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第228話 聖竜ミルミミス
しおりを挟む「ミルミミス!起きなさいってばぁっ!!はぁ・・はぁ・・・・・!!!」
透明ななにか、レアナー様の言っていた竜?なのか?を蹴り続けるヨーコ
名前を読んでいるようだけど知り合いなのだろうか?
「あ、あの!」
「はい?」
内田さんがいたことには驚いたが全身に入れ墨をしていて怖い
というか戦闘中に銃を撃つ人の中に混じって両手を上げてこちらに向かってきた人だ
警戒はしておかないと
というよりもなんで上半身裸だったんだろうか?
そして肌の半分は黒い入れ墨付きで本当に怖い
鼻息も荒いしいつ襲ってくるかわからない
「存在Xは美味しいご飯を置いておけば動きますよ!!」
「そうですか」
一歩近づいて来たので一歩引いて答え、そのままヨーコのもとに行く
「ヨーコ」
「聞こえていましたわ、なにか持っていません?できれば甘いものを」
「個包装のチョコなら・・・」
「飯がないときはピクリともしませんよ蹴っても埋めてもなんにもなりませんでした何なんですかねそれ皿に入れて床に置いとけばなくなるんでそれぐらいしか反応はないです」
やけに早口な内田さんだが言ってることが結構酷い気がする、埋めたって言った?
取り出したのは講義で友だちにもらったチョコだ
アソートでミルクチョコといちごチョコ、抹茶チョコにビターチョコが1つずつある
一個ずつ開けていくと透明な存在が動いた
動いた・・・よね?
左右に動かすと僅かに見えるなにかも動く
興味があるんだよね
「ミルミミス、お久しぶりですわ、姿を見せていただけますか?」
「幼子と一緒にいた・・・誰だっけ?」
「ヨーコルノリアです、お久しぶりですわね、なんですの?その姿は?」
「ん、階位が上がった」
異世界の言葉だ
声は女性だ
階位ってなんだろう?
「クラスアップしましたの!?」
「ん、だから私は幼い、だから姿を隠してる」
クラスアップ?なにか今、変だった?私にも通じる言葉で一番ニュアンスが近い言葉がクラスアップだったのだろう
サシル様の加護で該当する言葉で近い言葉を思い浮かべる
【クラスアップ 進化 神化 昇華 精霊化 一段上の存在へと変化すること】
クラスアップと昇華がなんとなく直感で一番近い気がする
「元杉に危険が迫ってまして貴方の力が借りたいのです、とりあえず落ち着きませんし姿を見せていただけますか?」
「ん」
「わっ!!?」
「え?」
出てきたのは女性だ、それもヨーコよりもとても大きくて裸!!!
髪の色は白っぽく、角が生えている
身長は180は超えているだろう、座ってるから詳しくはわからないが
「内田さん後ろ向いて下さい!!」
「は、はい?!」
この人、女性を蹴りつけて埋めたのか!!!??
床に這いつくばらせて食事を?!下衆か!!?
すぐにポンチョのようなレインコートを着せる
大柄な私でも余裕のあるサイズで脛まで長さがあるのだがこの人には全く足りるかわからない
背中に翼も生えているし尻尾も生えている、大きさが全くわからないが大柄な私よりも明らかに大きい
「ん?ありがと・・・幼子の匂いがする」
「幼子?どういたしまして」
食料メインで他に使えそうな衣類がないのだがこれで一応隠せるだろう
裸にレインコートとはなんだか変態チックだけど無いよりはマシだ
「ナンデスノその姿」
「私の身体大きかった」
「で?」
「人の食べ物は少ない」
「で?」
「幼子の話ではこっちの食べ物は美味しい」
「元杉のことですわね?たしかに美味しいですわ」
「だからこっちで食べるのに小さい方がいい」
「わたくしよりもよっぽど大きいですわね、で?」
ミルミミスさん?は座ったままでも立ったヨーコよりも大きい、角の分でそう見えるのかもしれない
何かを悟ったような顔つきだが言葉がとても少ない
ヨーコとは知り合いだったのかヨーコが手際よく聞いている
「幼子の近くにいるのに同じぐらいにした」
「元杉はもっと小さいですわ、で?」
「人のオスはメスと番う」
「で?」
「幼子と番って養ってもらう」
「で?」
「かわりに幼子を助ける」
「で?」
ちょっと良くはわからない、が元杉神官はこの竜人?さんにもモテていたようだ
番うって結婚ってことではないのか?この竜人の「番う」に関する意味がよくわからない
遥とは元杉神官の寿命のためにも増やすことに賛成はしていたのだけどこれは予想外
元杉神官は大事なことは隠すらしい
もしかしたらもっと秘密があるかもしれないな
いろいろと言いたいことはあるけど「もう会えないかもしれない」と言われて心配なんだ
だから今は元杉神官を助けるために動くことが大切だ
「卵も産んでみたい」
「で?」
「そもそも貴方メスでしたの?」
「そう、それ食べたい」
目を向けられたのは私の手のひらの上のチョコだ
「チョコですか?」
「手のやつ、食べて良い?」
「どうぞ」
なんだろこの人・・?竜、何だよね?
手のひらに出したチョコを超至近距離でクンクンと嗅がれた
神秘的な顔つき、よく見れば動向が縦に裂けているし瞳は青に近い紫色だ
くねった角が近くてちょっと怖い
ベロン
ゾクッ
「ひゃっ!?」
ガッ!バサッバサッ!!
ベロリベロリと手のひらの上のチョコを舐め取られた
体ごと下がりそうになったのだが両手で動かないようにガッチリ掴まれた、かなり痛い
羽がバサバサと、尻尾がブンブンと動いている
ベロロ・・ニュルニュル・・チャピチャピ・・・
くすぐったい、舌長い!!!??
ヌメヌメとした長い舌が手のひらを指先まで丹念に、それはもう丹念に舐め取られた
表情は神秘的なまま、真剣な表情だ
くすぐったくて、逃げたくても逃げられなくてただただ終わりを待った
「おいしーな!」
満面の笑顔だが多分殴っても良かったと思う、今の私にそんな余裕はなかったが
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