少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo

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第160話 夏といえば幽霊だ

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幽霊を調査している人に会ってみた

和服で神経質そうに眉間にシワが寄っている、細めのメガネで、なんというんだったか、インテリ眼鏡

見た目だけだがとても仕事ができそうな人が出てきた

眼鏡って賢く見えるよね


「レアナー教、洋介です」

「レア?よくわからんが超常現象について研究している阿部雅人です、さて何が聞きたいのかな?」

「幽霊や悪霊の出る時間帯と強さについてですね」

「ほほう、興味があるのか」

「はい」

「では来るといい」


メガネの中央を押し上げて声色が少し上がった阿部さんについていく

和室には全く似つかわしくない機材が整頓されて並んでいる


「これを見るといい」


画面を見ると画面が乱れ、薄っすらとだけど人の形がぼやけて見える

輪郭ははっきりしないが女性だということはわかった


「これは、幽霊?」

「そう!ここで観測を始めてから3ヶ月!!ここまでくっきり撮れたのは初めてだよ!!ここは聖地だ!なんなら肉眼でだってはっきり見れた!!!」

「幽霊ってこんなにくっきり見えるんだ」

「そう、この建物周辺には何故か多くの幽霊が観測される、素晴らしい!こんな土地はなかなか無くて、あ、ごめんね、少年はこういうのに興味があるのかな?」


こういうときの言葉を覚えたはず、たしか


「ライフワークです」


スンと鼻で息を吸い目を瞑って天井に顔を向けた阿部さん


「・・・・・同士よ」

「え?」

「少年は見る目がある」

「は、はぁ?」

「時間帯と強さだったね、時間帯は20時から4時辺りが多く見られるが位置は不明、これは幽霊が目撃された時間と位置のリストだが共通項目はなし、いずれも計測できている限りではその姿は老若男女を問わない、負傷なども見られず足も見られる」

「同じ幽霊ではなかったと」

「そう、そして怪談でよくあるように人に悪さをするといった霊障を起こすことはないが声を聞いたというものもいたことから意思疎通が可能な可能性もある、それからそれから」


目を輝かせて話す阿部さん、かっこいい印象はどこかに吹き飛んだ

早口でなにやら興奮している

僕としてはとても興味深い、こうやって調べる人がいるのにも驚きだけど調べ方が僕には思いつかないようなものばかりだ

録音・録画・特殊な光を当てる、電磁波測定、サーモグラフィー、温度計、湿度計など様々な機器で多くの部屋を調べている

幽霊なんて悪霊になるとやっかいだから清浄化してしまえっていうのは多くの神殿の常識だ

幽霊にも慈悲を!なんて叫ぶやつもいたけどじゃあ放置して悪霊にでもなって周りの人に迷惑かけるのは慈悲があるのかと言いたい

幽霊の発生原因は魔力という説もあったが詳しくはわからない


「はぁ、はぁ、済まない、話しすぎたね、ここまでで気になるところはある?」

「そうですね、さっきの動画を見るに幽霊って同じ方角に移動してませんか?」

「・・・なに?」
 

幽霊は同じ方向に消えている

映像を巻き戻しては見て巻き戻しては見てを繰り返している阿部さん


「た、確かにっ!!なんで気付かなかったん!?出現することも珍しい幽霊が現れたことにばかり気をとられ私の視野が狭くなっていたとは・・不覚!早速調査、じゃない!少年!他に気付いたことはあるかい!!?」

「このあたりに特別な建物があったりはしませんか?神社とかの」

「レイライン!?いや、霊の通り道!確かに!!進行方向が同じなら可能性は十分にありうる!」

「レイラインってどんなの?」

「いいかい、レイラインってのは・・」


変わった人だけどこの人と話すのは楽しいな

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