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第206話 イベント当日
しおりを挟むロッククライミングのイベントが有る、優勝賞品が豪華だ
そう弟に聞いて弟が通っている大学に来た
予想外だった、今どきの学祭ってのはこんなにも派手なのか
たまに目付きの悪い外国人も見かけるが外国人の顔はよくわからん
外国語学部なんてのもあるらしいし国際色豊かなんだろ
それにしてもキャイキャイ可愛らしい女の子が多いのもいいな・・俺は工業系で可愛い女の子なんていなかったし・・・
ついつい目が行ってしまうのも仕方ないだろう
男連れには殺意を覚えるが
どうせなら付き合い始めの彼女も連れてくればよかったか?いや、弟に言われたのはつい3日前だ
「種目は何だ?」
「ロッククライミング!」
弟はわかっていなかった
クライミングと名の付く競技は多い
イベントで、しかもわかりやすくするならおそらくは直線型のスピードクライミングだ
安全に出来るし時間もわかりやすい、挑戦者のサイクルも短い、イベント向きだ
俺がやっているのはアルパインクライミング、崖のような急な山を確実に登るのが専門であって素早く登るクライミングとは全くの別物だ
弟が言うには1位の賞品は学生にしか知らされていないが車だ
それも大きな車、チラリとしか見れなかったらしい
学生がこっそり教えてもらったのは少し前だが車種も何も知りようもなかったし噂程度であった
イベントスペースに運び込まれたのもごく最近で、学生にしかとらせる気がないのかとも思える
しかし学生限定の参加というわけではなく一般人も参加可能だ、しかも運の良いことにプロの参加が不可とは書かれていない
俺はプロかどうかと言われるとギリギリだ
学祭の2日以内、いや1日目と2日目の午前中までに3つのコースをクリアしてやっと賞品つきイベントコースをいける
結構体力を使う競技なのにそれはないだろう・・・
学生は事前に予選に参加ができるそうだ
車が欲しいという弟には悪いが俺も彼女が出来たばかりだ
彼女との結婚を考えて本気で狙わせてもらおう
弟よりも将来の嫁への愛のためだ、すまんな
一応クライミングはまだ趣味の範囲でやっていて金銭は発生していない
雑誌で紹介されたことはあるがプロではない
もちろん勝てる保証はない、マンモス校だけあり登山部や運動部も粒ぞろいだそうだ
競技は違うが国体やオリンピックの予備登録選手なんてのもいるらしい
クライミングは経験が物を言う
氷を登るアイスクライミングの緊張感も経験したことのない他の競技者とは度胸も違えば、使う筋肉も違うのだ
俺はスピードクライミングもボルダリングも経験があるし瞬発力重視のプロには負けるだろうが学生などに負ける気はしない
もしもうまく車を手に入れられれば10万ぐらい弟にやろう
勝算はある
イベントが開始し、体育館にはテレビも来ていた
これで勝てれば動画サイトで登録者80人しかいない俺も人気になれるかも?
コースは直線タイプではない、S字のようなコースだが速くても2分、遅くても5分はかかるだろう
時間制限で5分以内で入賞、その中で一番早くタッチしたものが優勝、賞品は車であると紹介された
大きい車とは聞いていたが8人乗りだと!!太っ腹だな運営は!!!イベント仕様と聞くし下手すれば1000万はしそうだ!!!!
車のメーカーさんもイベントに参加しているし宣伝としてはぴったりだ!
牛や米の賞品も魅力的だが車の魅力の前には霞んでしまう
安全装置などの細かな説明がされた
ある程度名のしれた人間はイベントの後半に回された
俺はプロではないが自前の装備を持っているし曲がりなりにも雑誌で紹介を受けた身だ、最後から3番目になった
俺よりも後ろの2人はどんなやつだろうか?
教えてもらえなかったがスピードクライミングのプロ選手か?
