369 / 618
第362話 お休みの洋介、進む準備
しおりを挟む洋介は豚汁を大きな寸胴6杯分ぐらい食べてウトウトし始めた
フードファイターか、いや、軽く超えている
「拭きますわね」
「ありが・・と・・・・」
ヨーコに口元を拭かれている
セーに捕まってる間に夢見心地の中で自分で成長したらしいが、めちゃくちゃ食べる
寝ている間は食べ物を取っていたわけでもないし魔力であぁなった、だから食べ物が必要・・なのかな?
信徒も洋介の大食いを動画に撮って「奇跡だ」とかいってありがたがっているけど洋介の奇跡や魔法はそこじゃないだろう
たしかに凄いけどさ、洋介の見かけの体重を超えるぐらい食べてるし
何処に入ってるんだろうか?牛みたいに胃袋が増えてるとか無いよね??
ベッドまで洋介を連れて行く、お腹いっぱいになって半分ぐらい寝落ちしかけてる
もしかしたらお腹いっぱいとかじゃなくて眠たくて食べるスピードが落ちたのかもしれない
今の洋介は私よりも背が高いしいつものように抱き上げる訳にはいかない、脇から支えて歩く
持ち上げてみても20キロにもまだ満たない体重だが食後だし無理に動かして吐かれても厄介だ
「大丈夫?ベッドまで行こう、ね」
「うん・・」
ヨーコももう片方の脇を支えようとしたが背が足りない、奈美がもう片側を支えてくれてなんとか引き摺らずにすんだ
洋介はまだ完全には寝ていなくてゆっくりだけど足を出してくれる
今までなら後ろから持ち上げれたのに・・男らしい体つきにちょっと感動しつつもコレジャナイ感もする
ヨーコに寝室のドアを開けてもらってベッドにゆっくり寝転ばせる
「元杉神官、お水いりますか?」
「・・・んー・ん・・・・・・」
サンダルを脱がせるとそのまま丸くなってしまった
奈美と顔を見合わせて少し笑っちゃう
大の大人に見えるのに中身は変わってない
・・何だこの服?色々と派手でヨーコと奈美の3人で脱がせにかかった
「コルルルル」
ベッドの上で「寝転ぶならこっちだぞ」と言わんばかりのルール
だけどうん、あれだけ食べた後だし、ベッドで寝かせる
ものすごい量を食べた後だし、できるだけ動かしたくはない
「ルール、後は任せてもいい?」
「クァルゥ」
たまにコロコロと動く洋介だがルールがいれば落ちることもないだろう
巨大な大きさのベッドだけど洋介とヨーコはよく落ちる
薄めの掛け布団をかけてやって・・皆寝室から出て別の部屋に入る
セーにも嫁ルールを言って聞かせねば
結婚式までは手を出さないこと、いや結婚式終わっても洋介はこちらの年齢で17歳だからダメなんだけどね
それとこちらから襲うのも禁止・・・・連れ去り誘拐監禁洗脳も禁止しとかないとな
常識人っぽいケーリーリュでさえも「レアナー教徒は酷いな」と思う場面はあった
ましてや中身が子供っぽいしレアナー教のトップにいたセーがまともだなんて考えてはいない
レアナー教的には理由さえあれば人さらいと監禁はありらしい
もちろん相手を傷つけてはいけないし、基本的に嫌がる相手には出来ないそうだが・・・
普段はレアナー様が出歯亀しつつすぐに止めるそうだ
洋介を攫った今回のことはレアナー様に抗議した
世界の危機とか色々秘密事はあったらしいが教えてほしかった
レアナー様が敵だと知った時は本当に悲しかった
平謝りするレアナー様だったが事情が事情だったし私達の未来の幸福も考えてこうしたなんて言われると許せないまではいかなかった
せいぜいお菓子2ヶ月抜きだ
レアナー教の常識や慣例、魔法というものは私には驚く事が多い
セーが私と殴り合ってダメージが通ったのは既に洋介とのつながりがあったからで普通に戦えば私では勝てない相手だ
洋介が銃弾でも傷つかないのに私のアイアンクローがダメージになるように、私との殴り合いでセーはまともな痛みを初めて知ったようだ
洋介も出していたけどトゲトゲでごつすぎる金棒なんかで殴られていたらやばかったと思う
鬼に金棒というような言葉があるけどまさにあんな金棒で自分が殴られるかもなんて考えもしなかった
レアナー教徒を狙う魔王の配下や邪教徒にはよく使う標準装備らしい
セーは今ではとても落ち着いてじーっと私達を観察し、わからないことは聞いてくる変わった歳上のお姉さんだ
中身は子供のようだけど
洋介の衣類に関しては暗黙の了解で私もヨーコも奈美に任せていた
聖騎士を取り仕切っているヨーコと鍛えられている私は衣類を洗ってもらう側だ
信徒に任せても良いのだけど奈美が任せてと強く言うので私とヨーコと・・もちろん洋介の服の洗濯はビルと大学に行き来している奈美にまかせていた
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「スー!ハー!!スー!!ハァァアアアア!!!!」
いつの間にかセーは洋介の脱いだシャツを持っていて、全力で嗅いでいた
ピンクの髪を震わせ、顔面に生地が伸びるほどに食い込ませて全力だ
奈美がこっそり後ろから洋介の首筋や髪、シャツを嗅いでいたのは知っていたけどここまで全力ではなかった
もうちょっと人目は気にしろ
一応レアナー教的には普通なのかもしれないしこちらの常識に当てはめて人目につかないところでねとだけ教えるとわかったと返された
その服洗うから自分の収納袋にしまおうとしないで
どうせなのでこのまま今後の作戦会議をすることにした
手紙のことを聞いて酷いことになっていることがわかった
だけど詳細はわからない
「セーは向こうに行けるの?」
「今ならいけるけど29時間に1回ぐらい、手紙なら何回でも出来る」
話してみると神様だけではなく人も集団で魔法を使えばこちらに来ることも一応は出来るそうだ
洋介を向こうに召喚したのなら向こうからこちらに来ることも可能なのか?
「何人かで向こうの状況確認しようか」
異世界の状況も知りたいと意見は一致した
手紙に書いていたらしい、異世界の軍隊が集まってるとかなんとか・・・どういうことだって気になるしね
私とセーとミルミミスとシーダリアで行こうかとも思ったけど人選に困る
「いや、遥がこっちに残って元杉神官の暴走止めてて、その間に私達で向こうの様子見てくるから」
「・・わかった」
言葉の魔法はいつも奈美にかけてもらう側で奈美がいないと困る場面も多い
こちらの神殿のサシル様に祈るよりも奈美に魔法をかけてもらったほうが範囲も広くて効果も長持ちする
だけど私が異世界に行き、奈美が残った場合、奈美では私でもよくわからない判断基準で突っ走る洋介を止められないことがあるのも事実だ
私でも止められないことがあるんだけどな・・・
あーだこーだと奈美とヨーコとセーで作戦会議を続ける
洋介の顔を向こうで拭った手ぬぐいが私の収納袋に入っていたのでなんとなくだけど奈美に渡すと真っ赤になってしまった
1
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる