野に降りてくれるかな」

「キュクルル」


かなり魔力を使ったしそろそろ休憩

荒野に降りて少し歩く、領地まで1キロぐらいかな?

瘴気の残ってる具合も確かめたかったしね


「幼子・・・大丈夫?」

「うん、1時間もすれば元通りかな・・・それよりもミルミミス」

「・・・・・うん」

「何その口調、似合わないんだけど?」

「・・・・・どこが?」

「どこがってぜんぜん違うじゃない」


ミルミミスと言えば尊大な竜王、腹ペコ食い尽くしと寝るのが大好きな真竜だ

出会ったときなんて「我こそはミルミミス、脆弱な人間どもよ何用か?」なんて言っていてどう見ても魔王っぽかった


「第一印象、でっかくて、偉そうな竜だった」

「・・・・・そう?」

「そう」


ミルミミスの寝ている場所を確認し、離れた場所で野営して料理作ってたらミルミミスから来たんだよね


希少な美味しい魔獣の肉


普通に焼いていたら来たものだからびっくりしたよ

ミルミミスは竜の中でも中立の立場で話ができる竜であった


「我こそはミルミミス、脆弱な人間どもよ何用か?」


そう言っていきなり木の上から覗くように現れたミルミミス

もしも戦闘になると焼いてる肉がダメになるかもしれないし、話すのであっても焼き過ぎたり焦がしてはもったいないから一度肉やスープを片付けようとしたら視線が肉に固定されてて


肉を右に動かす

竜もそっちを見る

肉を左に動かす

竜もそっちを見る


「食べたいの?」

「うむ」


敵意はなさそうだ

戦うんじゃなくて説得に来たんだし、うん


「一緒に食べよっか」

「一緒に?我への献上品じゃないのか?」

「違うよ、僕らのご飯の分、休んで身なりを整えてから会いに行こうと思ってた」


貴族や王、その土地の英雄に助力を求めるのにはやはり礼儀が必要だ

本人は気にしなくても周りのお供が「そんな姿で来るなど無礼ではないか」って騒いで断られることもある、対面って大事だ

ミルミミスは竜王、百以上の竜を率いているしちゃんと気を使わないといけない

ただミルミミスがいる場所からこちらに風は吹いていたし、まさかやってくるとは思っていなかった


「まぁ良い、大きく切り分けよ」

「仲間のご飯だから残りは上げる、それでいい?」

「うむ・・・貴様は物怖じしないな?」

「え?怖がった方がいい?キャーって」

「い、いやまぁ良いが」


人によっては護りの聖竜だとか星竜、真なる古竜、雷竜なんていう

ミルミミスの寝ていた場所には国まで出来ていたという伝説がある

彼女は寝ながら魔物や獣に雷を落として獲物を食らう

魔力の濃い場を陣取り、そこで寝る

集まってきたものを雷で狩ってそれを取りに行って食べてまた寝る

いつしか食べても美味しくない人間がその場を安全だと住み着いた

人間は鎧や装飾品をつけるし、獣に比べて食べる部分が少ないし数も多い、神との相性も良いから敵に回せば神も出張ってくることがあって厄介な存在・・・これはミルミミスが言っていた

だから相手にしなかったのだけど雷で倒した獣をミルミミスのもとまで持ってくるという働きを見せたのだ

人間は安全にその地に住み、ミルミミスは寝ることと食うことばかりすれば良い




香ばしく焼けた肉を仲間も食べるが仲間は仲間でミルミミスにもっと分けろって遠慮したので僕とミルミミスがいっぱい食べることになった

なにか礼儀の問題でもあるかもしれないが僕は知らないし、もう切り分けたから僕の分はこのまま食べる

仲間は凄くピリピリしている、この竜の圧はたしかにこれまでになく凄いしね


「これはなかなかうまいな」

「え?こんなのが?」

「な、なに!?」


思わず言葉に出てしまった

ミルミミスとの対話の為に希少で高価なめちゃくちゃ美味しいとされる肉を買ってきた

牛一等分ほどだろうか、ベヒーモス亜種の肩肉

ただ持ってきて腐ってたり不味くなっている可能性もあったし味見もしないといけなかった

味はクセの強いのある牛肉、魔力も濃く、焼いただけでたしかにこちらのものとしては美味しい


「近所のファミレスのお肉のほうが美味しかったなぁ」

「・・・なんだ?そのふぁみれすとやらは?」

「こっちの料理よりも美味しいものがいっぱいあるお店、お菓子と玩具ももらえる」

「貴様は異世界の人間か・・ふむ、この肉は最上に美味いがその言に偽りは?」


肉をバリバリ食べながらミルミミスが質問してきた


「嘘はついてないよ?味は食べる人によって感じ方も違うし、僕がこれを美味しく感じてないだけかもしれないけど、向こうはこっちにはない美味しいものがいっぱいあったよ」

「・・・」


肉を食べるのを止めたミルミミス、こちらを見ている

やっぱこの肉、美味しいは美味しいけど硬いし食べにくいなぁ


「続けよ」

「何を?」

「< 美 味 い も の の 話 だ ! >」


ビリビリと魔力の波動を感じる

そんなに興味があるのだろうか?

暴食の竜、悪竜なんて言われることもあるし食べ物にこだわりがあるのだろう


「僕はハンバーグやエビフライ、直子おねーさんの洋食が好きかな」

「どんなものだ?」

「ハンバーグは、肉を小さく切って固めて焼く料理、だったと思う」

「思う?とは?食ったことがないのか?」

「んー、味は覚えてるんだけど説明はしにくいね、僕、こっちに来るときに事故で頭が割れてて異世界の、アオキチキューのことはうろ覚えなんだ」

「そうか・・・貴様は勇者であるし、配下によれば助力を求めに来たのであったな」

「うん、そうだけど」


「ならば貴様の記憶を我に見せてみよ、それでどうするか決めてやる」


言われてすぐに後ろに控えていた仲間にひっつかまれてミルミミスから離された

仲間は武器を構えて臨戦態勢だ


「ヨウスケ!下がるぞ!!」

「ご無礼お許しを!」


「つれないな、少し見るだけだ」


ミルミミスはその場を動かず、ゆったりとこちらを見るだけで戦う気はなさそうだ


「ふざけるな!ヨウスケを廃人にする気か!?」

「まって、その見るってのは危ないことなの?」

「負担はかかるな、弱きものでは命の危険もあるかもしれない・・なに、雨雲が来る頃には起きれよう」

「馬鹿を言うな!お前のもとには魔王の手のものも足を運んだと聞いている!お前が聖下を殺すこともありうるだろう!!!」


このまま殺そうとしてくる可能性もある

竜との初めての出会いは穏やかなものではなかった
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