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第269話 友好的なファーストコンタクト
しおりを挟む「ここだ、です」
「好きに話していいよ、エシャロット・・ちゃん」
「ちゃん!?改めて言われると恥ずかしいな、です」
まだぎこちない関係の私とエシャロット
仕方ないよね、完全に敵対してたし
部屋に一歩入るとびっくりした
大きな机に色んな人が居た
老若男女、見た目は幼稚園からエルフにドワーフに獣人
全くわからない種族の人が居る
手乗りレアナー様サイズの小さな人もいるし、座っているのに天井に頭のつきそうな、窮屈そうに座っている人もいる
写真撮りたいな
「・・・」
「・・・」
「・・・」
私が部屋に入ると頭を下げて、何かを待っている
きっと私の合図だろうな・・・
ほんの少し立派な椅子が用意されているが座らずに立ったまま挨拶する
「こんにちは、黒葉奈美です、日本のレアナー教の大神官をしていて元杉神官の婚約者です、よろしくお願いします」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「えぇっと、こっちの常識はわかりません、なにか不手際があったらすいません、頭を上げて下さい」
頭を上げる私の子どもたち・・・でいいのかな?
あ、これはだめなやつだ
視線でわかった
レアナービルでも感じたことがある
明らかに敵対している気持ちが出ているものに伺う視線、侮蔑も見え隠れする
レアナービルで人と接しているうちに畏れや恐怖、欲情に敵愾心といった感情を感じられるようになった
彼らは笑顔のものも居るが敵意のあるものや私を冷たく見定めようというものもいる
「まずはこれを食べましょうか」
「それは?」
「クッキーです、それと紅茶のパックがあるんでお湯いただけますか?」
「はい」
大皿に入れてエシャロットに渡して回してもらう
正直数が足りるかはわからない
「これは元杉神官のお母さん、元杉詩乃さんと元杉神官の義理の母に当たる春日井直子さんの作ったクッキーです」
「これが!?」
「おぉ!!」
「適当に食べながら聞いて下さい」
ついでになにかの時用のお酒も飲みたい人はどうぞと言って渡しておく
「これは、元杉神官の好きなお菓子です」
「これは、元杉神官との写真です」
「これは・・・なんでも無いです」
まずは信頼を勝ち取ろう
写真馬鹿の自覚のある私だ
こちらに来て人を探すのならと行方不明になっている元杉神官の写真を遥にもヨーコにも渡している
ここに来るまでのパレードもエシャロットの態度も元杉神官への恩や感謝あってこそだったのだ
私のことがどう伝わってるか怪しいしまずは関係の構築から始めよう
お菓子と写真の次に元杉神官の洗ってない肌着が出てきたのは内緒だ
「キャー!かわいー!きゃー!」
「お父様の食ってるこれは何じゃ?綺麗な絵じゃのー」
「これがニホンってやつか・・・」
「おいしー!」
「さて、写真に写ってるように私と遥は元杉神官は・・・こ、恋人のような関係デス!!ここに来たのは・・・」
訝しげな雰囲気はもうない
写真にはパーソナルスペースの近い元杉神官の日常の写真が多い
鍋をしたり、タコパでたこ焼きを食べさせていたり、空を一緒に飛んでいたり、奇跡の一枚とも言える最高の笑顔が撮れた写真、逆に変な顔になってしまった写真
おそらく私が「仲がいいんです」と言った主張を口でするよりも信じてもらえただろう
私と遥がここに来た理由
私と元杉神官の出会い
遥と元杉神官の私が知ってる関係
私と遥の関係
元杉神官と領地や元杉神官に子供が居るなんて知らなかったことなど
口下手な私はつっかえながらも話していく
・・・遥と元杉神官の関係は余計なことかもしれないけどビーツって人やラディッシュって人も誤解してるかもしれないかもしれないからね
恥ずかしさよりも遥の安全第一よ
後で怒られないと良いなぁ
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