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第199話 城の料理と遊園地
しおりを挟むこのドアをあけるとまた牢獄に戻ることになるのか?
そんな思いがよぎるが抵抗してアビゲイルとグレースに危険が迫ることは許せない
トロッコを降りてドアを開ける
「3名様ですね、こちらへどうぞ」
「は?」
大理石のように磨かれた床に敷かれた高級そうな絨毯
星つきレストランのようにきっちりした給仕がいる
全員が黄色人種、おそらく日本人だ
客は俺たち3人だけ、給仕が20人はいるだろうか?
セッティングされたテーブルには皿とカトラリーがセッティングされている
「どうぞ、お座りください」
「こんなポイントはないぞ」
「安心してください、無料です、家族とお楽しみください」
こんなに不安な無料はあるのだろうか?
牢獄に帰ったらマイナス10万ポイントとかされないかな?
「ここの料理は安全、なのか?」
「女神レアナーに誓って安全です、アレルギーのある方は?」
「いま、せん」
「では家族で楽しんでください」
メニューなどはなく、コース料理が来た
震える指先でスープを一啜りする
あぁ・・・・・・
涙が勝手にでるほどに旨い
毒だとかそんな警戒はない
本当に美味しい、牢獄の金属臭もする嫌な匂いのする不味いスープとはまるで別物
比べるのもおこがましい
「わぁああ!!かわいい!」
少し取り乱し過ぎだったかと思ったがグレースはワンプレートランチ、お子様ランチにテンションが上っているようだ
お子様ランチというのは初めて見たがたしかに可愛らしい
エビフライ、チキンライス、パスタ、サラダ、野菜ジュースにスープ
それにあれはタコさんウインナーだな、ちょっと食べてみたい
城の形をしたチキンライスにはレアナー教のマーク旗が立っている
娘は嬉しそうだ
ステーキを口に含んだアビゲイルは顔は取り繕っているが首筋がプルプルしている
あまりの美味しさにビビってるんだな、わかる、わかるよ
ステーキなんてコース用に小さいものだがこの旨さは一皿で1000ドルはしそうだ
よくわからん地名のビーフらしい、多分これはプレジデントが食べたりするやつだ
よくわからんが花が散りばめられてるし
下手なことは喋れない
少し緊張するが今は2人の顔を眺めておこう
牢獄に戻る前にしっかりおぼえておきたい
「ありがとうございました、お次へどうぞ」
料理を堪能した後、そろそろ出ようかと話しているとそう言われてスタッフ達に一斉に頭を下げられた
これ、後で100万ポイントぐらいとられるんじゃないか?
部屋を出るとトロッコがある
乗れってことだよな?
また乗るとそこは遊園地だった
この城、たしかに大きいが衛星写真から見たサイズから考えるとこんなに広いのはありえない
これも魔法だろうか
「お父さん、行こっ!」
「お、おう」
呆然としていると娘に引っ張られた
娘は遊園地が好きだ
お化け屋敷、ジェットコースター、メリーゴーランド、観覧車、それにプール
へとへとになり日が暮れるまで遊んだ
グレースはもうウトウトして眠たそうだ
「お父さん」
「なんだ?」
「一緒に・・いてよ・・・」
そのおねがいは聞けない
もうレアナー教に捕まった身だ、逃げても逃げる場所もない
「それは」
「寂しい・・・よ・・・・・」
胸がナイフで刺されたようだ
寝てしまった娘
「ねぇジョージ・・どうにかならないの」
「・・俺も帰りたいよ」
「そう、私もどこまで話して良いのかわからないけど、貴方には帰ってきてほしいわ」
「わかってる」
「チャンスがあったら機会は逃さないで、もちろん危険なことはしないでよね」
「約束する、ごめん、ごめんなぁ・・・!」
抱いているグレースに気をつけながら強くアビゲイルを抱きしめる
殺されてもおかしくないのに殺されないのはなにかの価値を俺たちに見出しているからだろう
ポイントもそうだがレアナー教にとって役立つことがポイントに繋がる仕組みをしている
2人との再会も一つのなにかの過程なのかもしれない
「絶対に、お前たちのもとに戻って見せる」
「期待して待ってるわ」
「そうだ、これをグレースにやってくれ」
「これは?」
「お菓子だ、貴重なんだぞ」
なにそれと少し涙を浮かべて笑うアビゲイル
絶対にここから無事に出てやる・・・!
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