少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo

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第176話 お疲れの黒葉と地雷

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新たに作った看板を出して歩く

レアナー教のマークをでかでかと描いたものだ

『レアナー教』英語では表記がよくわからない

レアナー様との話し合いがあったがカタカナ表記でとりあえず良いという

向こうの言語なんてこっちじゃわかってもらえないしね


それとマークでならどこの国でも通じるようにしたい


「な、なに?」

「言わなきゃわからない?」

「遥、良いですって」

「もう、奈美は」


頭を掴んできたねーちゃんだが黒葉が止めてくれたようだ

これは休暇であって布教活動はやめて自重しなさいとはるねーちゃんは言う

黒葉は「ま、まぁ良いんじゃないですか」といった意見だ

ヨーコはワクワクした顔で建物の上にまで駆け上がって周りを見ている


確かに布教はしなくてもいい、黒葉も休みがほしいって言ってたしね


看板はしまい、誰もいない大きな公園があったのでそこで布を取り出して敷く


「黒葉、寝て」

「え、はい」


僕の横に寝たので僕はちょっと動いて黒葉の頭を持って膝枕した


「こ、これは?」

「ちょっと寝るといいよ、最近頑張ってたし」

「ありがとうございます、でも私が頑張りたくて、楽しくてやってるんですよ?」

「でも覚醒系の魔法覚えてから寝てないよね?あれって慣れてないと疲れるし一度寝るといいよ」

「でも写真も撮りたいし・・いえ、甘えさせてもらいます」


黒葉は自分で気付いてないだろうけど3日も寝ずにいると少しずつミスをしていく、ほとんど自分ではわからないんだけどぱっと物を忘れたりまばたきをすると場面がかわってさっきまで何をしたのか忘れたりする

黒葉も無意識にコーヒーのブラックを3杯飲んでから4杯目を飲もうとして止められていた

肉体的な疲れはすぐに回復しても精神的には疲労するのだ


最近の黒葉は魔法を使って頑張っていた


黒葉の使えるようになった魔法は熟練度も低い単純なものなのだ

本人は気付いてないけどいきなり渡されたばかりのちょっと臭う大神官服を着るなんてないし僕が入れそうなバックパックなんて収納袋があるんだから使う必要はない

すぐに寝てしまった黒葉は多分それだけ疲れてるんだと思う

ニマーっと笑っているレアナー様をはるねーちゃんに渡す


座って公園を見渡す・・・風が気持ち良い


はるねーちゃんはレアナー様を肩に載せて周りのお店に札束を持っていったし、ヨーコは街並みが珍しいのか屋根の上を走り回っているのが見て取れる

僕は片手で接触型の単純な治癒魔法を黒葉の髪を撫でながら流し、スマートフォーンで友達に連絡したり調べ物をした









「うぅん」

「おはよ、黒葉、よく眠れた?」


目はあけてじっとこちらを見てくるがそのまま動かない、まだ眠たいのかな?


「黒葉?」

「おはようございます、洋介くん・・・いえ、やっぱり元杉神官で」

「え?うん、なにか飲む?」

「ジンジャーエールで」


二人で瓶のジンジャーエールを飲むことにした

金属の蓋を指でペリッと外して黒葉に渡す

黒葉は大人でお酒も飲めるんだけど瓶のジンジャーエールも大好きだ

生姜で舌がピリって辛くて甘くて、それでいて炭酸で喉が気持ちいい


「私も」

<ただいまですぅ、この国は良いですぅ!みんなちゅーしてるですぅ!!>


いつの間にか帰ってきていたはるねーちゃんが黒葉と逆の膝の上に頭を寝かせた

え?そんなにキスしてる人いたの?なにそれ恥ずかしい

しばらくゴロゴロしていたんだけど時刻は13時、18時に日本を出て・・あれ?時計壊れてる?転移するとたまに夜だったりするから困る

そろそろお腹も空いてきたしご飯食べにいこうかな?


「何食べに行く?」

「ん、美味しいのが良い」

「調べてみますね」

「どうやって調べるの?」

「スマホで検索をかけるんです」


お店の候補は決まった

美味しいピザか美味しいスパゲッティの食べられるお店が良いって決まった

しばらくしてヨーコが戻ってきたので一緒に食べに行った


イタリアの夏も日本とは違った暑さがあるね、カラッとしていて少し風があるのが涼しい

お腹いっぱい食べて、ピザを種類ごとに全部で200枚ほどテイクアウトで持ってかえることにした

黒葉は本場のビールを飲んでご満悦だしはるねーちゃんは塊肉のようなステーキを豪快に食べている

ヨーコはピザのチーズを「こうやって食べるのよ」って悪い顔をしたはるねーちゃんがチーズを伸ばす食べ方を見せてから一枚ずつそうやっている

店員さんがどんどん持ってきてくれるので収納していった、一枚ずつ箱に入れてもらえてるのですごく助かる


「おぉあんた本物だったのかい?普段はなんで顔を隠してるんだ?宗教的理由なのか?」

「なんです?それ?僕は顔を隠したりしたことはないんですけど?」

「じゃー広場のは偽物かー、俺の友達も目を治しに行って治ってないんだ、診てくれないか?」

「偽物がいるんですか?!」


ちょっと意味がわからない

このあたりで活動した覚えはない、と言うか顔を隠すってなんだろう?

日本だと追いかけてきても振り切ればいいだけで顔を隠す必要なんて無いからね

いやマスコミ共が相手なら顔を隠すのはありかも?


「見ましたわ、こちらにも布教活動する方がいて熱心だと思ったのですが」

「あ、あぁ、広場にたまにレアナー様がどうのこうのーってやってきてさ、いるはずもないのに治してほしい奴らが集まって金を払いに行くんだ」

「店員さんお会計、お願いします、それとお友達の方、広場に呼んでもらえます?」

「わかった」
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