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第249話 悪の宗教組織内探索

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「安藤議員、中は探索済みですが注意して下さい、どこに潜んでるかわかりません」

「わかった」


ビルに一歩入って耳打ちされた

人がいないのであれば安全は確保されたようなものだ


「うちのものを入れる、いいな」

「それはその・・・大丈夫なんですか?」

「私に任せておけ」


・・・現場のものには後でもう一度接待しておくか

ビルの内部はよくある雑居ビルだ

少し薄暗く、共有の通路はどこをどう見ても普通

壁紙もビニールクロスの白でよくある安物、どこをどう見ても荘厳さや神聖さなんてものはない

それどころか安っぽい

時間がない、急ぎで見て回る


「おい」

「わかりました」


祈りの間と思われる場所、何もない

神様の像があるが1人では持ち出せないな、裏を見ても電池を入れられそうな蓋はない

手紙だらけの部屋、休憩室、信徒用の寝室

国語の教科書に鉛筆と消しゴム、そして小さな下着


ウチの娘は可愛い、今でこそ30を過ぎたがこんな時期もあった


この宗教ともめた結果ウチの娘はせっかく入った省庁であったのに退職してしまった

レアナー教とかいうこの団体はさもありがたそうに治療したなどと嘯いて人心を惑わし、新技術か何かで人をビル内に入れなくした

その結果、吾郷が謝って世間においてこの一件は解決された・・・ように見える


だが真相は異なる


どうせ公務員禁止は吾郷達の自作自演であり、私が入れなかったのはなにかの新技術

吾郷は卑怯にもこのビルの前で謝って見せ、娘を含めて私を攻撃するように誘導した


つまりこの一連の騒動は与党による野党への攻撃だ


真面目な娘は政治のパワーゲームに巻き込まれた被害者だ

パパがどうにかしてやらないと

怒りがこみ上げてきて血圧が上がるのを感じる


・・・・・ふぅ、落ち着け、頭に血が上ってはいい結果は得られない


キッチンを調べる

冷蔵庫の中は・・・スープ?


「ウォエッ!?ぺっぺっ!!糞!」


舐めてみてあまりの不味さに驚いた

青臭いし金属臭がある、人間の食い物ではない

怪しげな儀式用なのか?

シンクの水で口をすすぐ

キッチン用の漂白剤、台所用洗剤、スポンジ、菜箸、鍋の裏に焦げ、洗われて積まれた皿

やはりここで生活してるようだな


「回収しておけ」

「はい」


屋上に上がると鉢植えと謎に大量のカメラが有る・・・・・・

当たりだな、これはあれだろう覚醒剤の製造をしていたのだ

今ここには鉢植えとカメラしかない、収穫された後なのかそれとも生産拠点を別の場所に移したのか・・・


「ちっ」


決定的な証拠のはずが・・しかたない

よくわからんがカメラは大麻か何かの成長の調べるものだろう

完全な証拠隠滅前に来れてよかったと思える

土や枯れたような葉っぱの欠片が落ちている

これで勝利は確定だ


サーバールームには中国から来たパソコンに詳しいシェンさんがなにか触っていた

外部から来た専門家だ

今日のために10人も連れて来てくれた、もっと連れてきてくれると言っていたがあまり目立たれても事だ


目配せをすると首を縦に振った


仕事しているようだ

ふん、これでここの屑どもの不正が明らかになれば良いのだが・・・

しかし大型の装置なんてものはない


「怪しいのはこちらです!」


教祖の部屋とやらに行く

なにやら藁とシーツ、勉強机に円柱型の・・・なんだこれ?ウォーターベッド?

やけに水のようにもちゃっとしたベッドがある

あれか、信徒の若い女の子を神聖な儀式とか言って襲う卑劣な場所なのか?


「ちっ」


反吐が出るな、やはりこの宗教もこんなものなのだ

奇跡なんてない

魔法?馬鹿にしてるのか?


「次に行こう」

「はい」


そしてもう一部屋、怪しいなこれは

心霊超能力研究所?

突入前にも調べたがレアナービルの関係者しかいないはずだ

部屋の中は足の踏み場もない

並べられたマイクやヘッドセット、モニター類に大量のコード、しかし床は紙だらけだ

重要資料かもしれんし全部持っていくように言っておく

それにしても汚い、壁の一面の機材は整理整頓されているがなにかの資料はぐちゃぐちゃだ


抵抗が激しかったのかもしれないな


どんどんと回収する部下を後目に次の部屋のドアを開ける


くさっ!!!??

「なんだ、これは!!?」


いやこれでいい、これこそがわかりやすい証拠だ

机の上に無造作に置かれた科学実験用のメス、なにかの緑の植物・・・?そして薬液の入ったフラスコ、よくわからない実験用とわかるなにかの数々

その中にあったそれを掴み、私は部屋を出た




「皆さん!この宗教団体は危険です!!私、安藤はこの目で見てきました!!!」


ビルをでて腕をふるってアピールする

良いぞ

ビデオカメラは、いや、全国民が私を見ている!


「中には届け出のない子供の生活の痕跡!麻薬の生産から製造!女性を食い物にするような悲惨な現状が見れました!!!」


ビルを出る前に他の地点との情報を整理した、城は抵抗を続け、家は人がおらずに外れ、倉庫は取り押さえ済み

良いぞ

抵抗もそうだが最高の状況だ


「そして私は怪しい実験の生産物を見つけました!これを見て下さい!!!」


部屋で見つけたのは透明に光る物体、形は長細く少し湾曲している

光は筋となって何かを撒き散らすように見える、そして何か少し柔らかい

青汁というかきゅうりのような匂いがする

こんなものは見たことがない

光が散る物体などあり得るのか?いやそれは良い、メディア受けするものであればなんだって良いのだ

なにかの植物やメス、そしてフラスコの置いてある机の上にこれはあった


「きっと新たに人を騙すべくこれを作っていたのでしょう!危険な調査でしたがフラスコや薬品、メスの中からこれを私は見つけました!!!」

「私は美しき日本国民を代表し!悪しき与党に守られたこの集団に正義の鉄槌を下します!!!」

「魔法なんてものはない!騙された国民には罪はない!弱みに付け込むレアナー教こそが真の害悪です!!」

「彼らは城で暴力をもって城を守っています!!これは許されざる自体であります!!!」

「ビルには怪しげなものも多く!!これからテレビ局には日本人のために、ひいては騙された全世界の人々のためにも内情を見てもらいます!!」

「これをもって騙された人は目を覚ましてもらいたい!!!!」


透明なものを地面に投げつけ、それを踏みつける

グチャリとした感触が磨かれた靴を通して感じられ

勝利の実感を感じると同時にそれはポフンと爆発した


「・・・・な、なんだ!?」
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