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第311話 魔王と洋介

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次の扉は『魔王』とだけ書かれていた

聖王こそ今の魔王じゃないの・・・?

本人が出てくるんじゃないかと警戒して進む


「思いっきりぶん殴ってやれ!殺す気でな!!」

「今代の魔王は吸血鬼と聞いていますが死んでいるのでは?」

「そうなのか?・・・そうなのか???」

「気をつけてな」

「そっちも皆がんばってね」

「俺がついていこう!!」

「お前はこっちだ!」

「いたたた!?洋介ー!必ず生きるんだぞ―!!!約束だからな―!!!」


洋介の記憶だ

巨乳のダークエルフっぽい人が殴れと言って、エルフっぽい人が吸血鬼について話し、雄ライオン80%みたいな人が気をつけてといって別れていった

頭が花まみれの人が連れて行かれた

オスライオンさんの行く方向には屈強そうな人たちが居て、会議のときに見た顔もある


洋介の仲間だ


洋介に地球で詳しく聞いた話によると魔王は吸血鬼、神官の洋介とは相性のいい魔王である

しかし軍を率いる魔王軍の重鎮は洋介とは相性が良くなかった

そのため魔王に対して奇襲をかけることにした

魔法で洋介の影武者を作り出し、連合軍と仲間の人達で魔族の軍団と正面衝突し、決戦を仕掛けた

決戦自体が陽動

洋介は瘴気をあえて削らずに進み、魔王を叩く作戦だ

連合軍と仲間、それと洋介どちらか、あるいは両方負けることもあり得た

洋介がもつ玉が砕けた、なんだろうこれ


<向こうは上手く行ってるみたいですぅ>

「そうだね・・・さーて、やるかー!」

<やりますかー!>


壊れたのは問題なかったようでそれを見て洋介が何かをやり始めた

巨大な岩に魔法をかけてそれらを収納にいれた

杖を取り出した洋介は黒いモヤが温泉のように吹き出して見えない場所に魔法の壁を作って囲み、雲の上まで飛んでいった

私たちは横からそれを見ているだけ

洋介は光るようになった大岩をいくつも収納から取り出して・・・・・空から落とした


「うわぁ」

「えっぐ」


魔王との戦いってこう・・・もっと



―――フハハハハ!よくきたなゆうしゃよー!

―――人々を苦しめる魔王よ!勝負だ!!



ってやらないのか?


洋介は次々に光る大きな岩を次々取り出して爆撃している

雲よりも上にいるのに轟音が聞こえる

空の上から見ると破壊の加減がよくわかる

落ちた岩1つで真っ黒なモヤの中心にあった巨大な建物は砕け散っている

当たった岩で洋介の張った魔法も吹き飛んでいた

温泉のように噴出していた黒い瘴気は減って、洋介は清浄化を打ち込みながら空から降りていった


「上手くいったかな?」

<よく見えませんねぇ>


降りる頃には黒いモヤの噴出源はなくなっていて。中心にあった建物はほぼ全壊していた

飛び上がる前は黒い煙で見えなかったけど野球ドームぐらいの大きさがあったんだね

多分瘴気?の噴出が無くなったってことは魔王はこれで死んだのかな?


<もう一度やりますぅ?>

「生きてたとしても、もう一度岩を集めてる間に逃げられるかも知れないしこのまま倒しに行きます」

<気をつけるですぅ>


もう一度建物を覆うようになにか魔法をかけて瓦礫の中を進む洋介

中に居たであろう魔物の残骸もちらほら見える


洋介は遠慮無しで清浄化をぶっ放して進んでいてとても眩しい

ドーム型球場のように大きかった建物の奥、まだ黒いモヤが出るドアがあった


蹴破るとそこには肌の青黒い男が立っていた


「ゥェ・・チュ・・・マリ・・・・・シ・・・ル」


「パッ・・ソ・・・リヤ・・・・」


「ァアア・・・アアアァアア・・・・・」


血だらけ、汚れだらけでふらふらとしている

洋介を全く無視して太陽の光に手を伸ばして・・・指先から煙が出た

部屋は天井がなくなっているし落石による破壊の跡が目立つ

床を見てブツブツ何かを言ってるかと思ったら上半身ごと洋介を見てきた

何を言ってるかわからないが鼻の高いこの魔王

いきなり洋介に襲いかかってきた


「ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

「<神よ!>」


なにかの魔法を使ったのか洋介の身体がいつにもまして光り輝き、魔王と切り合い始めた

魔王も爪を伸ばし、洋介を切り裂き、最後の戦いが始まった


「ジュ・・・ティ・ァァ!!・ヌメ・・・・・スパ・・・・・ァァァアアアアアアアア!!!」

「ヤァッ!!!」


お互いに斬って斬られ、折られ千切り、人外の戦いをしている


魔王は洋介を見ながらも洋介を見ていない


斬られても痛みによる反応は鈍く、洋介が通り過ぎた後に何かをブツブツとつぶやいている

何を言っているかはわからないが洋介ではない誰かに語りかけているようだ

翻訳魔法でもわからないということは吸血鬼語とかかな?

魔王は身体から気色の悪いイソギンチャクのような触手を出し、魔法で建物への被害などお構いなしに攻撃している

壁の裏側から大きく斬りつける洋介


「ジュブ・・・アァァ・・・・トゥボァァァ・・・・ヴァース・・・・・・・・・・・カホ」


どちらも一撃で後遺症の残りそうなダメージを食らっているがすぐに治っている


「ジュネッキュ!!!!ァァアアアアアアアアアア・・・・・・・・・シルアアアアア!!!!!!!!!!!」


だけど洋介が建物に張った魔法が効いているのか、それとも太陽光で焼けているからか魔王らしき男の負傷がみるみると増えていく

洋介も身体から血が噴き出し、歯を食いしばって戦っている

正直見ていられない

魔王は目が悪いのか、認知速度が遅いのか、たまに洋介を見失っているようだった

それに気がついたのか洋介が光の筋を残しながら回り込み、後ろから首を切り落とした


「ァァ・・・スリ・・・・・・・・・・・モォ・・・・・・・・・コォ・・・・・・・・・・」


首だけになってもなにかつぶやいている魔王


洋介はそこで膝をついて魔王が結晶になっていくのを見届け、次の扉が現れた
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