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第354話 空を飛んで見に行こう

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どうせなので新しい神官服に着替える

今まで来ていた服は小さすぎる


「見てくるよ」

<行ってくるですぅ!>


「ちょっ・・まっ・・・・!!!??」


色々聞いてみて色々起きてるみたいだけど、まだ僕の目で見たわけじゃない

いつもよりも豪華で、いつもよりも防御力が高い服


人は見た目で判断する


そうした方が安全に生きやすいからだ

日本では大柄だったりした相手がいるとそれだけで自分の身を護るように避けて通った方がいい

なぜなら大柄ということはそれだけで力がありそうであって、さらにどんな相手かはわからないからだ

仮に子供が巨漢に蹴り飛ばされたとしたら?死んでしまうかもしれない

日本では起こらないかもしれないかも知れないが・・・絶対に無いかと言われるとありえるのだ

助けようとした難民にナイフで刺されることだってある

人は見かけで判断しちゃいけないというのは向こうでも覚えていたがそれと同時に判断するべき材料はあると思う


僕がレアナー教の衣装を着ることでレアナー教の人間とわかり、豪華であればそれだけ権威を示すことができる

僕が舐められるということはレアナー教が舐められるということにつながるかも知れない



知覚を強化し、空を飛ぶ

真っ昼間で、雲もない肌が切れそうな寒空

障壁を張って杖に少し座り直す、この服は派手で、ごちゃごちゃしている

半ズボンにしたがる信者も流石に大人の体になったら長ズボンを出してくれた

体が成長したからか座り心地も変わったように思う

体勢を整えて気合を入れる、思い切り力を出したかった


空は何もないのにスピードを上げると障壁越しに圧を感じる


だけどぶち抜く


「ひゃっほー!」

<いけいけー♪>


海まで出てしまったので上に飛んで日本の形がはっきりするほどの上空まで上がって地上を見下ろす

成長したからか視力もかなり良くなった


いや、違うな


日本には魔力持ちが少ない

魔法をかけた相手に魔力が残っているのかそれともスープを飲んで鍛えているからかな?

それとも僕がレアナー教としてのつながりが感じ取りやすくなっているのか・・・・・信徒たちがとても目立って見える


全世界、じゃない、全日本でずっと燃えているわけではないようだ

吾郷のいる・・ギジ・・?元老院だったかな?あそこの周りには警察官と信者っぽいのが争って、信徒が激しく放水されている

レアナー教の人間が各地で怒鳴り合っている

向こうだったら一歩で斬り会える距離で向かい合ってる集団がいる


<うわぁ・・>


元老院の前の規模は両方軍隊と言っていいだろう

だけど弓矢を使うわけでもない、直接の武力衝突はないようだ

流石に怪我人や死傷者が出そうな場所は無視できない



「止めに行きます」

<気をつけるですぅ>


空の上数十メートルの高さまで降り、放水されている中央を大きく【障壁】を出して放水が信徒たちに当たるのを止めさせ、信徒側に【範囲治癒】の魔法を打ち込む


近づいていた時はうるさかったのに今は誰も声を出さずに棒立ちだ

障壁を出してからは放水の音しか聞こえない


「<帰るよ!>」

「「「はい!」」」


【清浄化】を【障壁】の向こう側に力いっぱい放っておく

眩しいので魔族や魔物、そして目の良い相手はこれで眩ませることができる

今のうちに「本当に洋介様?」とか「レアナー様おかえりなさい!」という信徒たちを【転移魔法】で半分ぐらい連れていく

全員連れていけないのは1000人以上居るし車の手間なんかもあるみたいだ

まだやることがあるとかなんとか、この魔法の維持は結構大変だから行かないなら行かないで良い

以前よりも転移魔法の負担が少なく感じるけど今日は気持ち良いほどに魔力を使った


他の場所も怪我人が出ていないか怖いけどひとまず登仙病院まで空を飛ぶ

転移でも行けるけど地上を見ておきたかった


登仙病院は怪我人も多かった


病院の廊下で座り込んで寝ている信徒もいるしお医者さん達も疲れが見てとれる

見慣れた光景、緊急事態でもあるしこれはほぼ戦争だ

本来なら1人ずつ確認して治癒するべきだけど病院ごとまとめて【治癒】する

最低限はこれで治ったはずだ


怪我してすぐならよくわからないテンションになる人は殆どいない

この病院に居る患者で長期入院している患者は僕の治療目当てで病院関係者だという話もあったし、いたとしてもおまけだ

病院の関係者にも迷惑をかけているだろうしね


「神官及び信徒の皆さん、暴れる患者を抑えてください」

「はい!」「おかえりなさい」「偽物・・・??」


どうやら普通の患者もいたらしく、短距離の選手のように廊下を爆走するおじいちゃんが通り抜けていった

信徒が追いかけた

登仙院長に声をかけてから康介伯父さんと阿部を連れて帰る


「これお代とお礼」

「いやこんなにはもらえないよ!!?」

「いっぱい迷惑かけてたみたいだしね、ここの従業員さんに渡して、残りは寄付で・・・足りなかったら言ってね?」

「あ、ありがとう」


アタッシュケースに3つ渡しておく

僕が居なくなってから3週間ほど、うち半分の期間をレアナー教の人間が来続けて迷惑をかけていたみたいだしお礼だ

この病院の周りにダンプカーとか並べてバリケード作ってるし迷惑かけまくっただろうな・・・

転がっていた信徒に聞くと治癒魔法の道具は城で父さん達が城を守る人達に使ってるのと助けを求めてやってきた重病人達のために使っていて、自発的に戦いに参加した信徒たちは重傷者を除いてこの病院のお世話になりに来ていたそうだ


阿部は結構重傷だった


頭の血管が切れて大手術をしたそうだけど大丈夫かなぁ・・・治って寝ていたので転移で城に投げ込んでおく


「伯父さん起きて」

「・・んっ?ようすけ・・・お前、洋介なのか!!?」

「うん、おはよう伯父さん」


伯父さんは活動的だけど寝起きはすごく悪い

なんだかガンの時を思い出す起き方をしたので少し面白くなってしまった
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