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第356話 康介の苦難

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「いいえ、あります法的に「いーや!ない!なぜなら貴様らは危険な宗教団体である!私達の名前を上げることによっては標的となる可能性があることから言う必要はない!!」


一理はある、けど普通なら問題だぞ?

・・・・・いや、レアナー教は『普通』の枠を大きく逸脱している

宗教団体を宗教法人に認定するのは幾つもの手続きが必要だ

しかしレアナー教の活動によって国内国外からの問い合わせが殺到、国政が差し支えるからとかなり強引に宗教法人の認定が進んだ


「おらっさっさと話せっ」
「いいかげんにしろっ!」
「それ以上黙秘を続けるのならこちらにも考えがあるぞ!!」


観察していてわかったがこの警察達、普通ではない

偽警官かと思ったがいつも顔を見合わせていた警察が逆らえていないことから上役で、かつ外部の人間だ

食事も出されず、まともに水分も取れない

手持ちのものは殆ど取られて暖房もつけられずに、寒い

スマホにボールペン、守護の指輪にお守り、ポケットに入れていたハンカチとポケットティッシュ、上着にベルトまで

みんな取られた

重要書類だけは捕まる前に聖騎士候補の人に渡したし私の許可なく取られることは絶対にない

無理やり奪われたりする可能性はあるが・・・

レアナー教にもまだ少ないとは言え弁護士はいる、しかし連絡すらさせてもらえない


何を聞かれても無視したが精神力がすり減るのがわかる


「レアナー教が詐欺と認める気はないのか!?」
「だいたい神など居るわけがないだろう!!馬鹿にしてんのか!!!」
「スマホのロックを解除しろ!」
「さっさとホログラムやら登仙病院の替え玉患者のことをバラしちまえ」
「どうやって善良な一般人を宗教にかぶれさせている!!」

「・・・・・」


反論したいのに出来ない、してはならない

何かを反応したところで全く聞く気がないのは見て取れる

レアナー様についても否定されて怒りが湧く

無理やり抵抗して、怪我して、病院に行くか?

いい加減中身の無い自白強要にうんざりしてきた、遥ちゃんの好きなプロレス技をかけてやりたい


ダンッ!!カッシャーン!!!ガッ

「なんとか言えよ!俺はお前を刑務所から出られないようにすることも出来るんだぞ!!!」

「ぐっ」


机の上にあった奴の湯呑が割れ、怒りのまま迫られて椅子を蹴り飛ばされた

もうこれ正当防衛で殴っていいかな・・?


客観的に見て心身的に追い詰められてもおかしくない状況だ


この男の首をうっかり折っても事故にならないか?ならないか

助けも来てほしいがそれはそれで信徒たちの暴走が怖い

病院で極限状態と言える検査を受けた経験からまだ耐えられる

「今の元杉康介は正しく元杉康介であり、それを証明出来るか?本当に自身が元杉康介であるのどう証明できる?」などという精神崩壊しそうな検査に比べれば怒鳴り続けられるなんてマシだ

大体、刑務所から出られなくするなんてのは裁判所の決めることだ

この眼の前で怒鳴りつけてくる男がどういう立場でどういう場所から来た人物なのかよく考える

この男は間違いなくこの警察署の人間ではない、が何らかの肩書を持つ外部の人間

そしてレアナー教のあらを探してなにかの利のある人間

それもこの警官の単独ではないということは組織的なはずだ

吾郷から送られてくる政府職員はレアナー教の行動に頭を抱えつつも協力的だった

こんな違法な捜査を行うことで利になるか?ならないだろう


つまり私への攻撃で洋介か信徒の暴走を狙っているのか?


野党の人間とマスコミはレアナー教を目の敵にしている

他は既得権益を害されている宗教団体か病院関係者だ

つまりそのどちらかで考えるのなら警察の上層部にコネクションをきかせやすいのは野党議員だろう

安藤か渡辺か?そのあたりが怪しい


やはり洋介が狙いか?

私が不当に捕まっているなどと洋介が知れば突撃してきてもおかしくはない

一宗教団体の長が身内を救うのに警察署に来て無理やり突入しようものなら何らかの罪で少年刑務所に送るかも知れない、洋介に言うことを聞かせたい者がなにかする可能性は十分にありえる


そして世間的に考えて私は元重病人だ


洋介を釣る餌にした後は肋骨あたりから注射器を打つなり食べ物に毒を盛るなどすればあっさり消すことが出来るだろう

「実は病気は治ってなくて発作で死亡しました」とでも発表すれば・・・いや、もっと最悪を考えるのなら麻薬を注射でもしてから殺して「病気は治っていなかったがレアナー教の麻薬が切れて暴れた」とでもいえば私の死体が怪我をしていても言い訳ができる

そうしてレアナー教は危険などというのかもしれない
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