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第205話 牢獄のRの災難

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牢獄内では俺のことはトップニュースとなった

自分ではそこまで目立つ存在ではないと思っていたがそこそこ目立つ立場だったようだ

そんな俺が何日も居なくなり、更に帰ってきたと思ったらほとんど全くの別人

生きていることも驚かれたがヒゲや髪について、ものすごく追求された

それだけは言えないと沈黙していると何人にも襲いかかられた

理由は「管理者にあったんだろう」とか「俺たちを売ったのか」などなど

酒を積み上げられてどうにか情報を得ようとするものも居た


「いつか話せる時が来ると思う、その時にこれは貰おう」


そう宣言しだんまりでいつもの活動をする

良かったのは襲いかかってこようとしたものは殴る前にその場で石化していたこと、殴られた後に石化するわけではなかった

こんなことはこれまでなかったことだし俺の価値が管理者たちにとって1段上がったということか?


少し可哀想なのが日本人のRだ

俺がいなくなった日にまで遡って何があったか調べようとする暇人がいて、散髪についてばれていた


「すまん」

「もう!大変なんですよ!?」


Rの話では俺たちがこの部屋に入ったのを見たやつがいてそこから広がったらしい


「謎の開かない部屋に入ったRとG、その日からGは居なくなり、Gは髪やヒゲがスッキリして帰ってきた」


この情報だけあればここにいる人間ならすぐに答えにたどり着くだろう

お陰でレアナー教徒が最も多い日本人であることなども理由にRが管理者の一員じゃないかと噂がまわった

問い詰められて仕方なくここを見せることになったとか


「俺も昔散髪屋してたのに出来ないのか!?ライセンスも持ってるぞ!!」


そういうやつもいたが情報をまとめると日本で免許を取ってるかが問題なのではないか、さらに日本で免許を持っているやつはいたのだが刃物による事件を起こしたから駄目なんじゃないか?などなどの考察がなされた

そして、どうしようもなく、ハサミを握るのはRただ1人だ


「お陰様で商売繁盛ですよ」

「良かったじゃないか」

「皮肉ですよ!ちくしょー!!」


可哀想だが仕方ない、仕事を放棄して散髪をして欲しい者の列ができている

ヒゲだらけ髪も伸ばし放題の者には魅力的だったんだろうな

逆にRはムキムキな筋肉ヒゲおやじ共に絡まれている・・・本当に可哀想だが俺たちにはどうすることも出来ない


数日もすればなんとか落ち着いたが牢獄内でのRの待遇は一気に良くなった

Rと仲の良かったAや各グループのリーダーのヒゲや髪がスッキリしたのが見受けられた

基本的に髪型がどうというものよりもさっぱりしたいものが多い

なにせここに長く居るものはみな毛むくじゃらだ

髪を切る者は1人しか居ないし次回がいつになるかもわからない

故に手の込んだカットよりもとにかく短く揃えてもらいたいのだ


しかし電動の道具はない


この牢獄には手動の道具は支給されやすいが電動の道具はない

Rの道具は使ったこともないという手動のバリカンにハサミ、1枚刃のカミソリ、それと泡立てる道具、それだけだ

他にも様々な道具があるはずだがクシもすき鋏すらない

せめて電動バリカンが欲しいと嘆いているRに木工部屋のみんなで頑丈に作った椅子とカミソリ用に高さ別の数台の木製ベッドを置いていく、おまけに水くみ用の木製バケツも

Aも散髪で髪が服に落ちるのを防ぐマントやバスタオルにフェイスタオル、それとRが部屋の中で仮眠する為の布団のセットを渡していた

幸い汚れたタオルは一度リセットされれば数日でもどってくるようだ


日に日に増える牢獄内の人間だが彼は対処できるのだろうか?


慣れない道具で肌が傷ついたものもいるが贈り物の量に比例してげっそりやつれていく彼に文句を言う者はいない

いや、数人いたがそいつらは何者かによって石化してトイレに頭から突っ込まれる刑に処されていた


毎日紙で電動バリカンやエアーコンプレッサーに鏡などをRは要望している

・・・Rにバッテリー式の電動バリカンが届いたときには神に感謝しているところが目撃されたそうだ

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