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第289話 レアナー城秘密兵器

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最近は外に出るのもコワイ

足が震えるし心臓が痛くなる

城にあったものでこの心の平穏を取り戻すのに役立つものはないか

どうにか出来ないかと探していると良いものが見つかった


誰でも魔王との戦いで役に立つことが出来るようになるために存在する『ゴーレム』


名前はaiとナンバーの付いた単純なもの

祈りの間で神様に聞いてみると一般兵士が陣地の構築に使ったり雑魚の魔物を蹴散らすためにあるゴーレムだそうだ

一体一体の性能や見た目は違うし動かすのに魔力もいる

自動でもある程度動くけど乗れるタイプもあるようだ、どれも馬鹿みたいに魔力を使う

数時間ごとに乗り換えて試してみる

この身体は元々力はあったし信徒もいたので人力で物を運んでいたが大きなものだと力任せに運ぶと壊れてしまう

ゴーレムは繊細な動きもできるし重機代わりに物を運べるのは便利だ

フォークリフトみたいで結構楽しい、何よりも人と面と向かって話さなくてもいい

土塊のヒト型ゴーレムや犬型ゴーレム、泥状のスライム型ゴーレム、ロマンあふれるドラゴン型ゴーレム・・・

色々あるけど動かすのにコツが居るから結局はヒト型に落ち着くね

詩乃は4本足の獣タイプが気に入ったみたいだ


「あなたー!みてみてー!」

「まてまてー!」

「つかまえてごらーん!」

「ちょ、あぶな・・ギャー!!?!?」



いいな、うん

どれも良し悪しはあるけど直接戦闘用のコンセプトではないと思う

ほんの少しだけだけどゴーレムを通して魔法が使えるようになる

普通に使っていても城の中での重量物の運搬にこれは助かる・・・・のだけど


バタタタタタタタタタタタタ


今日も今日とてゴミが空を舞っている

ヘリコプターから遠慮もなくカメラをこちらに向けてくる

反射的に魔導■を向けて撃ち落としたくなってしまう

このゴーレムはとても視力と聴力が良い

別の山から超望遠レンズを使って覗いてくるやつも見つけられる

すぐに信徒に位置情報を送る

僕らはゴミや汚れた世界、ケダモノの跳梁跋扈する城の外になんて出ない


・・・・・もうほっといてほしい


俺と詩乃の安息の地はもうこの城しかない

更にゴーレムの中でしか安心できないんだ

新しい信徒であっても無意識にaiシリーズに乗ってしまう、それぐらい引き籠もっている俺たちに残された最後の地


なのに・・なのに・・・・!!!!!!


息子は異世界の誰かに攫われ、その隙きに国家権力がこの場所を奪いに来た

市民を守る警察官さん達

暴走族やヤクザを相手にするか厳重な警備のときにしか見たことのない重装備

人がより大きく見える威圧的なヘルメットや盾に防弾チョッキ


「大人しくしろ!」
「武器を捨てて腹ばいになれ!!」
「貴様ら何をやっているのかわかっているのかー!!!」


警察は完全に降伏しろ、城の中を見せろって言ってくる

頼りになる徳田さんはすでにレアナービルで捕まり、兄は警察署で事情聴取で缶詰状態らしい

ここの最高責任者はレアナー様だけどレアナー様は像から出てこない

俺と詩乃が、今ここの最高責任者

ビルだけではなく倉庫にも火をかけられた

胸が痛い

心臓が爆発しそうだ


敵の総大将、肥溜めがなにか言っている

俺の乗るai0083番ちゃんの魔導センサーが城の中にいる俺にその声を届かせてくれる


「皆さん!!これが危険宗教レアナー教です!!!」

「見て下さい!彼らは武装し!警察の言うことなど聞いていません!!」


危険宗教・・危険宗教・・・・・???

え?レアナー教が?人を治したり街の清掃をしたりしているレアナー教が危険宗教?

こいつは何を言っているんだ?


「とにかく落ち着いて!出てこないでください!」


そう信徒たちは言う

信徒は大事な家族で、彼らが傷つくのも見たくない

もしも踏み込まれでもすればもう俺達に生きる場所なんて無い

家族を守らないと

息子の帰ってくる場所を守らないと


「お願いですから争いを避けてください!おねがいします!!」


政府から来た人たちもそんな事を言う

相手は銃を持った人間で、私達に死ねと解剖されろと言ってきているんだが?

吾郷も敵なのか?


「与党はこの集団を卑怯にも守っています!」

「倉庫の映像は見ましたか!?彼らの多額の金銭はおそらく与党への資金として流れていると見るのが妥当でしょう!!」


安藤といえば遥ちゃんが国会にジャージで行ったときに相手にしていた議員

野党でありながら政権を取ろうと常に与党を攻撃している

しかし今は吾郷と洋介の関係は良好で吾郷の支持率は73%で政権は盤石なものとなっている

だけどこの状況・・・野党視点で考えるなら無理矢理にでもレアナー教の失点を見つけることができたなら盤上をひっくり返し、吾郷を蹴落とすことが出来るかもしれない

危険な賭けだけど政治的に意味があることだとはわかる


「誰かが!誰かが日本を正さないといけません!!!」


パリッとしたスーツでテレビに向かって声高に叫ぶ安藤


「この私の行動は褒められるものではないかも知れません!!ですが!人々を騙す詐欺宗教から!役にも立たない政策を繰り出す与党から!!善良な日本国民を護るために!世界で騙されている被害者を減らすために!!この私!安藤義隆は立ち上がった次第です!!」


倉庫のニュースを聞いたのか、信徒たちが警察に襲いかかった

ai0083ちゃんはヒト型ゴーレムで特徴は隠密、魔力を込めるとそこを人は避ける

光学迷彩のように景色と一体化出来る機能も気に入った

攻撃方法もあるけど魔力を消費するし動けなくなったら怖いからしやりたくはない


人避けの魔法を起動し、信徒と政府から来た職員がゴーレムの前を開けてくれた


ドアを開けようとして・・・腕が握られた


「止めましょうよ」

「退いてくれない?」


現れたのは内田さんだ

レアナー教徒になったのはごく最近

全身入れ墨でくっそ怖い人だ

ゴーレムは4メートルほどなのに怯むことなく後ろから腕を引っ張ってきた

ゴーレムの出力は周りの人を傷つけないように低出力にしている

当たっても怪我をさせないように設定している

でもだからって人がぐいっと引っ張れるような重さではない

何この人怖い


「今貴方達が前に出たら取り返しがつかなくなるかも知れませんよ?」

「でも信徒は家族だし俺が出たほうが勝てるんじゃないかな」


そう、汚物は掃除しないといけない


「客観的に見て栄介さんと奥さんのゴーレムは兵器です、今なら警察だけで済むかもしれないのに自衛隊が出てきたり、取り返しがつかなくなるかも知れませんよ?」

「俺のゴーレムは透明になれるし・・・」

「マスコミもいっぱいいますし絶対バレない自信はあるんですか?今まで以上に追いかけられることになるかも知れませんよ?」


それはない、けど

外では殴り合いの音が激しく聞こえる

振り払って参加したほうが良いんじゃないか?


「信じませんか?信徒が勝ってくれることを、もし負けたらそのときに出ましょうよ」

「・・・・・わかった」


その時は皆傷ついて倒れてるってことだよね?

それも避けたいのだけど俺と詩乃が介入するとこの先もっと悪いことになるかもしれない・・・・考えると止めたほうが良いってのもわかる


このクソ怖い人に屈したわけじゃない

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