俺の前もクライミング経験者か
それよりも前の10人は優秀な一般参加者とこの大学の競技者たちだがギラついた目が印象的である・・・・飲み物は自販機で買おう、一服盛られかねん
これだけのコースだし撤収の準備もあるのだろう、イベント終了は結構早い
スタッフも忙しそうだ
イベントには立ち見のものも多いし、イベント会場の外には大型のモニターで動画が流れ続けている
学生たちは入賞の時間内にクリアできていないものもいる
かなり速いと勝ち誇るものもいる、素人にしてはだけど
数人勢い余って落ちたりもしたが安全器具で無事だった
怪我したものは1人、元々怪我をしていて後遺症が傷んだらしい
彼は惜しい所まで来てブザーが鳴っていた
スピードは素晴らしかったし後2手でトップだったろうに落ちたのは可哀想だが、怪我とは惜しいな
怪我がなければ俺も危うかったかもしれん、降りてきた彼は群衆に笑顔で手を振っていたしいい男だ
イベントの若い女性スタッフさんと目配せしている・・・彼女か?こいつも彼女持ちなのか!!?
小さな子がなにか話しかけてから普通に歩き始めたし大事はなかったのだろう、イベントが中止しなくてよかった
俺の前の経験者は俺も考えていたコースを取ったがほんの数センチ分位置取りが悪かったのだろう
逆に難所となってしまったようで1分以上トライしてタイムロスが出来ていた
危ない、俺もああなっていたかもしれない
脳内でシミュレートしていく、身体の動かし方、重心の位置、コース、滑り止めのポイント、呼吸の一つまでも
そしてやっと俺の番になった
俺だって確実に勝てる訳では無い
手順の一つを間違えたり手を滑らせれば簡単に負けるかもしれない
「準備はいいですか!用意!」
ビッビッビッビッビィーーーーーーーッ!!!
これまでの参加者からコース取りを考え、全力を振り絞った
「おぉ!!!」
「はっえぇ!!」
「良いぞ兄貴!!!」
「人間じゃねぇ!」
「キャー!!」
「凄い!!!」
最速記録!!!1分31秒77!!
滑り止めに使った時間と一度足を滑らせたがそれでもそれまでの最速記録よりかは50秒も更新した!!!
一度も行ったことのないコースだし他の参加者の手汗で滑った石は本当に予想外だったが最高に気持ちいい!!
特に女子の応援と黄色い叫びが最高だ!!
「どうでしたか?コースの感想などは?」
「なかなかいい運動になりました!」
「自信のほどは?」
「俺はスピードクライミングの選手でも専門でもないですし、このコースは初めての参加です、何度か挑戦すればもっとタイムは縮められると思いますがベストは尽くしました!」
決まった!美人なアナウンサーに聞かれて緊張もしたが謙虚かつ完璧に答えられたと思う
このまま優勝できれば今日のヒーローは俺だ!!!
次の参加者は・・・え?巨乳の美人だ、どこかで見たことがある気がする
どこからか太鼓を持った人たちが出てきて応援している
とても美人だし、もしかしたらイベントを盛り上げるために用意した芸能人なのか?
俺のいる場所との距離は遠いのに色気が花になって彼女のまわりを散ってる気がする、きっと良い香りがする
彼女のスタートはスタート位置の3歩前でクラウチングスタートから始まった
何だそれと思ったが尻を眺めている間に始まって
・・・・そしてすぐに終わった
「ほがぁっ!!!!!!!??????」
あまりの事態にシーンとした会場に俺の叫びが響き渡った
助走をつけ、ひとっ飛びし、壁を1度蹴ってゴール、記録は6秒84
はるかさまー!!!と俺の数倍響き渡る声援が響き渡っている
「悪いわね」
すれ違いざまに肩を叩かれた・・・
お、俺の車が・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・思い出した、ネットで有名な春日井遥だ
しかしさらに驚いたのは最後の参加者が少年だったことだ
せいかーとかようすけさまーというこえがきこえる、だめだやめてくれおねがい・・
例の男の子魔法少女は無情にも予想通り杖で空を飛んだ
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