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第152話 風呂
しおりを挟む国会を後にしてレアナー城に転移してもらった
「ごめんね、はるねーちゃん」
「ん」
洋介を後ろから両手で脇に手を通してブラブラする
正直20歳を過ぎてあんなに感情が爆発したのは初めて・・・・・・・・・・・いや、病院の寝起きで洋介殴った時のほうが怒ったかな?
夢の中で無性に怒ってたし仕方ない、かな
・・・・・たった半年前で私の人生は大きく変わった
順風満帆に人生を謳歌して、彼氏もいて、大学も行って、友達とどうでもいいような話で笑い合ってた
なのに怪我して、病気して、辛い闘病をして、吉川に親友に裏切られ、人生のどん底の更にどん底まで落ちた
1年前の私にこんな話しても多分信じてもらえないだろうな
病院の出来事が10年は前のような感覚さえする
「あの、はるねーちゃん?」
足のついていない洋介を抱いたまま、城の一室に向かう
学校のプールよりも大きなお風呂だ、海のように手前は浅いが奥は足がつかない
洋介の服を引っぺはがして投げ入れる
「わわっ」
私もかけ湯無しで入り、洋介を捕獲する
風呂場は体育館よりも大きく広い、巨大な、海の砂浜のように傾斜がついてる浴槽が一つとあとはいくつもサイズ別である
一番小さなものでお湯の湧き上がる手桶のようなものまである、多分精霊とか妖精用
このお風呂は巨大な魔道具らしく、自動でお湯が溢れ続けている、熱々だ
この海のような浴槽を使った後に身体を洗いやすいバスタブ式の浴槽で体を洗えばいい
謎に豪華な施設がレアナー城にはある
逆にやる気がない場所なんて部屋に藁束しかないのに、何に使うんだろあれ
モヤモヤしたときはやはり熱い風呂だ
浴槽の深い場所で洋介の髪の毛にワシャワシャ指を入れる、銭湯でこれやったら怒られるだろうな
「ずるいですしはしたないですわぁ!!」
「ヨーコ、こっちには混浴や裸の付き合いってもんがあるのよ」
「嘘でしょう!!?」
ヨーコも入ってきた
だけど恥ずかしいのかヨーコはルールと入って奥の方に泳いでいった
ルールは風呂好きで特にこの一番大きな浴槽で泳ぎ回るのが好きみたいだ
お湯は熱めなのだがルールはものともしない、結構毛が表面を浮くがそれは仕方ない
身体にくっついた毛は後で体を洗うし、ルールも猫用シャンプーでピカピカにしてくれる
今は洋介をわしゃわしゃする
恥ずかしそうにしてるが私この子のおむつ替えたことあるしね
でも、なんだろう
男の子なのに座ってる仕草が色っぽいというか、うん、なんかムカついたからひっつかんで後ろから抱っこしたまま風呂を満喫した
あ、顔赤くなってる?意識してるんだ、可愛いな
大人しくなった洋介を愛でながら天井を見る
熱い風呂はいい、嫌なことを身体の内側から流し落としてくれる
のぼせてきたので風呂を上がって洋介を丸洗いする
帰ってきてすぐのときの傷跡がやっと消えようとしていたのに真新しい跡に胸が痛む、これでも結構薄くなったんだけどね
もっとゲームみたいに一瞬で完璧でピカピカになおしてくれたら良いのに
魔法は使ってみると不便が多い
魔力をためたり発動まで時間がかかったり・・・
簡単な【身体強化】ぐらいしか使えないけど慣れないし使ってもヨーコにはまだ勝てない
「元々わたくし、剣士としても強いほうですし、元杉と結婚して魔力も無尽蔵ですわ、先達として負けるはずなんて無いじゃありません?」
そう言われた
私や奈美も洋介の魔力で魔力切れという現象は起きないがそれは私達が効率よく使えていないというのが大きいらしい
効率よく使うどころか垂れ流しで勿体ないとまで言われる
元々の戦闘技術も英雄クラスで魔力の供給にも運用にも慣れたヨーコには敵うわけもなかった
羨ましいぞ
奈美は奈美で洋介とレアナー様に魔法を教えてもらって頑張ってる、部位欠損は治せないが軽い傷なら治せるようになってきたらしい
・・・だけど私は私なりに追いつくしかない
洋介の私よりも小さな体を見て、心に誓う
私よりもずっと強いし私が強くなる必要なんてないかもしれない
だけど絶対にやるんだ
風呂桶のような浴槽に入ってるレアナー様が<ふへぇ>と言っているが・・・・・神様っていつもきれいだけどお風呂に浸かる意味ってあるのかな?
3人でルールを洗車のようにゴシゴシ洗って背中を流し合って風呂を出た
「こんなアイス良く買えたわね?」
「アメリカのやつ、ランディおすすめ」
バケツプリンとかよりも大きなバニラアイスだ
3人で食べて、それでもかなり残ったけどルールがぺろりと平らげてしまった
猫ってアイスだめだよね?・・いやでもミャーゴルだし、いや聖獣?喜んで食べてるから良いのかな?洋介もいるし良いかな
詩乃おばさん達が後で来て欲しがったので洋介はチョコ味を渡していた
わたしもチョコー・・・いやバニラも美味しかったしまた食べればいいかな歯磨きもしたし
さっと着替えて大きなベッドに洋介達を引きずり込んで寝る
洋介を止めるどころか私がやらかしちゃうなんてなぁ
明日のことは明日なんとかなるだろう
ベッドで横になったルールのお腹の真ん中に私が陣取り、右に洋介、左にヨーコを引き寄せる
奈美も居たら良かったんだけどどそれは今度しよう
どうやって乾いたのかファサッとした毛並みのルール、それと温かい体温に鼓動が伝わってくる
何故かはわからないけど心が溶け解されていく気がする
多分、今日はたまに見ている病気で自分が動けずに死んでしまう悪夢は見ることはないだろう
「ヨーコ」
「なんですの?」
髪が頬に当たる距離だ、奈美とも一緒に寝たがヨーコとこんな距離で寝るのは初めてだ
ふわふわした金髪、洋介よりも小さくて軽い・・・・・同じシャンプー使ったのに私よりもいい匂いがする気がする?
「今日はありがと」
「気にしないでいいですわ、それより寝る位置おかしくありません?」
「いーのいーの、寝るよ」
「もう、仕方ありませんわね!良い夢を見るんですよ?」
「お休み」
洋介は寝付きが良く、もう寝ている
私の肩を枕にしている洋介とヨーコの軽い重みが心地良い
つま先から力が抜けていくのを感じ、とても気持ちよく私の意識は夢の中に沈んでいった
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