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第336話 出征

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今回の出征には貴族たちは湧き上がっている

勇者の誘拐騒ぎには国際的にはレアナー教国は強く非難されている

既に何カ国もこの問題には声明を発している


しかしレアナー教国は無言だ


レアナー神は守護神であるにも関わらず聖王の手助けをしている節まである

やつにとっては勇者が自国に完全に居着いてくれたほうが経済的に良い

だからこその強引な手段だ、王と勇者であればさぞ能力の高い子が生まれるだろう

彼の国からして統治的に悪くはない

しかし勇者は聖王との恋愛はうまくいっていないと前から聞いていたし勇者が未だにお披露目されていないということは何かしらの原因で上手く行ってはいないのだ


現状を打破しようと『勇者奪還作戦』は各国で急速に推し進められている


余の国はレアナー教国に隣接していて、なおかつ勇者領地に最も近い国

その上勇者を召喚したのは余の国であるし救出の大義名分が考えれば悪くない状況だ


勇者領地は戦時中は災厄の一つになるんじゃないかという話だった

なぜなら瘴気に酷くさらされた人間は死ねばアンデッドとなる

難民だからと、資源になるからと呼び込めばそれだけで災厄となりかねない

幾つかの国はそうして滅びた

聡明たる余の国では国境で確実に排除させていたしそうはならなかった


レアナー教国もうまい事やったものだ

レアナー教国の結界外であればなにか起きても生きた人間の近いレアナー教国にアンデッドは進むがなりたてのアンデッド程度、強固な結界で阻まれ問題はない

殺すつもりで集めた難民かと思ったが勇者洋介はやってくれた

桁違いの魔力で瘴気を消し去った

亡国とは言えの加護持ちや国の上層部もいる、彼らの集まった勇者領地は大いに栄えている


大戦中、魔王を倒した報酬として多くの国では勇者に領地を渡すという名目で難民問題を解決していた

現在各国に点在する勇者領地では有志が集まり、勇者洋介を救出するように話し合っていると情報が出ている


だがまだ来てもらっては困る


こんなに美味しい領地が目の前にあるというのに座して待つ我等ではない

息子に指揮を取らせ、余の統治に賛同しているものを中心に軍を編成した

余の配下には少しぐらい良い思いをさせてもいいだろう


先立って再三使者を出すも死の荒野は進むことも危険な地、陸路で送ったものは誰一人として戻っては来なかった

空を進むも魔物も居るし休憩ができない

仕方なく他国を経由して使者を送り込んだが余の国に服従することはないと返事が来た


当然である


地形的にレアナー教国に近い、流通が抑えられている

さらに領主である勇者洋介自体がいないのだから当然の返答だ

しかし余の立場を表明はできたはずだ


いつでもレアナー教国にはみ出された貴様らを歓迎する、と


余の国と勇者領地の境の『死の荒野』は地面が地面ではない、踏めば奈落かと思うほどの穴ができるそうな

地形的には近くともここを軍が進むのは困難だ

故に地形を変えることのできる高名な魔導師たちを国内外から招集し、領地へと進めることのできる策を練った

道を作り、竜騎士を中心とした、空軍のほぼ全てをつぎ込んだ

もしも領地の人間が逆らうのなら奪えば良し、そのまま統治を受け入れるのなら資源と労働力を余の国に連れて帰る

瘴気を一度受け入れたものは穢れ持ちとして受け入れられないものだが勇者の力を信じている

勇者領地でアンデッドとなったものはたどり着けなかったものとも死の荒野から発生したものばかりと聞く

かの領地には勇者がアオキチキューから運び込んだ物資が山のようにあると聞くし。エルフも居る、きっと高く売れるし健康なら使っても良い


それにレアナー教国を攻め込む拠点もできる


諜報によると勇者領地の勇者奪還には国を覆う大結界を破壊して聖王への負担を増やすらしい

うまくいくのならこのまま後詰めを送り込んで首都まで攻め落とせるかもしれない

勇者を召喚したのは余の国であるのにレアナー神が守護神となったからとレアナー教国の増長は目立った

幼い勇者はおそらくなにか吹き込まれたのだろう、全く余の命令を聞かない、腹立たしいことにな

余の娘との結婚も間近だというのに顔も見に来ない


まぁ良い、勇者を救い出すことができれば勇者も目を覚ますだろうし余の娘との結婚もうまくいく

たかだか10万ほどの、戦闘に長けた加護の少ないものばかりの領地のものなど優秀な余の息子たちが負けるわけがない

もしも上手くいかずに特別な加護を持ったものが敵に回ったとしても『勇者を救うための道を作った』と国際連合には言い分ができる


順当にうまく行き、勇者が余のもとで頭を垂れるのなら世界各国で栄えている勇者領地もザウスキア王家のものとなる


国境から出兵の報は聞いていたしそろそろ領地までついた頃だろうか?

余が世界の覇権を握る序章となるはずだ、胸が高まって眠れん
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