314 / 618
第309話 本物のはるねーちゃん、求められるはるねーちゃん
しおりを挟む・・・・・あまりに理不尽だ
最も出来の良かった12体を順に載せていった遥
どの遥像も奇っ怪な動きで襲いかかってくる
幸いにして強いものではないから落ち着けば誰でも対処が可能なようだ
壊せばすべて粉になって消えていくからまだましかな・・人一人の大きさって結構幅を取るし、壊れたかどうかわからない状態の遥の像に警戒し続けるなんて怖い
関羽さんは一体目が動いて拳が顔に入った、でも少し驚いただけでダメージは無いそうだ
更に5体ほど像を破壊し、遥がキレた
「何なのよ、もー!!」
「もしかしたら、です」
「ミーキュちゃんどうしたの?」
「本人があそこに乗れば良いかも?なの、です!」
「「「それだっ」」」
早速台座に向かった遥かだがすぐに踵を返して戻ってきた
「皆離れてね、奈美、これ持ってて」
「重い!?」
「私も操られたりするかもだからね」
遥は私に長柄の武器を渡してきたがこんなの持てるはずがない
代わりに隊員さんに持ってもらって収納袋を預かった
「拘束しとこうか」
「そうね、私が皆に襲いかかったら遠慮せずに止めるように言ってね」
「わかった」
遥かの手首とガムテで十字に止めてロープで腕と足と腰を繋いで隊員さんに持ってもらう
像と違って遥が敵に回るのは恐ろしい
「行くよ」
「「「はい」」」
少し緊張した面持ちにもなってしまう
しかしここでの問題のポイントははるねーちゃん、つまり遥だ
子供の頃の遥像のことを指しているのなら答えにはならないけどこれは元々本人を連れてこいという問題だったのかもしれない
ただ、回答がこの場に用意されていない問題など不適切すぎる
小さな段差程度の台座に、本人がのった
が、何も起こらなかった
「< ク ソ が っ !!!!>」
台をふもうとした遥だがすぐに何もない場所を踏みつけ、手首のガムテープを腕の力で引きちぎった
バリバリと残ったガムテープを外してプンプンしている遥
「ごめんなさい、です・・・」
「ミーキュちゃん悪くないからね、可能性潰してくれてありがとうね、はるかも問題の性質に怒ってるだけでミーキュちゃんに怒ってるわけじゃないから」
「はい、です」
服の裾をつまんで謝ってくるミーキュちゃん
遥にはガムテの音で聞こえてないだろう
「でもこうなると・・やっぱり子供の遥かな?ミーキュちゃんはどう思う?」
関羽さんによればこの子も2神の加護を授かってるだけあってとても賢いらしい
このダンジョンではまともな問題とまともな答えは望めないけどそれでもこの世界でのセオリーを知っている人がいるのは心強い
「もしかしたら・・いえ、なんでもない、です」
片眼鏡を指にかけて部屋を見渡したミーキュちゃん
だけど答えは返ってこなかった
一体ずつ遥像を確かめていき似ているものや子供の頃の像は全て破壊された
少しずつ似ていない遥像を破壊していく、遥本人はかなり怒ってきていた
「ねぇミーキュちゃん、もしかしたらって言ってたのは何だったの?」
「でも、間違ってるかも、です」
「うん、間違ってるかもだけどこのままだと遥が疲れちゃうからね、間違ってても大丈夫だから教えてくれる?」
「でも、でも、合ってたら、すごく怖い、です」
ん?合ってたら怖い??
「遥ー!怒ってたら顔にシワ増えるしミーキュちゃん怖がってるから一旦休憩しよー!」
「なんで違うのよ!?え、あ、ごめん」
「怖がらせたらダメだよ遥」
「ごめんね、ミーキュ、ちゃん、ミーキュちゃんに、怒ってたわけじゃ、ないから」
息を切らしている遥、さっきまで一体運んでは打撃で破壊していたからね
長柄の武器、ハルバードってのでブンブン壊したりしていたけど刃が悪くなるとかでソバットで腹を貫いたり胴回し回転蹴りで首をもいでたから結構疲れたんだろうね
よくあんなに重い遥像をひょいひょい運んで削岩機みたいにガンガン壊せていたと思う
「間違ってごめんなさい、です」
「ミーキュ、ちゃんは悪くないよ」
私はミーキュちゃんをちゃん付けで呼ぶけど遥は呼び捨てとちゃん付けが定まっていない
遥は男勝りだしレアナービルに来る子供の対処があまりうまくない
元杉神官には自由に振る舞っていたがその接し方で迷惑をかけていたこともあるらしい
あまり泳げない元杉神官と別の島まで泳ぎに行って捜索されたって話を聞いた時は元杉神官に同情したものだ
「もしかしたら、です」
「間違ってても良いから」
「あっちのやつが正解、かも、です」
指さしたのは整理したときに明らかに違うと外された遥の像
その中でもミーキュちゃんがなにかしていたものが数体ある
それよりも残ってる遥像の方が可能性は高い気がする
「これを見る、です」
「これは・・・この国の王様だよね?」
「そう、です」
出された絵はピンクの髪の王様、とても賢くて偉い人らしい
纏められた遥像の髪もピンク色だ
え?どういうこと?
「『はるねーちゃん』は頼れる存在、です」
元杉神官にだよね?
そうだよね
遥と元杉神官の家族、お義父さん達はもともと親友で隣人
兄弟のように育ったらしいし元杉神官にとって5つ歳上の遥は頼りになる存在だ
「聖王は自分を『はるねーちゃん』と誤認させようとしてるのかも?です」
遥像のそれなりに似ているものよりも聖王と遥に近いものを選んでおいてみた
―――――・・・・次の扉は開いた
1
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる