394 / 618
第387話 怒られる元杉神官、親との触れ合い
しおりを挟む信徒の軽い怪我を治していたらミルミミスさんに連れて行かれた
「ど、どうしたんですか!?ご飯!??」
「キュクルルル」
何かわからないけど服をしっかり咥えられて廊下を飛んでいく
ルールに乗った遥も来て、ドアの先で元杉神官がぽかんとしていた
落ちて燃えている、元杉神官の腕
私は元杉神官の腕がはえていることを確認して心配だったけど遥は自分を大切にしない元杉神官を怒り始めた
すぐに栄介お義父さんと詩乃お義母さんが来たのだけど詩乃お義母さんが泣いてしまった
私や遥が注意すると少しだけ改善されることもある
詩乃お義母さんが泣いて注意してのを見るのは初めてだった
「ごめんなさい」
「よーくんを怒りたくて言ってるんじゃないの、はるちゃんもなみちゃんもね」
ボロボロと泣いてしまった元杉神官
年齢は16か17、異世界の時間を考えればもっと上か下の可能性もある
11歳で異世界に行って交通事故で頭を強く打って頭蓋骨も割れたせいかそれまでの常識がふわっとしている
その時点を0歳とすれば今精神年齢は5歳ぐらいか?もう少しは上だとは思う
常識を学ぶのに親は重要だ
子は親の背中を見て育つというけど親の仕草や所作、常識を見て何気ない日常からも学ぶ
武将な関羽さん、多重人格で結構クレイジーな部分もあるけど大人しくなったせーさん、すぐ殴るシーダリアさん、マフィアみたいなビーツさん
彼らみたいな人達といてその背中を見て学んだのだとしたらどうだろう?
元杉神官の常識は平和ボケしていると言われる日本の常識とはあまりにもかけ離れている
貴族や法律は無視するし、自分が傷つくのも傷つく可能性も全く考慮しない
大柄な力村さんのパンチを顔面で受け、竹村さんの短刀での体当たりも、オーク相手に胸を槍で刺されて自爆したのも、ヨーロッパで銃をその身に受けたのも、本人は全く気にしない
食べ物もゲロ不味いスープをいつの間にかのんでしまう
痛みも味も感じるようだけど「慣れた」で済ましてしまう
ゆっくりといつも何かを食べているかと聞くと「体が透けてしまわないようにするのと戦うのにお腹空いてるのもいっぱいなのもよくないから」と言われる
痛みにも、吐き気のするような味にも慣れてほしくはない
戦うことを前提に生活しないで欲しい
遥の料理も微妙な顔をしながらも美味しいって言って食べてるけどもうちょっと自分を大切にして欲しい
ボロ泣きする元杉神官だけど詩乃さんたちとこうやって触れ合っているのを見たことがなかった
せいぜい生き返ってすぐの対面ぐらいでこうやってグズったり甘えているところは初めて見る
詩乃さんも「自分が危なかったら武力の行使はしてもいい」なんて日本の常識からは少しずれているけど元杉神官の現状からしたら必要だよね
コンコンと諭される元杉神官だけど普段私達の説教は通じないことがある、だから康介さんも遥も直子お義母さんも結構教育的指導をする
あれはあれで効果があるから、うーん・・・・これでもう少し自分を大切にしてくれると良いんだけどなぁ
<ちーん、うぅ、もっと甘えてると良いですぅ>
「私の服で鼻をかまないでください」
少し離れた場所で私にだけ聞こえるように肩にいたレアナー様が言った
でも、私は元杉神官は今のままでいい部分もあると思っている
だって頭おかしい仲間のいる中であんなにも人に優しく出来るのだから
レアナー様には本当に感謝している
『魔王を倒して、親を生き返らせる』その目標のためには別に難民を助ける必要はまったくないのだ
なのに倒れる難民を、困っている人に優しくできている
そして理不尽には塞ぎ込まずに立ち向かうことが出来ている
レアナー様が彼と一緒にいてくれて本当に良かった
『はるねーちゃん』も記憶の中で生きていて良かった
興味津々に色んな場所に行ったりするのは遥によく似てるよ
元杉神官が大きく泣いた後、落ち着いていると患者が次々と運び込まれてきた
たっぷりと栄介さんと詩乃さんに元杉神官は諭されていたんだけど仕事が舞い込んできて新たなお客さんを見に行くことになった
「元杉神官」
「なに?」
少し沈んだ元杉神官、私からもお説教されるとでも思ってるのかな?
子供に戻った元杉神官、可愛らしいし抱きしめたいがぐっと堪える
「大好きです、行きましょうか!」
元杉神官の手を引いて治療を待つ人に向かう
私も言葉にしたのが恥ずかしくて元杉神官の顔を見ることが出来ない
引いた手の体温を感じながら足早に廊下を進んだ
1
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説


幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる